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【女優・土屋太鳳】が目指す「役として呼吸する」とは何か

  • 2018.12.27

映画にドラマに舞台に、今や引っ張りだこの人気女優、土屋太鳳さん。映画「春待つ僕ら」では一歩踏み出す勇気を持てない女子高校生を演じています。女優になるきっかけのオーディションには自分から応募したという太鳳さんの中には、「見る人の気持ちに寄り添える女優になりたい」という「目標」があるそうです。

会話しないとわからないから、現場では意識して話しかけるように

ーーこの作品の主人公、美月は新しい環境に飛び込む勇気が出せない人。土屋さんはどのように演じられましたか?

「美月は一見穏やかで明るく見えるんですけど、内面にはいじめという非情にシビアな傷を抱えています。だから本当はすごく愛情深い子なんだけど、そこがトラウマによってなかなか出せない女の子だと思いました」

ーーそんな美月を演じる上で難しかったことは?

「表には出ていない、内面的な部分で周りからどんなことをされてきたのか、それによってどんなことを感じたり、思ったりしてきたのか。そういうことを考えるのが、演じる上ではすごく難しいなと思いました」

ーーひとつの役を作り上げるために重視していることを教えてください。

「特に内面を重視しています。『春待つ僕ら』という作品は、原作がすばらしくて、お話も繊細な時期を生きている年代の人の心を丁寧に描いています。そして私が演じた春野美月ちゃんというキャラクターもすごく可愛いんです!」

TRILL×TAO TSUCHIYA

ーーそんな可愛い女の子を演じる上で意識したことは?

「私がいくら体を絞っても骨格は変わらないから、だったら実写化をするにあたって何ができるかなって考えました。美月ちゃんの友達ができるかどうか悩む気持ちや、一歩踏み出すのに勇気がいる部分……そこは私も共感しました。生きていれば環境ってどんどん変わっていきますよね。そんな時に誰もが感じる感情が描かれた作品だと思うので、私が共感した美月ちゃんの内面を表現できたらいいなって思いました」

ーー土屋さんは若くして主演という立場で現場にいらっしゃることも多いと思います。現場では積極的にコミュニケーションを取るほうですか?

「取るようにしています。自分では明るい人見知りだと思っています(笑)。現場では会話をしたほうが相手のことを知れるし、どういうふうにこの方とコミュニケーションしていけばいいのかなっていうのは、話さないとわからないし、言葉にしないと伝わらないことも多いと思うんです。だから「大丈夫かな」って不安に思っても、少しずつ喋るように意識しています」

やりたいことには積極的に進みたい

小学校の劇の会で、演じることの楽しさを感じられた

ーー映画にドラマに大活躍ですが、女優になりたいと思ったきっかけを教えてください。

「小学校4年生の時に劇の会があって、そこで酔っ払いの役をやったんです。やりたい役がないなと思って、手を上げなかったら酔っ払い役に決まってしまって(笑)。その時、ただゆらゆらしているだけだと伝わりづらいなと思って、ペットボトルに絵の具を塗ってとっくりにして、ネクタイを巻いて歌ってみました。そしたら見てくださった親御さんたちが『すごくおもしろかった!』って言ってくださって」

ーーその時演じることの楽しさを感じたのですか?

「今思えば他者を生きる魅力みたいなものや、お客さんとコミュニケーションする楽しさに気がついたのかも知れないですね。そして小5でスーパー・ヒロイン・オーディション MISS PHOENIXを見つけて応募して、審査員特別賞をいただきました」

”女優は役として呼吸をするべき”いつかそこに辿り着きたい

ーーご自分で応募したんですね。

「はい。すでに応募期限は過ぎていたんですけど、フェニックスって鳳だから、太鳳と同じ意味なんです。縁を感じて送っちゃえ! って思いました(笑)」

ーーそう考えると、やりたいと思ったことには自分から飛び込んでいけるほうですか?

「わりと。でもそれまではあれやりたい、これやりたいとは言わないほうでした。姉と弟がいて3人ともクラシックバレエをやっていたんですが、姉と弟は全国大会に出場しても決勝まで行くんです。でも私だけなぜかいつも次点。あと一歩のところで進めないんです。姉と弟のほうができるので、自分にも何かないかなって考えていたんだと思います」

ーーやりたいことには積極性を発揮できるのかもしれないですね。役に対しても同じ?

「『これだ!』と思う役は絶対にやりたいと思ってオーディションを受けて、一つひとついただいてきました」

見てくださる方と一緒に笑ったり泣いたりできる女優になりたい

私が女優として生きていく上で、女性としての存在感をしっかり出していきたい

ーー今、土屋さんが思う自分らしさとは?

「それはすごく考え中です。自分って何だろうなって。女優さんはいっぱいいらっしゃるし、お芝居が上手な方も、動ける方もたくさんいらっしゃる。そんな中で個性を出していくにはと考えると、やっぱり私は食べることが好きなので、食べることだけはやめちゃダメだなって思ったりします(笑)。後は相手を思いやる気持ちだけは大切にしていきたいなって思っています」

ーー土屋さんは女優としてこうあるべきと思いこんだり、悩んだりすることはありますか?

「迷ったり悩んだり……というか、私の中には“女優は役として呼吸をするべき”というのが憧れとしてあります。そこに辿り着きたいと思ってやっているんですが、いただいた役を徹底的に生き抜くとか、そういうことを意識していますね」

ーー「女優としてこうありたい」という像が明確にあるんですね。

「見てくださる方と一緒に笑ったり、泣いたりできる女優になりたいです。私が女優として生きていく上で、今後は女性としての存在感をしっかり出して、がんばっている人に寄り添える人でありたいなと思います。例えば、薔薇ってすごくキレイだけど、私は緑道に咲いているコスモスみたいに、おばあちゃんや子供でも触ったりできる親しみやすさを大切にしたい。そんな女優になりたいなって思います」

ーー最後になりますが、映画を見る女性たちにどんなことが伝わって欲しいですか?

「この映画には10代のもう一歩踏み出したいと思う気持ち、そして本当の自分って何だろうって迷う心情が丁寧に描かれていると思います。最終的には春から次の暑い季節に向かっていけるように、見てくださる方の背中を押してくれる作品になっていると思うので、ぜひこの作品を見てパワーをつけていただけたらいいなって思っています」

映画「春待つ僕ら」

Movie Director:Yohei Takahashi (f-me)
Writing:Yuko Sakuma
Edit:TRILL編集部

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