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人気急上昇中「池田エライザ」が語る、自分らしさとは何か

  • 2018.10.18

次々と話題の映画に出演している池田エライザさん。今作では金持ちを「億男」、そうでない人を「雑魚」に分別するパーティー好きの港区女子、あきらを好演しています。「女優としてよりも、まず一人の人間として立てるように人として成長していきたい」と熱い生き方を語ってくれました。

池田エライザさんが語る自分らしさとは
時代と共に人とお金の関係や価値観は変わると思う

お金の価値観は一人一人違う、同じ人間でもその時の置かれた状況によって変わって見える

ーーお金をめぐる濃いキャラクターが続々と登場するお話ですが、最初にこの作品のお話を聞いたときはどう思いましたか?

「とにかく脚本がおもしろいと思いました。私は時代と共に変わる人とお金の関係にもともと興味があって、自分なりに勉強していたことがあったんです。脚本にはお金が人にとってどう見えていくかということがすごく丁寧に描かれていたので、純粋にこの作品がやりたいなって思いました」

ーーこの作品で演じたあきらはどんな女性だと思って演じました?

「時に辛辣なことを言いますけど、自分の探究心と好奇心に正直な子だと思いました。自分がその場において、どのポジションでいるのが正解なのか考えたり、TPOをわきまえたり。あえてそのTPOを少し崩したほうが正解なんじゃないかとか、そういうバランス感覚を持っている子。自分がいる環境において100%の力を出すことはできるけど、終わった後に冷静な自分の中の統計を出すことができる子だったから、そこをどう演じるかを監督と相談しながらやっていました。私とは正反対の性格だったんですけどね(笑)」

ーーお金に翻弄される人々はみんな強烈でした。彼らの生き方について感じたことは?

「主人公の一男の妻である万左子以外はみんなおかしな人ですよね(笑)。ただお金っていう圧倒的な存在に人が翻弄されていくというテーマはすごく現代らしいと思いました。私は親がバブル世代なんです。親と子といういちばん密接な関係でもお金の価値観ってまったく違っていて、どういうものを買って、大事にするのか全然違うんですよね。そう思うと、本当に人間一人一人お金の価値観が違うし、同じ人間でもその時置かれた状況によって見え方が変わって見えるんだろうなって思います」

2/自分は本質的に“何が好きか”、“何をおもしろいと思うか”を知るのが大事

一人の人として成立するために広い視野を持って勉強して取捨選択をするのが大事

ーーエライザさんご自身の生き方についてもお聞きしたいのですが、今の「自分らしさ」ってどんなものだと思いますか?

「今はいろんなことを発信できるように、自分の本質的な部分で何が好きか、何をおもしろいと思うかを知る時期なんだと思います。そしてそれを忘れずに蓄積する。そのためには広い視野を持って勉強して、その後で一人で冷静になって取捨選択をしないといけない。そしてそこで残ったものが自分の意見なんだなって、改めて考える。そういうことが自分らしさにつながるのかなって思います」

ーー今は女優としてもどんどん進化している過程なのかなと思います。仕事のためにどんな勉強をしていますか?

「仕事のためというか、まず一人の人として成立していないとこの仕事はできないなと、私は思っています。なので世の中の政治的な流れを勉強して、その中で自分がどう対応していくのか考えたりしますね。例えば、お金にしても物々交換の時代があって、紙幣ができて、今は仮想通貨という目に見えないものを交換するようになった。自分なりに勉強したことがたまたま映画に使えたりもするので、『このために勉強しよう』というよりは、まずは知識を蓄えておきたいタイプです」

ーーそのためにも広い視野を持って、たくさんのことに興味を持っているのは大事。

「自分の好奇心が動けば自然と知りたくなりますよね。いろいろ学んだ上で、好きなものは好きとわかることもあるだろうし」

女優の醍醐味は、他の人の人生を疑似体験できること

演じることは人として成長できるツール。自分とその役との違いを感じ噛み砕く

ーーでは女優というお仕事の楽しさややりがいってどんなところだと思いますか?

「他の人の人生を疑似体験ができるところです。自分が容易にできないことを、演じている女性はたやすくできたりする。そこで、私と彼女の違いって何だろう、何で彼女にはできて私にはできないんだろうって考えるんです。その時はわからなくても気づいたら自分もできるようになったり、噛み砕いてその違いがわかるようになっていることもある。必ずできるわけではないけれど、人として成長できるツールとしてすごく役立っていると思います」

ーー人として、または女優として、自分を成長させるためのマイルールを挙げるとしたら?

「偏見を持たない。嫌いな人がいてもいいと思うんですけど、自分のエゴや自分の欲望が満たされないから『あの人嫌い』って話を聞いて、すごくさみしくなることが多いんです。あの人のほうが自分より優れているから嫌いって思うのはすごくもったいない。何で自分ができないことを彼女はできるのか、その事実をおもしろがれるような考え方や捉え方をしたほうが幸せなホルモンも出るのかなって思います。私は自分が好きなものは好きっていうタイプだから、人に対してはむやみに嫌いって思いたくないんですよね」

ーー私より幸せだからあの人好きじゃないとか、そういう妬みみたいな感情から嫌いになったりすることってありますよね。

「そういうときに鏡を見ると、本当にへこみます。何て顏をしてるんだろうって。そして自分の心が醜いって思うと、他人を嫌いになる資格なんてないってどん底に落ちていくタイプなんです。そうならないためにも相手の素晴らしいところを見つける……見つけるというか否定しない!」

ーーということはあまり他人と自分を比較しないほうですか?

「もともとは比べやすいです。比較して落ち込むタイプ(笑)。だから自分のためにも、『彼女はここがステキだけど、私もここを持っていて、人それぞれなんだ』って毎日しつこいくらい考えるようにしています」

4/あなたの悩みも、透明にはならないけど、半透明くらいになるかもしれない(笑)

理想は圧倒的な存在に思えてしまうから怖い。その理想に疑問を持てば楽になれる

ーー「女性はこうあるべき」みたいな理想に惑わされている女性たちも多いようです。エライザさんは「自分はこうあるべき」と考えることはありますか?

「理想は圧倒的な存在に思えてしまうから怖いと思います。だから世間にはびこっている理想に対して疑問を持つとすごく楽になるんじゃないかなって」

ーー「こうあるべき」というのは、周りが勝手に押しつけている理想である、と。

「『女優はこうあるべき』というものはあるけど、私は『みんなそれで苦しんでない? 本当にそれで幸せ?』って疑問を持っているので、あまり苦しめられていない気がします。今は災害も多いし、芸能界なんて不謹慎だってなるかもしれない。そんな状況で何もなくなったときに、私は一人の人として自立していられるのかなって考えます。そして女優として粛々としているべきと思い込んでいたら、人としてのたくましさも育ててあげられないんじゃないかと思うので、まずは一人の人として立っていられるようになりたいなって私は思います」

ーー悩み多き人たちに伝わって欲しいことなど何かメッセージを。

「『億男』は大まかに言うとお金のお話なんですけど、これはいろんなことに例えられるなって思います。本当にそれくらい秀逸なセリフが多くて、自分が今、漠然と悩んでいること振り回されていることに対して、その正体を暴いてあげることができる映画になっているんじゃないかなと、あきら的視点でいうと思います(笑)。なので悩みに打ち勝ちたい方、何を悩んでいるかすらわからない方に見ていただくと、透明にはならないけど、半透明くらいにはなるんじゃないかと思います」

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Photographs:Yutaka Matsumoto
Writing:Yuko Sakuma
Edit:TRILL編集部

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