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フェリチンを増やす食べ物とは?鉄分の吸収を高める食事術

  • 2026.11.1

健康診断で貧血を指摘されたことはないのに、なぜか疲れやすい、寒がりになった、抜け毛が気になる。そんな症状と関係している可能性があるのが「フェリチン」だ。体内に蓄えられた鉄の量を知る手がかりとなるこの数値は、日々の食事を工夫することで改善できる場合があるという。栄養の専門家がすすめる食べ物と、意外と見落としがちな“食べ合わせ”をまとめた。(フロントロウ編集部)

フェリチンは「鉄の貯金」

血液検査でよく目にするヘモグロビンが、酸素を運ぶ役割を担うたんぱく質であるのに対し、フェリチンは体内に鉄を蓄える役割を持つたんぱく質だ。米ハーバード大学公衆衛生大学院の栄養情報サイト「The Nutrition Source」によると、鉄はフェリチンなどの形で肝臓や脾臓、骨髄などに蓄えられている。

管理栄養士でReal Nutrition創業者のエイミー・シャピロ氏は、米Vogueに対し、フェリチンを「鉄の貯金口座」に例えた。フェリチン値の低下は、貧血が現れる前に、体内に蓄えられた鉄が減っていることを知らせる初期のサインになる場合がある。そのため、ヘモグロビン値が正常でも、疲労感や頭がぼんやりする感覚、冷え、抜け毛などの症状が現れることがあるという。

鉄不足は段階的に進む。まず体内の貯蔵鉄が減少し、不足が続くと赤血球をつくるための鉄が足りなくなり、最終的に鉄欠乏性貧血に至る。月経のある女性や妊婦、成長期の子ども、菜食中心の人、持久系スポーツのアスリートは、不足しやすいとされている。

スポーツ栄養の専門家であるロクサナ・エサニ氏は、鉄を豊富に含む食事を継続することでフェリチン値の改善が期待できるとしたうえで、「一晩で増えるものではありませんが、数週間で上がることもあります」と話す。目安として、1日1食は鉄を十分に摂取できる食事を取り入れることをすすめている。

肉や魚の「ヘム鉄」、豆や野菜の「非ヘム鉄」

食品に含まれる鉄には、主に2つの種類がある。肉や魚介類に含まれる「ヘム鉄」は、体内に吸収されやすい。一方、豆類や野菜、鉄分を強化したシリアルなどに含まれる「非ヘム鉄」は、ヘム鉄に比べて吸収率が低いものの、鉄分を補ううえで重要な栄養源となる。

エサニ氏が紹介した食品は、牛肉、鶏肉、豚肉、魚介類、鉄分を強化したシリアル、糖蜜(モラセス)、豆類、レンズ豆、ほうれん草、豆腐など。ヘム鉄を含む食品としては、カキやアサリ、ムール貝、牛や鶏のレバー、イワシの缶詰なども知られている。日本のスーパーで手に入りやすいものも多く、レバニラ炒めやアサリの味噌汁などは、日々の食事に取り入れやすいメニューと言えそうだ。

ポイントは食材の組み合わせだ。シャピロ氏は、ヘム鉄と非ヘム鉄を同じ食事で摂取することをすすめている。米国立医学図書館の医療情報サイトMedlinePlusでも、赤身肉や魚、鶏肉を豆類や濃い緑色の葉野菜と一緒に食べることで、植物性食品に含まれる鉄の吸収率が高まると説明されている。

ビタミンCと「鉄のフライパン」で吸収アップ

どの食材を選ぶ場合でも、エサニ氏がすすめるのはビタミンCとの組み合わせだ。トマトやイチゴ、パプリカ、オレンジなどを一緒に食べると、特に非ヘム鉄の吸収を助けてくれる。柑橘類やじゃがいもも、ビタミンCを摂取できる食材だ。ほうれん草のおひたしにトマトを添えたり、食後のデザートにイチゴやオレンジを選んだりするなど、ちょっとした工夫で取り入れられる。

もう一つのコツが調理器具だ。エサニ氏によると、鋳鉄製のフライパンで調理すると、調理中に鉄が食材に溶け出すことがあるという。鋳鉄製の調理器具を使用することで、料理に含まれる鉄の量が増える可能性は、医療系の情報サイトでも紹介されている。ただし、溶け出す鉄の量は食材や調理方法によって異なる。

食後すぐのコーヒーやお茶は少し時間を空けて

写真:Getty Images

シャピロ氏とエサニ氏は、鉄の吸収を意識するからといって、特定の食品を完全に避ける必要はないと説明する。大切なのは、食べ合わせや摂取するタイミングだ。

代表的なのが、コーヒーとお茶。これらに含まれるポリフェノールなどの成分は、非ヘム鉄の吸収を妨げることがあるため、シャピロ氏は鉄分の多い食事の少なくとも1時間前、または1時間後に飲むようアドバイスしている。食後すぐにお茶を飲む習慣がある人は、少し時間を空けることを意識するとよさそうだ。

カルシウムも鉄の吸収に影響する可能性があるため、カルシウムのサプリメントは鉄分の多い食事や鉄剤とは別の時間帯に摂取することがすすめられている。また、小麦ふすまや穀物、豆類などに含まれるフィチン酸も、非ヘム鉄の吸収を妨げる成分の一つ。豆類や穀物を水に浸したり、発酵させたりすることで、フィチン酸の量を減らせる場合がある。

さらに、卵に含まれる一部のたんぱく質や、赤ワインに含まれるポリフェノールも、鉄の吸収に影響する可能性があるという。ただし、これらの食品を食生活から排除する必要はなく、鉄分を効率よく摂取したい場合は、食べ合わせやタイミングを工夫することが大切だ。

なお、疲労感や冷え、抜け毛などの原因は、必ずしも鉄不足とは限らない。ハーバード大学のサイトでは、慢性的な炎症に伴う貧血では鉄分を多く摂取しても改善しにくいことや、体内に鉄が過剰に蓄積する遺伝性の病気があることにも触れている。また、フェリチン値は炎症などによって高くなる場合もあるため、数値だけで鉄不足を判断することはできない。

鉄分のサプリメントを自己判断で飲み始めるのではなく、気になる症状が続く場合は医療機関で血液検査を受け、医師に相談することが望ましい。

飲み物と体の関係では、コーヒーを飲んだあとの歯磨きのタイミングや、寝る前の食事の選び方も話題になった。毎日の食事で鉄分を意識することに加え、食材の組み合わせや飲み物を摂取するタイミングを少し工夫することが、体内の鉄不足を防ぐ第一歩になるかもしれない。

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