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【乗って楽しむスイスの世界遺産!】アルブラ線・ランドヴァッサー高架橋を巡る絶景鉄道旅

  • 2026.11.2

スイスの世界遺産というと、歴史ある街並みや壮大なアルプスを思い浮かべますが、実は「鉄道」そのものを含む世界遺産があることをご存じですか? スイス東部・グラウビュンデン州を走るレーティッシュ鉄道。そのアルブラ線とベルニナ線、そして周囲の景観は、2008年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。今回のスイス旅では、実際に世界遺産・アルブラ線の普通車両に乗車。車窓いっぱいに広がるアルプスの景色や、名物のランドヴァッサー高架橋を楽しんできました。スイストラベルパスでの乗り方や1等車、優雅な食堂車まで、スイスならではの鉄道旅をご紹介します。

 

鉄道が世界遺産!?「レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線」

世界遺産の正式名称は「レーティシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」。

レーティッシュ鉄道・ベルニナ線 © RudiErnst / PIXTA

北側のアルブラ線は1904年に開通した全長約67kmの路線で、42のトンネルや覆道、144の高架橋や橋を通ります。一方、サン・モリッツとイタリアのティラーノを結ぶベルニナ線は全長約61km。こちらにも13のトンネル・覆道と52の高架橋・橋があります。

すごいのは、単に「100年以上前につくられた古い鉄道だから」世界遺産になったわけではないこと。

急峻なアルプスを越えるため、橋やトンネル、らせん状に高度を稼ぐループ線などを駆使しながら鉄道を通し、しかもそれらが周囲の山岳風景と一体となった景観をつくり出していることが高く評価されています。今では当たり前のように列車が走っていますが、これを100年以上前につくったと考えると、車窓の見え方もちょっと変わってきます。

今回の旅では世界遺産のアルブラ線・普通車両に乗車

ちなみにレーティッシュ鉄道はスイス東部を走る鉄道会社の名前で、世界遺産に登録されているのは、その路線のうちアルブラ線とベルニナ線、そして周囲の景観です。どちらも普通車両が運行しているほか、「ベルニナ・エクスプレス」などの観光列車でも旅することができます。線路幅はわずか1m。日本の新幹線などで使われる標準軌の1,435mmよりも狭い線路で、険しいアルプスを縫うように走っています。

スイストラベルパスなら乗車券代込み!ただし予約に注意

スイスを鉄道で巡るなら便利なのが「スイストラベルパス」。有効期間中なら、対象となる鉄道やバス、船などをその都度切符を買わずに利用でき、さらに500以上の対象ミュージアムに無料で入館できるという、スイス旅には必須とも言えるパスです。

世界遺産に登録されているアルブラ線・ベルニナ線も対象で、普通車両なら原則として座席予約も不要。気軽に世界遺産の鉄道旅を楽しめます。

検札の際には、スマートフォンに表示したパス、または印刷したパスを提示します。毎回切符を買ったりする必要がないので、慣れてしまうと驚くほどスムーズです。

ただし、同じ路線を走る観光列車「ベルニナ・エクスプレス」のパノラマ車両は全席指定。スイストラベルパスを持っていても、別途座席予約と予約料金が必要なのでご注意を。

豆知識①スイスの鉄道は改札がない!

スイスの鉄道駅では、日本のような自動改札を基本的に見かけません。切符を機械に通してホームへ入るのではなく、そのままホームへ向かい、列車に乗車します。乗客が乗車前に有効な切符やパスを持っていることを前提にした「オープン」な仕組みなのです。

ゆったり絶景を楽しむなら1等車がおすすめ

今回の出発地は、標高約1,700mに位置するSamedan。ここから終着地のChurまでレーティッシュ鉄道で北上します。SamedanからThusisの区間は、まさに世界遺産に登録されているアルブラ線です。

ちなみに今回乗車したのは普通車両のレーティッシュ鉄道の1等車。車両によって仕様は異なりますが、2等車よりも座席数が少なく、シートや足元にもゆとりがあるのが魅力。何時間も列車に揺られる旅では、この空間の余裕が思った以上にありがたく感じます。

※スイストラベルパスには1等用と2等用があるため、利用する車両の等級に合ったパスや乗車券を用意してください。

窓の外には、緑の谷や森、小さな集落、その奥にはアルプスの山々。次々と景色が変わるので、本を読もうと思ってもつい外を眺めてしまいます。世界遺産というと「目的地に着いてから見るもの」というイメージがありますが、この旅では座っている場所そのものが世界遺産の中。移動時間なのに、なんだかずっと観光しているような気分です。

さらに今回乗車したルートを走る列車には、「Gourmino(グルミーノ)」と呼ばれる食堂車があります。

1930年代の食堂車をスタイリッシュに復元した車内には、白いテーブルクロスがかかったテーブルやクラシカルなランプが並び、列車の中とは思えない優雅な雰囲気。アルプスの景色を眺めながら、地域の食材を使った料理を楽しめます。座席はわずか30席。利用区間の有効な1等または2等の乗車券があれば利用でき、専用の乗車券は不要です。食事代などは別途必要で、事前予約がおすすめ。全区間ではなく、途中駅から一部区間だけ利用することもできます。

豆知識②かなり正確な時刻表

レーティッシュ鉄道が発表した2025年の利用者定時性は91.5%。工事や自然条件の影響を受けやすい山岳鉄道ながら、この高い数字には驚きます。実際の旅でもほぼ時刻表どおりに運行し、短い乗り換えもスムーズでした。

車窓最大のハイライト!ランドヴァッサー高架橋

アルブラ線で絶対に見逃したくないのが、「ランドヴァッサー高架橋」。高さ約65m、長さ142m。5本の巨大な石造りの橋脚と6つのアーチからなる高架橋で、この世界遺産を代表する風景のひとつです。1901〜1902年に建設されたもので、100年以上前からこの高さに列車を通していると思うと、改めてその技術力に驚かされます。

暗いトンネルを抜けた瞬間、目の前に深い谷が開け、そのままランドヴァッサー高架橋へと飛び出します。窓の外に目を凝らすと、深い谷と石造りの橋脚、その上をカーブしながら進む列車の姿がちらりと見えるはず。

ほんの一瞬の出来事なので、見逃さないように!

アルブラ線を走る「Alvra(アルヴラ)」車両には、大きな窓を開けて撮影できる専用のフォトスペースがあり、ランドヴァッサー高架橋のような一瞬の絶景を狙うのにもぴったり。窓越しでは反射が気になりがちな鉄道写真も景色をしっかり狙えるので、通過時間をあらかじめ確認して少し早めに移動しておくのがおすすめです。アルプスの風をダイレクトに感じられるのも爽快。列車に揺られながら、車窓の景色をより身近に感じられます。

豆知識③箱根登山鉄道との関係も!?

実は、レーティッシュ鉄道は、箱根登山鉄道と正式な姉妹鉄道ということでも知られています。もともとのつながりは1912年までさかのぼり、日本人技師が険しい箱根の山に鉄道を敷く際、ベルニナ線を参考にしたことがきっかけなのだそう。箱根登山鉄道の1000形には、「ベルニナ号」という愛称も付けられているんですよ。

移動時間そのものが、世界遺産になる旅

旅ではつい「目的地に早く着くこと」を考えてしまいますが、レーティッシュ鉄道では移動中こそがハイライト。

100年以上前につくられた橋やトンネルを走り抜け、窓の外にはアルプスの山々。しかも、自分が乗っている線路そのものが世界遺産の一部だと思うと、いつもの鉄道旅とは少し違って見えてきます。

スイスを訪れるなら、目的地だけでなく目的地だけでなく、世界遺産の路線を走る時間も旅程に組み込んでみてはいかがでしょうか。

レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観

世界遺産登録路線:アルブラ線(Thusis〜St. Moritz、約67km)、ベルニナ線(St. Moritz〜Tirano、約61km)

スイストラベルパス:対象区間の運賃はパスに含まれる

予約:普通車両は原則不要。観光列車「ベルニナ・エクスプレス」のパノラマ車両は座席予約が必須(別途予約料金が必要)

公式サイト:レーティッシュ鉄道

※記事の内容は取材時点の情報です。訪問・利用前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
 

©Chiharu Kubota


 

取材協力

スイス政府観光局

スイス インターナショナル エアラインズ

スイストラベルシステム

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