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元カミセンが映画館に集合!森田剛、三宅健、岡田准一の“出演作ラリー”を完遂せよ

  • 2026.11.1

まさに“ますます脂が乗った”お年頃!今年の秋冬シーズン、森田剛、三宅健、岡田准一らComing Centuryこと元カミセンの出演作が続々公開され、その魅力がスクリーンでスパークする。ある意味、それぞれが衝撃的な姿をさらす、“役者魂”が刻印されたチャレンジングな芝居で、3人のファンのみならず、映画ファンを虜にすること請け合いだ。

【写真を見る】主人公、竜二の兄弟分カズを友情と愛憎をないまぜに演じた三宅健(『RYUJI 竜二』)

小市民が共感せずにいられないチャーミングな中年男を体現する森田剛

まず、森田剛は主演作『見上げてごらん』(公開中)で、巨匠マンガ家のアシスタントを長年務め、人気声優の妻と別居して高校受験を控えた娘と暮らす土屋輝一を演じる。仕事場では後輩アシスタントと気さくに付き合い、家に帰ればパパっと家事もこなす好人物だが、一旦スイッチが入ると面倒な男に変貌!当然ながら彼自身も独立したマンガ家を目指しているわけで、それがある種の“地雷”になっているのだ。そんな彼のもとに、40歳の新人アシスタントと組んで、新作マンガを手掛ける企画が舞い込み――。

森田剛演じる巨匠マンガ家のアシスタント、土屋輝一(『見上げてごらん』) [c]2026 「見上げてごらん」製作委員会
森田剛演じる巨匠マンガ家のアシスタント、土屋輝一(『見上げてごらん』) [c]2026 「見上げてごらん」製作委員会

巨匠からの信頼も厚く、器用で絵が上手い土屋の技術力の高さは誰もが認めるところ。それだけにマンガ愛も自負とプライドもメガ級だ。マンガ家としての成功を諦められないけれど、巡ってきたチャンスに体当たりで挑むのもちょっと怖い…。結構なキャリアを積んだ42歳は、なりふり構わず猛進できるほど若くはない。できるなら人生の決着はグレーにしておきたい。

マンガ家としての成功を諦めたわけではないが…(『見上げてごらん』) [c]2026 「見上げてごらん」製作委員会
マンガ家としての成功を諦めたわけではないが…(『見上げてごらん』) [c]2026 「見上げてごらん」製作委員会

だが一方で、自分を追い越し売れっ子マンガ家になっていく、後輩の活躍もおもしろくない。辛辣な嫌味や批判を放つ様子に観ている側も「イタタタタ…」となりながら、気持ちがわかるだけに脇腹をくすぐられずにいられない。妻に対するコンプレックスや嫉妬も然り。そんな可笑しくてイタくて情けない“こじらせ男”を、人生と格闘するリアルな男の重量をたたえて森田が体現。嫌悪感ギリギリのところを攻めながらも、我ら小市民が共感せずにいられないチャーミングな中年男へと転がす、舞台で鍛えてきた技と存在感が光る。

マンガ愛の自負とプライドから、時々面倒くさい男に変貌(『見上げてごらん』) [c]2026 「見上げてごらん」製作委員会
マンガ愛の自負とプライドから、時々面倒くさい男に変貌(『見上げてごらん』) [c]2026 「見上げてごらん」製作委員会

兄弟分への愛憎が情けない三宅健の多層的な味

一方、『見上げてごらん』と同じ10月30日に公開された『RYUJI 竜二』で三宅健が演じるのは、柳楽優弥扮する主人公、竜二の兄弟分のカズ。兄弟分とはいえど、ヤクザの世界から足を洗おうとする竜二の足を、友情と愛憎がないまぜになって引っ張る“多層的な味”が重要な役どころだ。

金子正次による名作『竜二』を柳楽優弥主演でリメイクした『RYUJI 竜二』 [c]2026「RYUJI」製作委員会
金子正次による名作『竜二』を柳楽優弥主演でリメイクした『RYUJI 竜二』 [c]2026「RYUJI」製作委員会

舞台は1984~90年の新宿・歌舞伎町。面倒見がよく舎弟に慕われ、腹の据わった度胸で上からの信頼も厚い竜二が、愛する女性と家族を持つのを機に、裏社会から足を洗おうとするのだが…。

【写真を見る】主人公、竜二の兄弟分カズを友情と愛憎をないまぜに演じた三宅健(『RYUJI 竜二』) [c]2026「RYUJI」製作委員会
【写真を見る】主人公、竜二の兄弟分カズを友情と愛憎をないまぜに演じた三宅健(『RYUJI 竜二』) [c]2026「RYUJI」製作委員会

兄弟分として一緒に生きてきただけに、カズにはそれが許せない。裏切られた気持ちが膨らむ。どこか置いてけぼりにされたような。そんな恨みや愛憎を滲ませながら、真人間になろうとする竜二とは真逆の道、薬物に溺れていく厄介な鼻つまみ者に堕ちてゆく様を、三宅が「まさに!」と唸らせるヤバさを漂わせて熱演。くわえ煙草にコートを肩に羽織り、風を切って歩く姿、薬でボロボロになって結局、竜二に泣きつく情けなさなど、観客の感情を大いに揺り動かしてくれる。森田も三宅も別種の情けなさと憎めなさ、さらに嫌悪感ギリギリ回避な人物像を、それぞれの“らしさ”を利かせて演じ切り魅せてくれる。

天才ジャズピアニストの風格を全身全霊で熱演した岡田准一

そして、いまや俳優のみならず、プロデューサーとしてもファイトコレオグラファーとしても日本映画界になくてはならない存在となった岡田准一は、この秋冬で2作品に出演。主役としてもバイプレイヤーとしても、さすがの演技で燦然たる煌めきを放つ。

公開中の西川美和監督作『わたしの知らない子どもたち』では、戦争孤児となった主人公らを手先として使いながら面倒を見るヤクザの親分、菊沢役で出演。もちろん、菊沢には子どもたちを悪事の手先として利用する目的もあろう。とはいえ大人の狡さに留まらず、孤児らの精神的&物理的な拠りどころともなっていく、子どもたちが憧れや頼りがいを覚える大人の男としての魅力や人情を、岡田が十二分に全身に纏ってスクリーンで躍動する。演技経験の少ない子役たちをガッチリ脇から束ねて支える、重要なキーマンとして作品への多大なる貢献がうかがえる。

『わたしの知らない子どもたち』に戦争孤児の面倒を見るヤクザの親分、菊沢役で出演した岡田准一 [c]2026 K2 Pictures・AOI Pro.
『わたしの知らない子どもたち』に戦争孤児の面倒を見るヤクザの親分、菊沢役で出演した岡田准一 [c]2026 K2 Pictures・AOI Pro.

さらに、第39回東京国際映画祭オープニング作品にも選出された『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』(12月25日公開)では堂々の主演。岡田は主人公の天才作曲家、中村八大を演じている。天才ジャズピアニストとして頭角を現した中村を演じるにふさわしいピアノの腕前と風格を、『ラ・ラ・ランド』(16)のライアン・ゴズリング張りに岡田がいかんなく発揮している。

聞き覚えがない人も多いかもしれないが、中村こそが坂本九が歌う「上を向いて歩こう(英題:SUKIYAKI)」を作曲した人。本作では作詞家の永六輔に歌詞を依頼する経緯から、かの曲が世界的大ヒットを記録するに至る過程が、実にスリリングに描かれる。中村が坂本を抜擢し、抑揚をつけて歌わせたことに永が怒り狂ったり、のちに名前をもじって「689トリオ」と呼ばれて一世を風靡した3人の友情、才能の共鳴やぶつかり合いなど、永役の松坂桃李、坂本役の仲野太賀との演技派3人による人間ドラマが実に味わい深い。

岡田准一が天才作曲家、中村八大を演じた『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』 [c] 2026 映画「SUKIYAKI 上を向いて歩こう」製作委員会
岡田准一が天才作曲家、中村八大を演じた『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』 [c] 2026 映画「SUKIYAKI 上を向いて歩こう」製作委員会

近年、アクションや男気系な役が多かった岡田の、麗しさや繊細な憂いなどを久々に堪能できるのもうれしいところ。天才ゆえの葛藤、凡人には理解できない苦悩やこだわり、譲れないものなど、青年期から晩年まで刻々と移りゆく姿を岡田が全身全霊で熱演する。数々の名曲がどのように生まれたか、それを取り巻く当時の日本のショービス界の様子や人間関係に至るまで、すべて興味津々だ。

この秋冬は、元カミセン映画スタンプラリーを完遂することを、ぜひともお勧めしたい。

文/折田千鶴子

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