1. トップ
  2. 72歳で「元気なうちに」老人ホームへ。元日テレアナウンサー・石川牧子さんが語る、この決断で得られた大きな安心感とは?

72歳で「元気なうちに」老人ホームへ。元日テレアナウンサー・石川牧子さんが語る、この決断で得られた大きな安心感とは?

  • 2026.10.31

72歳で「元気なうちに」老人ホームへ。元日テレアナウンサー・石川牧子さんが語る、この決断で得られた大きな安心感とは?

72歳で終の住み処となる老人ホームに入居した、元日本テレビアナウンサーの石川牧子さん。アナウンサーとして華やかなキャリアを積んだ石川さんが、元気なうちに老人ホーム入居を選択したその理由と経緯を伺いました。

PROFILE
石川 牧子さん

いしかわ・まきこ●1949年山形県生まれ。東京女子大学短期大学部卒業後、日本テレビにアナウンサーとして入社。
『アメリカ横断ウルトラクイズ』など数々の名番組の司会を担当し、民放キー局で女性初のアナウンス部長に。第一線を引退後、2014年5月まで日テレ学院学院長としてアナウンサーの指導・育成に携わり、コーラスグループ「フォレスタ」ライブの司会を16年間務めた。NPO法人日本マナー・プロトコール理事、BSよしもと番組審議員など多数歴任。
著書に『お母ちゃんが起きられなくなった 東京仙台遠距離介護記』(小学館文庫)ほか。

終活の神様は突然、舞い降りた

かつて日本テレビでアナウンサーとして活躍した石川牧子さん。人気番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』の司会のほか、報道、スポーツ、バラエティまで幅広く担当し、民放キー局で女性初のアナウンス部長となったレジェンドだ。

今もフリーランスで司会業やいくつかの団体の理事や評議員を続ける石川さんだが、5年前に72歳で老人ホームに入居した。その若さでなぜ? その答えが『自分らしく老いる覚悟。元祖女性アナウンス部長 私、老人ホームに入りました!』だ。

アナウンサーとして華やかに活躍する表の姿しか見ていなかった私たち。でも、その裏で東京と仙台を往復する親の遠距離介護、そして看取り、さらに弟の孤独死という苦難を乗り越えていたことを知って驚いた。

そんな壮絶な体験を経て、「この先、何が起こるかわからない。独り身の私は、せめて他人に迷惑をかけないよう自分の後始末は自分自身でしよう」と決意。体が動き、頭がしっかりし、判断力があるうちに自分の意思で未来に備えたいと考えた。

そして偶然、理想の住まいに出合ったとき、「今が絶好のタイミング」とすぐに不動産仲介業者に住まい売却を依頼。翌年、入居資金と生活費のめどが立つと、3LDKから1LDKになる間取りに合わせてモノを減らし、引っ越し準備を開始した。

いつかやらなくては、と思いつつ「まだいいか」と先延ばしにしがちな終活。それを見事にやってのけた石川さんの判断力と行動力に感服する。その過程で生じた心の揺れやとまどいも含め、後から続く私たちの参考になることが満載。これは、終活の先輩の貴重な体験記であり、勇気を与えてくれるメッセージ本だ。

終の住み処に求めたものは「どこで」より「誰と」

「6年前にたまたま、習っていた馬頭琴(ばとうきん)の先生が老人ホームでコンサートをされるというので、興味本位でついていったところ、そこは、私のイメージとは違う、『住んでみたい』と思える老人ホームだったのです」

目に見える建物や設備などだけでなく、コンサートを聴きに来ていた入居者たちの雰囲気もよかった、と石川さん。

「コンサート会場となったエントランスホールの音響のよさにも感心しましたが、何より集まった方々の雰囲気にひかれました。穏やかで礼儀正しく知的好奇心旺盛……。年齢を重ねてからも自分らしく過ごすために、一緒に暮らす人たちは重要です」

終の住み処選びで「人間関係」を最も重視した石川さん。とはいえ、「私はここで友達を作りたいわけではなく、ゆっくり穏やかな生活を送りたいと思って入居しました。長い間、回転が速く、音があふれた、がちゃがちゃとした環境にいたので」。

仕事や友達とのランチなどで週に最低2~3日、電車で都心に出かける他は自室で思うがままに過ごすことが多いという。他の入居者と廊下ですれ違うときは、笑顔で挨拶。気心の知れた人とは一緒にお茶をしたり、夕食をともにすることもあるが、つかず離れずの大人のつき合いが大切だと感じている。

「うれしいのは、外から帰ってくると知らない方でも『おかえりなさい』と言ってくれること。家に帰ってきた感じがして、ほっとします」

決断のごほうびは「大きな安心感」

本書でも触れられているが、改めて「決断してよかったこと」を3つ挙げてもらった。

「一番は『安心』ですね。入居当初、足の指を深爪してしまって歩くのが大変で、終日部屋にこもっていたら、受付のスタッフが電話で、『今日は一度もお顔をお見掛けしていませんが大丈夫ですか?』と。ここにいれば、もしものときも孤独死は免れる、必ず誰かが手を差し伸べてくれるという安心感があります」

見守りの他、食事面での安心感もある。

「私は基本的に自炊派ですが、仕事で疲れたときなどは施設内のレストランで食事をすることも。決まった時間内であれば朝昼晩、予約なしで食べられるのはありがたいです」

「お金の心配がなくなった」ことも大きいという。

「ここは所有権ではなく、利用権なので固定資産税がかかりません。管理費やサービス料はめったに値上がりしませんし、あとは公共料金、医療費、食費、友達とのランチ代など交際費がかかるくらい。今後、必要なお金がある程度見通せて安心です。マンションにいたときは、『修繕費が足りないので一世帯これくらい負担してほしい』とか管理費の値上げや固定資産税などがありましたが、今はそういう心配から解放されました」

他にも、さまざまなメリットを感じているという石川さん。単なるガイド本とは違い、自らの意思で終の住み処を決めたリアルな体験や心情が綴られた一冊は、私たちの行く手を明るく照らしてくれる。

石川牧子さんが「ゆうゆうアカデミー」にてトークショーを行います!

2026年11月7日(土)、東京・目黒の主婦の友社にて行われる「ゆうゆうアカデミー」にて、石川牧子さんが登壇されます。ぜひ、お越しください!

※この記事は「ゆうゆう」2026年秋号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

撮影/佐山裕子(主婦の友社) 取材・文/依田邦代

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ