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彼女の実家の座敷で、「田舎の女は無理」と送った俺がお父さんに伝えたこと

  • 2026.11.2
ハウコレ

駅のホームで、彼女から届いた2通のメッセージを読み返していました。お父さんから地元へ帰ってこないかと言われた、という話です。その下に続いた問いかけへの返事を、なかなか打てずにいました。

前にも聞いた「地元に戻る」

彼女の言葉で思い出したのは、3年前に別れた前の恋人のことでした。その人は地方の出身で、家の事情で地元に帰ると言い、最後に届いたのは「向こうで生きていくって決めた」というメッセージ。それきり連絡は途絶えました。彼女の2通目には、こう書かれていました。

「もし私が地元に戻ったら、一緒に来てくれる?」

一緒に行く、と打てば済む話です。けれど、知らない町でまた1人取り残される場面ばかりが浮かんで、その一言が打てませんでした。

置いていかれる前に、自分から突き放してしまえばいい。そんな考えのまま送ったのが、あの言葉です。

「田舎の女は無理」

「そっか。わかった」

少しして届いた短い返信を見て、取り返しのつかないことをしたと分かりました。

謝る言葉が、どれも言い訳に見えた

「ごめん」とだけ打っては消し、理由を書き足そうとすると、前の恋人のせいにしているようにしか読めません。彼女と前の恋人は別の人なのに、ひとまとめにしたのは俺のほうでした。

3日目、部屋の引き出しを開けたときに目に入ったのが1枚の送り状です。去年の秋、彼女のお母さんが「いつも娘がお世話になって」と俺にも野菜を送ってくれたときのもの。その野菜は甘くて、スーパーのものとは味が違いました。

あの野菜を育てた人たちの町を、俺は一言で片づけてしまった。一緒に行けるかどうかも、その町を見ないまま答えるのは違う気がしたのです。

畳に手をついた座敷で

翌日は会社を休み、電車とバスを乗り継いで半日。送り状の住所にあった家では、お母さんが目を丸くして迎えてくれました。

座敷でお父さんと向き合い、お茶を運んできたお母さんの前で、まず畳に手をついて頭を下げました。お母さんが席を外してから、顔を上げて話し始めました。

まずは、彼女に何を送ったのかをそのまま伝えるところから。前の恋人のことも、怖くて先に突き放したことも話しました。そのうえで、「それでも一緒にいたいです。こっちで暮らすことも、ちゃんと考えます」と続けました。

お父さんは窓の外の畑を見たまま、しばらく口を開きませんでした。

「それは、俺じゃなくて娘に言いなさい」

そして...

帰りのバスで、彼女からメッセージが届きました。「うちの実家に行ったの?」。お父さんの言葉を思い出し、ここで全部を打つのはやめました。「明日、会って話せる?」と送ると、「うん」と返ってきました。

翌日、彼女の顔を見て頭を下げました。「ひどいことを送って、ごめん」。彼女は小さくうなずきました。

彼女は、座敷のことを何も聞いてきませんでした。お父さんに伝えた「それでも一緒にいたいです」は、父親へ言うより先に、本人へ伝えるべき言葉でした。「娘に言いなさい」と言われた意味が、ようやく分かった気がします。

次に会う日、座敷で話したことを全部、今度は彼女の目を見て伝えるつもりです。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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