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【インタビュー】桜田ひより、挫折を経て夜間中学に通い始めるヒロインを熱演 撮影の舞台裏を聞く

  • 2026.10.30

角川春樹の最後の総監督作品としても注目を集める、桜田ひより主演の映画『星の教室』が11月6日(金)より公開される。

髙田郁の同名小説をもとにした本作は、いじめが原因で学校へ通わず、十分な教育を受けないまま大人になったヒロイン・潤間さやか(桜田)が、「もう一度やり直したい」と夜間中学に入学し、年齢や国籍、境遇の異なる仲間たちや教師に心を開いていく姿を描くヒューマンドラマ。

さやかの母役で仙道敦子、父役で萩原聖人が出演するほか、原田泰造、真木よう子、中尾ミエ、浅野温子など豪華キャストが共演。『四月の永い夢』の中川龍太郎が監督を務める。公開を控えた桜田に、本作の見どころや役作りについて話を聞いた。

――桜田さんが演じたヒロインの潤間さやかは、いじめが原因で中学に通えず、20歳で夜間中学に通う、少し複雑な背景を持った女性です。桜田さんはさやかをどんな女性として見ていますか。

桜田:感受性が豊かな、内にこもりやすい女の子だと思っています。人の感情に敏感で、言葉だけではなく、周囲の人が放つ空気感や場の雰囲気にものまれやすい。だからこそ、人の気持ちに寄り添うこともできる、そんな女の子だと思います。

――さやかを演じるにあたって意識したことはありますか。

桜田:セリフがあまりない中、さやかは人の言葉というものをどう考えているのだろうと、それを頭に置いて演技をしました。さやかはずっと囚われているもの、抜けられない過去みたいなものをここに抱えていて、そこが今も重荷になって、人と接することに前向きになれなかったり、躊躇してしまうところがあるんです。台本を何度も読んで、その時の心情を自分なりに分析しながら演技をしました。

――この作品のオファーを受けた時は、どんな心境でしたか。

桜田:嬉しいという気持ちがあった一方、台本を読んで、このさやかという存在に私が向き合うことで、救ってあげたいという気持ちが芽生えました。外的要因から引きこもるようになって、自分をうまく出せないさやかが、どうしたら学ぶことの楽しさや、人と触れ合うことの楽しさというものを見いだせるかって。この子を外の世界に連れ出してあげたいという思いが、撮影中も常に自分の心の片隅にあったように思います。

――特殊な背景を持ったヒロインではありますが、現場で監督からはどんな指示を受けましたか。

桜田:特別なオーダーはなかったです。役者の持っているものを大切にしてくださる方で、現場で「こうした方がいいかな、ああした方がいいかな」っていう話をする中、最終的な決定権は私に委ねてくださっていました。私が思うさやか像と、監督が思うさやか像を少しずつすり合わせながら、作業をしていきました。

――印象的だったシーンはありますか。

桜田:冒頭の、さやかが人とぶつかってしまって、いじめられてしまうシーンは、自分の中でも大切にしたいと(監督に)お話をさせていただきました。やっぱり抜け出せない過去って人それぞれあると思うのですが、さやかにとっては、あの出来事が常に自分の心の片隅にあって、作品を通してずっと引きずってしまう。その場面はとても大切にしたいと思って演技をしました。

――非常に考えさせられる物語でもありますし、さやかの痛みも表現されたわけですが、撮影を終えた後に役に引っ張られたりといった部分はありますか。

桜田:基本的には撮影が終わると、役を引きずることはあまりありません。演じていたものと自分を切り離して考えられるタイプです。とても引っ張られて、さやかのように引きこもりがちになることや、マイナスな感情に覆われてしまうみたいなことはなかったです。

桜田ひより

――関西弁のセリフも登場します。関西弁は過去に出演した作品でも挑戦されていました。

桜田:はい。関西弁の作品が初めてというわけではなかったのですが、改めて音源データを頂いて、イントネーションの確認をしました。

――現場では共演者の方たちとどのように接していましたか。

桜田:年齢問わず、たくさんの共演者の方がいて、皆さんがそれぞれお話しされている姿を見て、私もそこに混ざりたかったのですが、さやかとして現場にいるので、やっぱりそうする雰囲気ではないというか、一歩引いて皆さんを見つめていました。それこそさやかは人の話を聞くということが好きな子でもあるので、それぞれが話している表情を観察していたり……。輪に深く入り込まず、少し距離を置いて皆さんを見ていました。

――舞台が夜間中学ということで、夜間中学の世界に触れて、どんなことを思いましたか?

桜田:私自身も夜間中学という存在は知っていたのですが、一体どういうところで、どういうことをしているのかというのは分からなくて。実際に通われていた方の卒業文集だったり、資料映像だったり、紙の資料を頂いて、時間割や登校時間、そういうのも見ながら「あ、(さやかは)こういうことしていたんだな」と想像しました。

――もらった資料の中で、特に印象的だと感じたエピソードがあれば教えてください。

桜田:それこそ昼の学校にはないことや、もちろん学校によって特徴が変わったり、経験していることも違うと思うのですが、私が頂いた資料の中の皆さんは、本当に生徒と先生の距離感が近くて、教室に通っている方全員が年齢、国籍問わず、仲間だという意識が強いなと感じました。横と横のつながりが強い印象で、皆さんのぬくもりや、温かさというものが、資料を通してどんどん自分の中に流れ込んでくる感覚がありました。

――作品の内容にも、その資料の中の世界が強く反映されているのですか。

桜田:皆さん、学びへの姿勢が本当に強く、前向きだなと感じました。学ぶということに対してのエネルギーの強さや、心の底から楽しいと思えている部分が、文字や表情から感じることができました。60代、70代、80代の方が通われていたり、10代も方が通われていて、まさにこの作品のままだと思いました。

(取材・文:名鹿祥史)

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