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皆本麻帆&山田元が挑む“日本初の女優”の物語 劇団ミュ『初恋』インタビュー

  • 2026.11.7
(左から)皆本麻帆、山田元 width=
(左から)皆本麻帆、山田元

岡本貴也が主宰を務める「劇団ミュ」が、12月4日より、Op.7 ミュージカル『初恋 Sada Yacco: Japan’s first actress』を上演する。2025年に上演したオリジナルミュージカルの再演で、今回は日本初の女優といわれる主人公・貞(川上貞奴)役を青野紗穂と皆本麻帆、新派劇の父として知られる川上音二郎役を磯野大と山田元、実業家・岩崎桃介役を中桐聖弥と坂田隆一郎がWキャストで務める。桜組キャストの皆本麻帆、山田元に、意気込みや作品の魅力を伺った。

【写真】雰囲気たっぷり 皆本麻帆&山田元の撮りおろしフォト

◆貞は“推し”、音二郎は“理想” 2人が語る役への思い

――台本や初演映像からどんな印象を受けましたか?

山田元:僕らがこの業界で仕事させてもらえるのは、貞と音二郎が土台を作ってくれたからだと思います。この2人じゃなかったら、今の演劇界はこういう形ではなかっただろうなと。演じられるのは俳優人生において意義深いことだと感じます。

皆本麻帆:2人がいたから、私たちが女優として舞台に立てている。貞は明治から戦争までの時代の中でもまれた女性ですが、今の私たちにも通ずる部分もありましたし、人間味あふれる人だという印象を受けました。すでにすてきな作品ですが、貞さんが喜んでくれるようなものにしたいです。

――役作りについて考えていることはありますか?

山田:音二郎はすごく革新的で前衛的、エネルギッシュな人だったと思います。後先考えずに行動してすぐお金がなくなるダメ男のような側面もあるけど、それが人間味にもつながっている。両極端な面をどう見せるか、作っていくのが楽しいだろうなと思っています。あとは、当時の政治や経済といった背景を理解するために資料を集めている段階です。

皆本:ミュージカルをやっていると、日本人を演じることは多くありません。さらに今回は女優の役ということで、一歩間違えると私そのままになってしまいそうな難しさがあります。貞は口も悪いし感情的でうそがつけない、1人で一生懸命生きてきた人。海外でいろいろなものを見て影響を受け、それをみんなに返せる人だし、愛をずっと求めているけど、それを人に配れる人。1人で突っ走るんじゃなく、すてきな楽曲とお話とみんなを頼って作りたいです。

――個性的なキャラクターぞろいですが、お2人のお気に入りは。

山田:麻帆さんは桃介と音二郎どっちが好きですか?

皆本:それは言えないよ(笑)。でも、許す心を持っている貞さんはすごい人だと思います。なので、私の推しは貞さんですね。

山田:僕は小学生の頃にビートルズとジョン・レノンを好きになって。世界平和とか、今の世界はこれでいいのかとか考える中学生だったんです。当時のエネルギッシュな感じは、音二郎のバックグラウンドや性格に近しいものがあると感じます。江戸末期から明治維新にかけてこの世の中はこれでいいのかを常に問いかけ、挑戦してきた人なので、僕の理想とも言えますし、音二郎を心から尊敬しますね。

◆音二郎の登場はラップ! オッペケペー節の風刺を今の音楽に

――注目ポイントを教えてください。

皆本:それはもう、音さん(音二郎)の登場です! もったいぶって、全然出てきてくれないんです(笑)。

山田:で、登場したらラップ(笑)。

皆本:そこまで紡いだものを全部持っていくようなインパクトですからね。

山田:あの時代にあれを書いているのはすごいですよね。オッペケペー節の歌詞をかみ砕くと、今でも同じことが言えるんです。「政治なんてクソで、西洋に憧れる。これでいいのか? リッチな人はどんどんリッチになり、貧しい人はどんどん貧しくなる」みたいな。その風刺を今の音楽性に合わせてラップにするのは、とてもミュージカル的でよくできていると思います。

皆本:ネタバレになるので詳しく言えませんが、ラストシーンに全てが詰まっていると感じました。台本を読んだとき、文字だけなのに映像で見えて。お客様がどう感じて、どう受け取ってくださるかすごく興味があります。
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――楽曲の魅力についてはいかがでしょう。

皆本:長い音が多くて難しいです。分かりやすい言葉ときれいなメロディなので、聞き流すこともできてしまう。そこをちゃんと伝える方法を悩んでいます。でも、本当にバラエティに富んだ楽曲ぞろいなので、ミュージカルの楽しさを味わっていただけると思います。

山田:ラップも一言一言に意味が詰まっているんですが、歌詞を全部聞かせようとすると、ヒップホップらしいかっこよさがなくなってしまう。バランスを考えつつお客様に届けることが課題です。あとは、心情を吐露する曲、セリフに音がついたような曲、既存のもののアレンジなど、本当にさまざまな楽曲があるので、歌い分けを練っていきたいです。

皆本:あと、今回はヴァイオリンも入るんです。ピアノ、パーカッション、弦楽器の生演奏で、どんなアレンジになっていくか楽しみです。

――最後に、皆さんへのメッセージをお願いします。

皆本:今回は劇場のサイズも変わり、キャストもちょっと変わったので、新しい『初恋』になると思います。初演が好きな方にも、初めて「劇団ミュ」に触れる方にも、もちろんミュージカルが大好きな方にも刺さると思います。ラフに楽しんでいただき、何かを持って帰ってもらえる作品だと思うので、ぜひ見にきてほしいです。

山田:この作品は日本の近代演劇の成り立ちにおけるターニングポイント、重要な時代のお話です。激動の時代を生きた貞奴の生涯を描いていますが、色とりどりの音楽とコメディックな物語を楽しく見ていただけたら。とても大事なものを持って帰っていただけると思います。

(取材・文:吉田沙奈)

劇団ミュ Op.7 ミュージカル『初恋 Sada Yacco: Japan’s first actress』は、12月4日~9日に東京・あうるすぽっとにて上演。

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