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「自分を大切にする」ってどういうこと?人のために動くとき、自己犠牲にならない習慣とは

  • 2026.10.29

はーい皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。

世の中には残酷なことに、はやりすたりというシステムが幅を効かせているようでして。
あたしのような職種というか、「飲み屋さん」のような一種の人気商売も、その原理からなかなか逃れられなかったりするものなのですが。

このしゃらくさい「流行」というものから、時々「これはもっと知られ普及すべき」って言えるステキな考え方とかが、生まれてきたりするよね。
個人的にそのひとつだと勝手に思っているのが「セルフラブ」「セルフケア」的な発想。

「自分で自分のことを大切にしよう」という、ざっくり言うとそんな話なわけですが、あたしはこのアイデアにここ数年すごく助けられ、救われたりもしたの。
同じような方も、読者の皆さんの中にきっといるんじゃないかしら。

Sitakke
ライター・満島てる子

ただどうしても、「自分のことを大切に」というメッセージは、ときに「自分って何なわけ?」「どうしたら大切にできているってことなの?」という迷いや疑問を生みかねません。

今回のお手紙は、まさにそんなお悩みを抱えている人から送られてきたみたい。見てみましょう。

読者からのお悩み「私って自分のことを後回しにしすぎ…?自分を大切にするってどういうこと?」

Sitakke
Sitakke

ほうほう、なるほど。自己犠牲とは、興味深いワードが出てきましたね。
まずは「漆黒ガール」さん、お手紙ありがとう!

こんなに普段の様子というか、普段着のありさまが想像できそうなペンネームには、はじめて出会ったかもしれません。笑

そうかぁ。あなた、ついつい相手優位でいろんな事を進めちゃいがちなのかな?
対象範囲も広そうですね。「家族や友だち、仕事、または恋愛」って、日常生活のほぼすべての場面が挙げられている様子。

人によっては、親友にはそうではないとか、パートナーとはそれぞれ互いをちょうどよく尊重・優先し合えるとか、そういう事例も目にするけれど。
「漆黒ガール」さんの場合は、他者との付き合い方全般について、共通していえるお悩みを開示してくださったのかな。

だとすれば、モヤモヤレベルとしては結構深刻なのかもしれないわね。
回答者としても、自分の言葉選びであるとか、ここから綴っていく内容の練り具合に、なんだか一層の責任を感じます。

ちなみにこのお悩み、個人的には「わからんでもないなぁ」と思うところが。

特に「自分の気持ちを後回しにしてしまう」という傾向については、北海道に来たあたりから割と最近まで、結構しっかりめに悩んでいたのよね。

あたしも自分を度外視していた

Sitakke
三重への帰省での1枚

あたしも「いやだったり、寂しかったり、しんどかったりしても」、それを口に出すことができないまま、誰かのために動きがちだったというか。

なんなら、自分が果たしていやなのか、そもそも目下の現状についてどう感じているのか。
そうやっておのれ自身の感覚について省みることって、特にゲイだとカミングアウトする前はほぼなかったの。

多分、自分なんてこの世界にいてもいなくてもどっちでもいい、そんなの誰も気にしない、と考えちゃってるところがあったんだと思う。
(おのれのマイノリティ性を悲観することによって、自己肯定感がぐっと下がるというか。性についてでなくとも、同じような悲嘆にくれた人は少なくないんじゃないかしら)

その癖からどうしても逃れられないまま、数年前まで。
「こうしたい」「これは無理」といった自己主張はおろか、自分の考えや思いと向き合う事自体に、強い苦手意識をずっと抱いていました。

「漆黒ガール」さんと似てるかもしれないんだけれど、「我慢」するというのを美徳にしすぎていたなぁって、今では反省しているの。

何かするときに、その行為の結果を思い描いたとして。
そこに他人の笑顔はあっても、自分自身は笑うどころか存在すら前提としないというのが、普通だった気がする。
自分を度外視するというのが、勝手に癖づいていたのよね。

今では自分を大切にすることについて、その身をもって教えてくれるステキな友人たちとの出会いがあったおかげで。
おのれのことを昔よりは大事にできるようになったなぁと、そう思っているけれど。

とはいえやっぱり「自分を優先」することは、まだ得意とは言えなさそう。
なんだか少しひるんじゃうんだよね。
おのが欲求を前に押し出そうとするたびに「これってもしかして、わがままじゃない?」と囁いてくる、もうひとりの自分がいるせいで。

(時々いらっしゃるじゃない?「自分を大切にするんだ!」っていいわけで、その人のセルフィッシュな側面を、みずから誤魔化そうとしている方。ああはなりたくないって強く思っている部分が、そんな囁きに変わっているのかも)

Sitakke
弟とも1枚

こんな風に。「漆黒ガール」さんの迷い方と、異なる部分もあるかもしれませんが。
あたしも自己を肯定し、承認する方法については、現在も正解を模索中。
なんなら訓練中の身。笑

なので、今回のお悩みにすっきりとした返答をするには、まだまだ人間として未熟かもしれないとは思いつつ。

それでも以下では、これまで得てきた気づきみたいなものを、相談者さんに自分なりの言葉で届けることができればなぁと考えております。

あたしなりのAnswer

Sitakke
父親のレコードコレクション 当時の思い出を語りながら聴かせてくれました

さて、「漆黒ガール」さん。
「自分を大切にする」とはどういうことか。そしてあなたは、もう少し自分を優先してもいいのか。

お手紙末尾にあなたが書いてくれた、この2つの疑問。
ここからはこのそれぞれに、目下脳内に浮かんでいる意見を率直にぶつけてみることにするわね。

ではまず、「自分を大切にする」とはなんなのか。
これは迷うんだけれど、あえて一言であたしの考えを示せば、こうなります。

「自分を、誰かの単なる道具にさせないこと」

人間は、身の回りのモノだけでなく、周囲のいろんな人ですら、自分の道具(願望や生存をかなえる手立て)として利用しがちです。

というか、そもそもそうしないと生きていけません。
食料を提供してくれる人がいなければ誰だって飢えるし、飲み屋さんの場合は、飲みにきてくれるひとがいなければつぶれます。
この原稿だって、チームSitakkeの編集担当にお願いして、記事として整えてもらわないと世に出ない。

人類は皆、誰かを手立てやよすがにすることで、その生を成り立たせている。
これはおそらく、世の理だとも言えるのではないでしょうか。

ですが、だからといって誰かを道具とすることが全肯定できるかというと、そうもいえない気がするのよね。

だってさ、ムカつくじゃん。
相手の欲求を満たすためメインで、他人に使役されるなんて。

それっていかにも奴隷的。
道具で「も」ある場合はさておいて、道具で「しか」ない状況は、許しちゃいけない。
シンプルな犠牲って、とってもおかしいことなのよ。

そういうおかしい状況に自分を置かないよう、注意深くいること。
どんな人に対しても「単なる」道具にならないこと(対恋人や対家族はもちろん、対おのれの場合もね)。
それが「自分を大切にする」ための、はじめの一歩なんじゃないかしら。

自分も相手も、誰も置き去りにしない

Sitakke
ゆっくりお風呂につかる…実家にもお気に入りの入浴剤を持参

「漆黒ガール」さんに向けて、もっと具体的に言うとね。
例えばあなた、これから誰かのために何かをするときに「これ、私もうれしいかな。私のためでもあるかな」と、その都度おのれを軸にして再考する癖をぜひつけてみてほしいの。

これ、とっても有効。
自分の喜ぶ姿が想像できるなら、それはあなたにも相手にも資することだし、想像できないのなら、それはもっぱら道具化されているのと同義。
避けるようにするといいでしょう。

自己犠牲というのも、この習慣づけで遠ざけられます。「我慢くん〜さよな〜ら〜」ぐらいのテンションで(これ、坂本九オマージュだって通じるかしら…?苦笑)、自分のここちよさを生きるベースにしてみてください。きっといろいろ、楽になるはずだから。

何がうれしいかわからない、という場合もあるかもしれません。
そのときは、ありとあらゆるご自愛、セルフケアを試してみてほしい。
あったかいお茶を淹れて味わう、お風呂にゆっくり浸かる、運動してリフレッシュする、などなど。

自分にとってうれしいこと、喜ぶことが何なのかは、自分にゆっくり問いかける時間から見えてくるんだなと、あたしはこの5年ほどで知ることができました。

「自分を優先してもいいのでしょうか?」という問いの答えも、ここまででもう見えてきているわよね。

そう、他人より自分をとか、自分より他人をとかじゃないの。
プライオリティを置くべきは、自分も相手もうれしいかという点。
誰も置き去りになっていないかって点なのよ。

「漆黒ガール」さん、あなた、これ以上自らを葬る必要、もうありません。
誰かに身をささげたいというのなら、その身ありきでまず大丈夫。
むしろそうでなければ健全じゃない。

他者に対してと同様、「自分はどう思うかな」「自分にとってどうするのがいいかな」と、おのれに対してもどんどん尋ね、気遣ってあげましょう。

根本的なセルフラブの姿勢を開くことで、他人も自分も大切にできるようになること。
これがきっと、あなたが人生の次のステージに進むための、鍵なんじゃないかとあたしは今思っているわ。

「漆黒ガール」さんが周りの人たちと一緒に、こころからの笑顔でいてくれるようにと。
札幌は西創成の地から、精一杯のエールも込めつつ、これからも祈り続けていますね!

ま・と・め!

というわけで今回は、「自分を大切にする」というテーマから、思うことをあれやこれやと綴らせていただきました。

アンサーの中ではことさら強調しなかったけれど。
自分が道具化されていないかどうかと同じぐらい、誰かを単なる道具にしちゃっていないかも、常に気を配っておきたいポイントですよね。

おのれも他人も、要は人です。
人間を大切にするという姿勢を、いつまでも忘れずにいたいものだとしみじみ思ったり。

送ってもらうお悩みのおかげで、またひとつ大事な気づきを得た気がします。

次回はどんなお手紙が来るかしら。楽しみにしてよっと。
ではでは今日はこのへんで。Sitakkeね〜!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部あい
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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