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「手作りじゃないの」とママ友の市販のおやつを笑った私が、門の前で言いかけた続き

  • 2026.10.30
ハウコレ

通路の向こうから差し出されたのは、3日前に私が笑った袋に入っていた飴でした。膝の上のクッキーの箱を、私はバスの中で一度も開けませんでした。

遠足の前日、オーブンのタイマーが鳴るたびに、天板のクッキーを網の上へ移していきました。粗熱が取れるのを待つあいだ、2日前に門の前で口にした言葉ばかり思い返していました。

クッキーを焼き始めたきっかけ

きっかけは、娘が年少だった頃の親子遠足でした。スーパーで買ったお菓子を袋に詰めていると、遊びに来ていた義母がそれを見て言いました。

「市販のお菓子ばっかりじゃ、かわいそうよ」

責めるような口調ではありませんでした。それでもその日から、行事のたびにクッキーを焼き、出来上がりの写真を義母に送るようになりました。「上手ね」と返ってくると、それだけでほっとしたものです。

親子遠足の3日前、園の門の前で娘を遊ばせていると、向かいのスーパーから戻ってきたママ友の手元の袋を、思わずのぞき込みました。グミと小袋のスナック、それにレモンの飴。気づいたときには、口が動いていました。

「手作りじゃないの」

少し笑ってしまったことは、自分でも分かっていたのです。ママ友は「うん、今回はこれで」とだけ返し、袋の口を折りました。市販のお菓子をためらわずにカゴへ入れられるママ友が、どこかうらやましかったのだと思います。

保冷バッグの中にあったもの

親子遠足の当日、公園でのおやつの時間には、いつものように箱いっぱいのクッキーを広げました。少し離れたシートには、グミを1つずつ友達に配るママ友の息子さんの姿。

帰りのバスでは、通路を挟んでママ友と息子さんの隣の席になりました。走り出してしばらくすると、窓にもたれていた娘が小さな声で言いました。

「ママ、きもちわるい」

保冷バッグから箱を出しても、娘は首を横に振るだけ。水筒を差し出しても、娘は口をつけようとしません。バッグを何度開け閉めしても、中にはクッキーと水筒しか入っていませんでした。

「よかったら、これ」

通路の向こうから、ママ友が個包装の飴を2つ差し出していました。

開けないままの箱

3日前に私が笑った袋に入っていた、あのレモンの飴でした。ママ友の顔と飴を交互に見てから、受け取りました。

「ありがとう」

包みを開けて渡すと、娘は飴を口に入れ、窓の外を見ながらゆっくり転がしていました。やがて私の肩にかかってきた、眠った娘の頭の重み。

膝の上のクッキーの箱は、園に着くまで一度も開きませんでした。オーブンの前で過ごした時間は、娘のためというより、義母に写真を送るためだったのかもしれない。窓の外を見ながら、そんなことを考えていました。

そして...

遠足から数日たったお迎えのとき、門の前でママ友を見つけて声をかけました。

「この前はありがとう。あの時ね、」

門の前での一言を謝って、義母のことも話すつもりでした。そこへ娘が園庭から走ってきて、私の手を引きました。私は小さく手を振って、そのまま門を離れてしまいました。

次の行事に向けて、スーパーでレモンの飴を1袋買いました。クッキーは、今度は義母に写真を送るためではなく、娘と一緒に焼くつもりです。次のお迎えでこの袋を見せて、「うらやましかったの」と続きを伝えます。

(30代女性・パート)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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