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京都発のデザインスタジオ・ものやがつくる、絞り丸太のチェアとは?

  • 2026.10.28
Yuki Onishi

京都を拠点に空間デザインや古道具ショップの運営を行う、ものや。今年はデンマークのデザインイベント3daysofdesignでも作品を発表するなど、活動の幅を広げている。そんな彼らが手掛けた「sibo chair」がELLE SHOPで発売中だ。作品が生まれた背景や活動の原点について、代表の櫻井仁紀に尋ねた。

Yuka Yanazume

Q1. ものやとして活動を始めたきっかけと、普段の活動について教えてください。

「学生時代は京都工芸繊維大学のデザイン建築学課程に所属していました。元々は建築を志して入学したものの、手を動かしながら考えることの方が肌に合っていると感じ、プロダクトデザインの道に進みました。勉強をしていくうちに『自らのスタジオを開きたい』という想いが強くなっていきましたが、同時に専門的なデザイン領域とは異なる広い分野にも興味を持っていました。

知識を深めていくことは素晴らしいことである一方、その枠の外にある世界にも開かれていたいという思いがあったからです。そこで、古道具屋をしながらデザインスタジオを運営する構想を当時のゼミの同級生と考え、現在の『ものや』の活動をスタートさせました。

古道具屋は非常に特殊な仕事だと感じています。誰かにとってはガラクタのようなものでも、置く場所や捉え方によって映り方は変わります。デザイナーが『ものが作られるまで』に注力する職種であるのに対し、古道具屋は『世の中に出たもののその後』を捉える職種と言えます。この両方に身を置くことで、モノができるまでと、できた後を行き来しながら活動を続けています。

店舗などの特注家具設計や企業との商品開発をするほか、古道具を用いたスタイリングや場作り、プロジェクトの開発ディレクションなども手掛けています。エンツォ・マーリやカスティリオーニといった、かつてのイタリアのデザイナーのように、周囲のつくり手の方々と協働しながら多面的に活動していきたいです」

monoya

Q2. 絞り丸太という素材を使い始めたきっかけは?

「4〜5年ほど前から、京都の北部にある『小野郷』という地域で、複数のアーティストや建築家らと共同で倉庫を借りています。その場所を初めて訪れた時に、絞り丸太という素材に出合いました。京都の地理的環境や、都として栄えた歴史など、さまざまな要因から長く作られてきた伝統素材であることを知って驚くと同時に、これほど魅力的な素材を今まで知らなかった自分自身にも驚きを覚えました。また、絞り丸太の用途はほぼ床柱に限られており、現代の生活様式の変化に伴って需要が減っているという話を聞きました。素材そのものの魅力を考えると大きな可能性を感じ、自分が普段から取り組んでいる家具やプロダクトといった多角的な視点で捉え直すことで、これまでとは異なる文脈の可能性を見出せるのではないかと考えました。

そうしてセルフワークとして絞り丸太を使った制作をスタートさせました。丸太はそのままのサイズだと一般的な家具のスケールとしてはかなり太いため、その太さを活かす構造や、逆に製材することによって広がる可能性を探りました。そして最大の特徴である表面の凹凸を生かすデザインを、手を動かしながら模索していったんです。

『sibo chair』は、そうした一連の活動から生まれた一脚です。丸太を製材していく中での家具における可能性を探ることをテーマに、割いた丸太の角材を組み合わせるように配置して全体を構成し、その上に塗装を施してから絞り丸太の表面部分だけを拭き取るという工程を踏みました。これにより、絞りならではの凹凸の美しさが前面に出てきつつも、丸太特有の重々しさや太さを感じさせない軽やかな印象になっています」

Yuka Yanazume

Q3. デザインする上で、最も大切にしていることは?

「常に変化していくものとして捉えることです」

Yuki Onishi

Q4. どんなことからインスピレーションを得ていますか?

「ものを蒐集することや、それを置くという行為。また、自分の周囲のつくり手やユニークな活動をする人たちからインスピレーションを得ています」

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Q5. 今後予定しているプロジェクトや、挑戦したいことは?

「現在は、左京区・一乗寺に新しくできる複合施設『oniwa』の開発のディレクションを手掛けています。歴史や自然が豊かな京都の街で、多様な面白い出来事が発生していく様子をもっと見てみたいと感じています。まだ自分が扱ったことのない素材や、新たに出会うつくり手の方々との協働を通じて、この場所ならではの可能性をさらに広げていきたいですね」

Yuki Onishi

「sibo chair」(W42.5×D47.5×H81.5×SH44㎝) ¥165,000

ものや(monoya)
京都を拠点に、道具屋とスタジオのふたつの軸で活動。 由来や機能にとらわれず、直感で蒐集したものを空間に配置し、多面的な解釈を提示するショップを運営。 また、蒐集と配置のなかで蓄積した見たての感覚を手がかりに、 物と空間の関係性に問いを重ね、設計・ディレクションを行うデザインスタジオとして活動する。


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