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3か月前に髪を切った彼女に「髪、切ったの気づかなかった」と言った俺→閉じたノートパソコンの中身

  • 2026.10.30
ハウコレ

画面に並んだ写真の中で、ある月を境に、彼女の髪があごのあたりまで短くなっていました。どれも俺が撮った写真なのに、切った日のことが思い出せません。台所の水の音が止まったので、慌ててノートパソコンを閉じました。

記念日に渡すつもりだったもの

付き合って2年の記念日に、写真をまとめた1冊を贈るつもりでした。スマホに残る彼女の写真を月ごとに選び、ネットで製本を頼む準備を、彼女が部屋に来ない日に少しずつ進めていたのです。

その日は残りのページを埋めたくて、彼女が洗い物をしている間だけ画面を開いていました。写真の日付をたどると、髪が短くなったのは3か月前。ちょうど仕事の資料に追われていた時期です。部屋に入ってきた彼女が髪に手をやっていた姿を、うっすら覚えています。顔も上げずに、おかえりとだけ返したことも。

「あのとき」が消えた理由

戻ってきた彼女の髪を、しばらく見ていました。写真と同じ、あごのラインの長さです。

本当は、写真を整理していて分かったこと、あのとき髪を切ったのに気づかなかったこと、その両方を話して謝るつもりでした。ただ、写真の話をすれば記念日の贈り物が分かってしまいます。前半を飲み込むうちに、「あのとき」まで一緒に消えてしまいました。口から出たのは、後半だけです。

「髪、切ったの気づかなかった」

「切ったの、3か月前だよ」

すぐに返ってきた彼女の声は、笑っているのに平らなまま。続けて言うはずだった「ごめん」は、そこで行き場をなくしました。

開けなかったノートパソコン

「ごめん、そういう意味じゃなくて」

言いながら、閉じたノートパソコンに目がいきました。開いて見せれば、すぐに伝わります。それでも、記念日まで取っておきたい気持ちを捨てきれませんでした。

「いいよ、もう」

彼女は予定より早く帰ると言いました。玄関まで見送り、手を振る彼女に同じように手を上げました。

ドアが閉まってしばらくして、送ったメッセージは1通だけ。

「今日はごめん。記念日、楽しみにしてて」

しばらくして届いた返事は「うん」だけ。いつもなら付いてくるスタンプは、ありませんでした。

そして...

彼女が帰ったあと、ノートパソコンをもう一度開きました。3か月前のページには、髪を切った日の写真が1枚もありません。あの日の俺は、カメラを向けることさえしていなかったのです。

写真の中で彼女が着ていた見覚えのないワンピースも、新しいものだったと初めて気づきました。注文はもう済ませてあります。届いた本に挟むメモを、何度か書き直しているところです。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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