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「マッチングで会う女は軽い」と言った彼が、その場で私を見た話

  • 2026.10.29
ハウコレ

串の盛り合わせが半分ほど減ったころ、彼の先輩がジョッキを置いて、その場にいない後輩の恋愛話を始めました。アプリで出会った相手に、3か月で振られたという話です。笑いながら聞いていた私は、話の矛先が隣の彼に向くとは思っていませんでした。

初めて会う、彼の大学時代の仲間

彼とはマッチングアプリで知り合い、付き合って5か月になります。その日は、彼が大学時代のサークル仲間を紹介してくれることになっていました。集まったのは、彼の先輩と同期が1人ずつ。先輩は乾杯の前から声が大きく、場を回すのが得意な人でした。

「で、お前はどう思うよ」

別の後輩の話を終えた先輩が、彼のグラスに自分のジョッキを当てました。出会いのきっかけを聞かれたら、私から明るく話すつもりでいたのです。

笑い声の中で、彼はこちらを見た

彼は少し間を置いて、枝豆の殻を皿の端に寄せました。

「マッチングで会う女は軽い」

先輩が手を叩いて笑い、同期もつられて笑いました。彼はその輪に加わらず、こちらを見ました。目が合ったのは数秒。何か言いたそうにも、様子をうかがっているようにも見えました。

おしぼりを手に取り、角をそろえて畳み直しました。私たちが出会ったのも、同じアプリです。彼はそれを分かったうえで、あの言葉を選んだのでしょうか。目が合ったのは、私が笑うかどうかを確かめたかったからなのか。考えるほど、隣に座っている人が遠く感じられました。

「ちょっとお手洗い」

席を立つと、背中のほうで先輩の笑い声がまだ続いていました。

席に戻ると、先輩が頭を下げた

洗面台の前で、アプリに登録したころの自分を思い出していました。プロフィールには、休日に一緒に散歩できる人がいいと書いただけ。軽いと言われるような言葉を並べた覚えはありません。

席に戻ると、テーブルの笑い声は止んでいました。先輩はジョッキを両手で持ったまま、私に向き直りました。

「さっきは変な話して悪かったね」

頭まで下げられ、「いえ」とだけ返しました。隣の彼は自分のグラスを見つめたまま、口を開きません。先輩が謝っているのに、言った本人はどうして黙っているのか。残りの料理の味は、ほとんど覚えていません。

そして...

駅までの道、彼は私の半歩後ろを歩いていました。改札の手前で、ようやく彼の足が止まりました。

「さっきの、ごめん」

それだけでした。何に対しての謝罪なのか、説明は続きません。

「何がごめんなのか、明日教えて」

そう告げて、1人で改札を通りました。エスカレーターの手前で振り返ると、彼はまだ改札の外に立っていました。

帰りの電車では、先輩の下げた頭ばかりが浮かびました。私が席を外していた数分の間に、あのテーブルで何があったのでしょう。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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