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「うちの母には内緒で」と改札で念を押す彼→結婚の話も出ているのに、私は母親に会わせられない相手なの?

  • 2026.10.29
ハウコレ

地元のパン屋の前で、彼は私の腕を引いて通り過ぎました。結婚の話まで出ているのに、帰りの電車で浮かんだのは、同窓会で耳にした彼の昔の恋人の話でした。

始まりは、改札の手前でした。彼はつないでいた手をほどいて立ち止まりました。何か言いかけては口を閉じる彼から出てきたのは、付き合って初めて聞く種類のお願いでした。

改札の前で言われたお願い

彼とは高校の3年間、同じクラスでした。去年の同窓会で隣の席になったのをきっかけに連絡を取り合い、交際を始めて3か月。先月には彼のほうから「結婚のことも、ちゃんと考えてるから」と言ってくれていました。

その彼が、改札の前で念を押すように口にしたのがこれです。

「うちの母には内緒で」

「わかった」

とっさにうなずいたものの、ホームへ向かう階段で、彼の言葉を何度もなぞりました。結婚を考えている相手を、どうして母親にだけは知られたくないのか。理由が思い当たりませんでした。

パン屋の前で引かれた腕

それから、彼の様子がやけに目につくようになりました。カフェで彼のスマホに「母」と表示されると、彼は画面を伏せて店の外へ出ていきました。

ある休日、2人で地元に寄ったときのことです。高校の近くのパン屋がまだあるのを見つけ、懐かしくなって入ろうとしました。登校前にくるみパンを1つ買うのが、3年間の習慣だった店です。

「そこはやめとこう」

彼は私の腕を軽く引き、そのまま店の前を通り過ぎました。

帰りの電車で気づいたのは、彼の家族の顔を1人も知らないことでした。思い出したのは、同窓会で耳にした話です。彼には大学時代、長く付き合っていた人がいたらしい。その人とひどい別れ方をして、彼の母親はそれを知っているのではないか。だから私を母親から遠ざけているのではないか。窓に映る自分の顔が、険しくなっていきました。

ベンチで聞いた、納得できない答え

数日後、駅前の公園のベンチで、思いきって聞いてみました。

「私のこと、お母さんに言えない理由があるの?」

彼はコーヒーの紙カップをベンチに置き、首を横に振りました。

「違う、そういうんじゃなくて。理由はちゃんとある。でも、恥ずかしいやつなんだ」

「結婚の話までしておいて、お母さんには言えないの?」

私がそう言い返しても、彼は足元に目を落としたまま、続きを口にしませんでした。恥ずかしいのは、私に知られたら困る過去のほうではないのか。帰り道は彼の少し後ろを歩き、駅で手を振られても、振り返しませんでした。

そして...

それからの数日、彼からのメッセージには短い返事しか送れませんでした。友人に打ち明けると、「お母さんに会わせない男はやめときな」と返ってきました。

それでも別れを切り出す前に、あのパン屋を確かめたかったのです。休みの日、1人で店に入り、くるみパンを1つ買いました。高校のころのように袋を断ってカバンにしまいましたが、店におかしなところは見つかりません。

その夜、彼からメッセージが届きました。

「次の休み、あのパン屋の話をさせて」

店に行ったことは、まだ彼に話していません。少し迷ってから、「わかった」とだけ返しました。別れるかどうかは、彼の話を聞いてから決めます。結婚まで口にした彼が母親に知られたくないのは、いったい何なのでしょうか。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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