1. トップ
  2. エピソード
  3. 娘に「パパしつこい」と打たれた俺→コンビニまでの道で娘に伝えたこと

娘に「パパしつこい」と打たれた俺→コンビニまでの道で娘に伝えたこと

  • 2026.10.30
ハウコレ

コンビニまでの道で娘と決めたことは、妻にも話さない約束です。きっかけは、娘が家族のグループに送った一言でした。

取引先の駐車場でエンジンを切り、商談の資料をひざに広げたところでした。ホルダーのスマホに浮かんだのは、家族のグループチャットの通知です。送信したのは、中学1年の娘でした。

駐車場で読んだ通知

アプリを開くと、娘のメッセージはまだそこに残っていました。「パパしつこい」とだけ。

始まりは前の日の夕飯でした。娘のスマホが鳴り、俺は画面をのぞき込んで「これ誰?男の子?」と聞きました。娘は答えずに箸を置き、自分の部屋へ戻っていったのです。心配のつもりの一言が、からかう口調になっていました。

読み返すうちに、その一言は取り消し済みの表示に変わりました。消したということは、俺に届くはずのない言葉だったのでしょう。本当は誰に言いたかったのか、考えるまでもありませんでした。

「見てないよ」と打って消した

資料を閉じたところで、妻から個別のメッセージが届きました。

「今日、家族のグループ見た?」

「見てないよ」と打っては、送信の手前で消しました。娘の言葉を、なかったことにするようで嫌だったからです。

「見たよ」

商談の時間が迫る中、それだけ送りました。妻の返事はすぐでした。

「気にしないでね。あの子、昨日のことでまだ怒ってるだけだから」

「うん」

そう返して、商談に向かいました。帰宅して「ただいま」と言い、娘の部屋のドアに一度だけ目をやって、食卓につきました。何を言っても、言い訳になる気がしたからです。

食後、娘との個別チャットをさかのぼってみました。並んでいたのは「迎え何時?」「宿題は?」ばかり。娘の不満は、いつも妻の口を通して、やわらかい言い方に変わって届いていたのです。娘のスマホをのぞいた俺が、今度は娘の取り消した言葉を読んでいた。そう気づいて、スマホを裏返しました。

コンビニまでの道

翌週、夕飯の片付けが始まったところで、上着を手に娘の部屋へ声をかけました。

「アイス買いに行くけど、来る?」

少しして、娘はサンダルを履いて出てきました。コンビニまでの道で、前を向いたまま2つだけ伝えました。

「パパに言いたいことは、歩いてる間に言って」

「ママを通さなくていいから」

その日、娘はアイスを選んだだけで、何も言いませんでした。最初の文句が出たのは、次の日の帰り道です。娘が1つ言うごとに、俺は短く1つ返しました。

「ノックして」

「わかった」

「これママに言わないでね」

「言わない」

数日して、帰ってアイスの袋を妻に渡すと、聞かれました。

「あの子と毎回、何話してるの?」

「それは言えない約束なんだ」

口にしてから、妻だけを外に置いたような後ろめたさが残りました。

そして...

家では、娘の部屋のドアを2回ノックしてから声をかけるようになりました。

「入っていい?」

「ちょっと待って」

ドアの前で待つ間、帰り道で聞いた文句を思い返していました。「スマホのぞかないで」には「のぞかない。この前はごめん」と答えました。「靴下出しっぱなし」には「片付けた」と。あの一言を本当に取り消してもらえたのかどうか、確かめる言葉はまだ見つかっていませんでした。

(40代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ