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「髪、伸ばしてほしい」と言ったきり理由を言わない彼→本棚で見つけた付箋だらけの1冊

  • 2026.10.27
ハウコレ

彼の仕事の本に紛れていたのは、付箋だらけの1冊でした。余白に残された彼の字が、頭から離れませんでした。

彼の部屋の鏡の前で、首にかかり始めた毛先をつまんでいました。付き合って2年、ずっと短い髪で過ごしてきた私。美容院の予約画面を開くと、ソファにいた彼が顔を上げました。

理由を言わない彼

「そろそろ髪切りに行こうかな」

彼はスマホを置いてこちらを見ました。

「髪、伸ばしてほしい」

髪型について何か言われたのは初めてです。短いほうが似合うと、周りにも言われてきました。

「急にどうしたの?」

「理由は、伸びたら言う」

彼はそれだけ言って、麦茶を取りに立ちました。私は毛先を指に巻きつけたまま、その背中を見ていました。

仕事の本に紛れていた1冊

次の週末、彼がコンビニへ出ている間に、旅行のガイドブックを探しました。建築の専門書や仕事のファイルが並ぶ棚に、明るい色の本が1冊挟まっています。

抜き出すと、ロングヘアのアレンジ本でした。黄色い付箋が何枚も貼られ、余白のあちこちに彼の字で小さな書き込みがあります。

モデルはみんな背中まである長い髪。私の髪を自分好みに変えたいのだろうか。前の恋人がこういう髪だったのかもしれない。

書き込みを読もうと顔を近づけたとき、玄関の鍵が回る音がしました。慌てて本を棚の端に戻しました。

遠回しにしか聞けなかった

アイスを並べる彼に本のことを聞こうとして、別の言葉が出ました。

「短いほうが、楽なんだけどな」

「無理にじゃなくていいよ」

責める調子ではありません。それでも、理由を言わない彼の言葉が引っかかりました。

3週間後、美容院でいつものように短くするか聞かれました。

「今回は、毛先を揃えるだけで」

予約したときは、短くするつもりだったはずです。

そして...

その足で彼の部屋に寄ると、彼は私の髪を見ました。

「あんまり変わってないね」

「うん、今回はね」

彼はそれ以上聞かず、部屋に戻っていきました。

伸ばすと決めたわけではありません。ただ、あの付箋と余白の書き込みが頭から離れません。付箋だらけのあの本で、彼は何をしようとしているのでしょうか。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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