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東京ドーム、後楽園ホールの帰り道。水道橋で立ち寄りたい酒場5軒

  • 2026.10.25
東京ドーム、後楽園ホールの帰り道。水道橋で立ち寄りたい酒場5軒

水道橋 スタンドヒーロー

豪快な厚切り刺身に驚く。板前が手がける10坪の立ち飲み店

わずか10坪ほどの空間に、多い日は1日100人を超える客が訪れる立ち飲み店。板前としてホテルや割烹で修業を重ねてきた店主の井上勝司さんが、2006年に開業した。店をやるのが子供の頃からの夢だったという井上さんが大切にしているのは、「高い技術の料理を安く提供する」こと。

「今のスタイルになるまで紆余曲折がありましたが、“毎日でも通いたい店”にすることが、一番お客さんに喜んでもらえるんじゃないかと思っています」

看板メニューは、一口では食べられないほど大きく切り出された刺身。ネタは豊洲市場に出入りする上板橋の鮮魚店などから仕入れている。その魅力は大きさだけにあらず。仕入れた魚はその日のうちに出し切る、という鮮度へのこだわり。そして「本マグロのトロ」が680円という、驚きの安さ。日々の仕入れから仕込みまで、調理の全てを一人でこなすことでこの価格を実現しているという。

刺身のほかにも人気の「ハムカツ」「マカロニポテトサラダ」など、立ち飲みらしい品書きが並び、日本酒は430円から揃える。

「刺身は正直トントンだけど、『この値段でいいの?』と驚いているのを見たり、わざわざ厨房まできて『おいしかった』と言ってもらえるのが、何よりも嬉しいんです」。その採算度外視の一皿は、仕事帰りや観光で訪れた人々にとってのヒーロー的存在になっている。

水道橋 スタンドヒーローのメニュー黒板
メニューはほとんどが日替わり。入店したら、まずは黒板をチェックのこと。
水道橋 スタンドヒーローの料理
料理は右から時計回りに、ザクザクの衣で揚げた名物の「ハムカツ」(490円)、大きく切り出した「本マグロのトロ」(680円)、卵黄を使った自家製ドレッシングで味付けした「マカロニポテサラ」(360円)。左は黒ホッピーセット(490円)、中は260円。
水道橋 スタンドヒーローに最近追加された「うなぎのオムレツ」
最近メニュー入りした「うなぎのオムレツ」(490円)。卵で身をとじ、うなぎのタレをかけたもの。シンプルな味付けだが、酒が進むと評判。
水道橋 スタンドヒーローの店内
相席が基本の大テーブルと、予約もできる丸テーブルがある。
水道橋 スタンドヒーローの外観
平日でも開店から並ぶこともあるが、立ち飲み店だけに回転は速い。

Information

水道橋 スタンドヒーロー

住所:東京都千代田区神田三崎町2-21-9 田島ビル1F 
TEL:03-3221-9701
営:17:00~22:30(土曜は17:00~20:15)
休:日曜、祝日、隔週月曜

中華料理 新三陽 後楽園店

王貞治さんも愛する、町中華のもやしそば

かつて後楽園球場があった時代、読売ジャイアンツの選手たちへ出前を届けていたことから、巨人ファンの間でも広く知られる〈中華料理 新三陽 後楽園店〉。創業は1950年、東京・白山にある同名の店の暖簾分けとして、この地に店を構えた。以来70年以上にわたって街の変遷を見続け、現在は3代目の山本秀彦さんが暖簾を守る。

代々受け継がれる味の中でも、長年多くの人に親しまれているのが「もやしそば」だ。スープは、豚骨と丸鶏から丁寧にだしをとった醤油味。その麺の上に、豚肉ともやしを炒めてとろみをつけた塩味の餡をのせる、シンプルな一杯だ。実は、この「もやしそば」は、王貞治さんのお気に入りとしても有名。球場への出前を行っていた当時からの馴染みの味であり、今でも時折、ジャイアンツの現役選手がこの味を目当てに訪れる。

味付けで特徴的なのは、餃子以外の料理ににんにくと生姜を使わないこと。炒め物にも麻婆豆腐にも加えず、具材の旨みを活かした調理を貫いている。甘さを少し控えるなどの調整はあっても、その味は昔からほとんど変わらない。

注意点は、ラストオーダーが20時30分、日曜祝日が休みであること。店の馴染み客に習って、観戦や公演「前」の腹ごしらえに立ち寄りたい。

中華料理 新三陽 後楽園店の「もやしそば」
「もやしそば」(800円)はいちばん注文数が多い人気メニュー。豚骨と丸鶏、ネギの頭のみで取ったシンプルなスープながら、コクを感じる味に仕上がっている。
中華料理 新三陽 後楽園店に飾ってある歴代の巨人選手などのサイン
歴代の巨人選手のほか、近くに講道館があるため、柔道家も多く訪れている。
中華料理 新三陽 後楽園店の人気メニュー「チキンオムライス」
ご飯ものの人気は「チキンオムライス」(写真右・1500円)。ラードで炒めたケチャップライスがビール(中瓶700円)にも合う。炒め物はハーフサイズも注文可。もやしそばと同じスープを使った餡の「すぶた(ハーフ)」(写真左・1800円)。
中華料理 新三陽 後楽園店の店内
いかにも町中華然とした赤いテーブルが印象的な店内。1階はテーブルのみ、2階の座敷では宴会も受け付けている。

Information

中華料理 新三陽 後楽園店

住所:東京都文京区本郷1-33-8 ハウス本郷ビル1F・2F 
TEL:03-3814-0434
営:11:00~14:30(L.O.14:00)、17:00~21:00(L.O.20:30)
休:日曜、祝日(お盆・年末年始休業)

ワインビストロ トミーグリル

ソムリエが腕を振るう、ワインの旨みを引き出すハンバーグ

現オーナー・中富雅己さんの義理の祖父が、1947年に水道橋で創業した洋食店〈トミーグリル〉。2014年に3代目として店を継いだ中富さんが、ワインと料理の相性を追求するビストロへと生まれ変わらせたのが〈ワインビストロ トミーグリル〉だ。さらに歴史を遡ると、曽祖父は外国人宣教師のお抱えコックを務めた中富外一。その宣教師との交流を通じて西洋料理の技術を磨き、日本での普及に貢献した料理人として知られる人物だ。

そんな料理人一家の精神が息づくこの店の人気メニューは、中富さんが厳選したワインに合うよう作られたハンバーグ。ワインの搾りかすを食べて育ったオーストラリア産葡萄牛の肩ロースを使用し、和牛の脂を一緒に練り込むことで、肉汁のバランスを調整。牛スジと野菜を4日間煮詰めたクラシックな製法のデミグラスソースが、肉の味をさらに引き立てる。

ワインは単一品種のブドウで造られたものを中心に揃える。「品種ごとの味の違いがわかりやすく、料理とのマリアージュも実感しやすいんです」と中富さん。その品揃えの豊富さに惹かれ、ソムリエ試験を控えた若手が自ら志願して、勉強のために店に立つこともあるという。

「僕が70歳になる年に、店もちょうど100周年になるので、そこまでは頑張りたいですね」。祖父から続く歴史と伝統を受け継ぎながら、ワインと洋食の魅力をこの街に提案し続けている。

ワインビストロ トミーグリルの料理「葡萄牛のハンバーグ」
ワインに合う味を追求し、甘みのあるポートワインを隠し味として使用した「葡萄牛のハンバーグ」(写真下・1,780円)、生姜の香りに和のテイストを感じる、ジンジャーソースをかけた「季節の魚介のカルパッチョ」(写真上・1,100円)。
ワインビストロ トミーグリルのオーナーシェフ 中富雅己さん
オーナーシェフの中富雅己さん。自身の地元である鹿児島をはじめ、新潟、埼玉などの生産者から直接仕入れた季節の食材を使用する。
ワインビストロ トミーグリルに常備されているワイン120本
ワインは120本を常備。右:樹齢を重ねたブドウ畑からヴィオニエという単一品種を厳選。アプリコットやトロピカルフルーツの華やかな香りが豊かな「ヴィーニュ レゼルヴ ヴィオニエ」(写真右・グラス1,180円、ボトル5,500円)。単一品種だけでなく、ブレンドもある。ジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨンなど複数のブドウをブレンドした濃厚な果実味がリッチな赤ワイン「デヴィルズ・キャンディ」(写真左・15,000円)。
ワインビストロ トミーグリルの外観
ワインでが並ぶ出窓が目印。カウンターも6席あり、一人でも入りやすい。

Information

ワインビストロ トミーグリル

住所:東京都千代田区神田三崎町2-9-11 TYビル1F 
TEL:03-3556-5220
営:11:30〜14:00(L.O.13:30)、18:00〜23:00(L.O.22:00)
休:日曜、祝日

EBRIETAS

規格外の大きさに圧倒される、プロレス好きの集いの場

新日本プロレス所属の現役プロレスラー、矢野通選手が自ら店主を務める〈EBRIETAS〉。水道橋といえば、プロレスの興行が行われる後楽園ホールのお膝元。「ファンとの接点を大切にしたい」という思いから、2012年11月にオープンした。オーナーとして人に店を任せるのではなく、第一線の選手としてリングに上がりながら、矢野さん自ら店頭に立っている。試合がない日はもちろん、なんと都内近郊で試合がある日にも営業し、ファンとプロレス談議に花を咲かせているという。

レスラーの店らしい規格外の「大きさ」と「豪快さ」も魅力だ。名物料理の「肉の塊」は、500gある豚肩ロースをオーブンで焼き上げた一品。それに合わせたいビールは、1Lサイズの特大メガジョッキ。量を気にせず、心ゆくまで飲み食いできる。

矢野さんの料理のルーツは大学レスリング部の寮生活時代にある。「毎日同じ味では飽きるので自然と腕が上がった」と語る通り、味にこだわりがあり、シャリアピンソースやオリジナルの食べるラー油など、ひと手間かけた調味料がメニューを支える。地方巡業先で見つけた郷土料理や地酒がメニューに加わるのも、現役選手の店ならではの楽しみだ。

〈EBRIETAS〉では、矢野さんとの交流はもちろん、プロレスという共通言語を通じて客同士が打ち解ける光景も日常だ。「同じ趣味だとこんなにもすぐ仲良くなれるのかと、こちらも驚くくらい。うちで出会って結婚したカップルがすでに6組いるんです。入りづらいと思われがちですが、そんなことはありません。ぜひお一人でも気軽にいらしてください」

EBRIETASのオーナー 矢野さん
オーナーの矢野さん。店名のEBRIETASはラテン語で「酩酊」という意味。「でかいジョッキで分かりやすく、たくさん飲んで食べて楽しんでほしい」というストレートな思いが込められている。
EBRIETASのメニュー
自家製のシャリアピンソースをかけた「名物 肉の塊 豚肉 500g」(写真右・2,500円)、オリジナルの食べるラー油とチーズをトッピングした「YTRの油ピザ」(1,200円)、生ビールのサイズは2種類。「ジュニア」(600円)、1Lの「ヘビー」(1,200円)。
矢野さんの応援グッズで飾られたEBRIETASの店内
矢野さんの応援グッズで飾られた店内。モニターには新日本プロレスの試合が流れる。
EBRIETASの外観
プロレス関係者を中心に、ゲストを招いたイベントも毎月行っている。イベント情報はHPでチェックできる。

Information

EBRIETAS

住所:東京都千代田区神田三崎町2-11-12 アイロン三崎町ビル2F 
TEL:03-6268-9797
営:18:30〜23:00(L.O.22:20)※特別営業の日は飲み放題+おつまみキャッシュオン
休:不定休(公式サイトの営業カレンダーによる)

酒菜 向日葵

“うまい魚にうまい酒”を貫く、夫妻で営む小料理店

水道橋で20年続く和食店〈酒菜 向日葵〉。店主の加瀬眞孝さんが掲げるのは、「旨い魚に美味い酒」という至極シンプルな信条だ。「昼営業を行わない分、仕込みの作業にじっくりと時間をかけています」

その真価が伝わるのが、冬の名物「鰤しゃぶ」。豊洲の専門店から仕入れる天然ブリは、最も脂の乗った腹上(はらかみ)のみ。だしは昆布だけでなく香ばしく焼いたブリの骨からも引き、魚の旨みを余すことなく引き出している。

刺身や薄造りも、それぞれの味わいが引き立つ食べ方で提供される。アワビはふっくら柔らかく蒸し上げ、旨みを閉じ込めて。スズキにはネギ入りのポン酢醤油、イサキや真鯛には醤油を勧めるなど、素材ごとに合わせ方も工夫している。

日本酒のラインナップを担うのは女将の容子さん。「十四代」「而今」「飛露喜」といった希少な銘柄も並ぶが、その価格設定にも店の姿勢が現れている。「信頼できる酒屋さんからすべて定価で仕入れているため、適正価格でお出しすることができています。値段に縛られず、自由な出会いを楽しんでいただけたら嬉しいです」

酒菜 向日葵の自家製のポン酢で味わう、冬季限定の「鰤しゃぶ」
自家製のポン酢で味わう、冬季限定の「鰤しゃぶ」(二人前・9,350円)。二人前からの要予約。〆の雑炊つき。
酒菜 向日葵の日替わりの刺身盛り合わせ
刺身の盛り合わせは日替わりで3,800〜4,500円(二人前)。取材時は、スズキの薄造り、イサキ、シメサバ、スミイカ、天然真鯛、蒸しアワビが並んだ。
常時9〜10種類が入れ替わる酒菜 向日葵の日本酒
常時9〜10種類が入れ替わる日本酒は、なくなり次第終了。「而今 純米吟醸 朝日」グラス1,600円(180ml)、「黒龍 九頭龍 宵月」グラス1,300円(180ml)など、季節によって銘柄も変化する。
酒菜 向日葵の店内
カウンター越しに届く夫婦やスタッフの自然体な気配りも心地よい。

Information

酒菜 向日葵

住所:東京都千代田区神田三崎町2-12-9 三崎町大信ビル1F 
TEL:03-3221-4886
営:17:30~翌0:00(料理L.O.22:30、ドリンクL.O.23:00)、土曜17:30~23:00(料理L.O.21:30、ドリンクL.O.22:00)
休:日曜、祝日

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