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親友に引っ越しを言えないまま街を出た私が、書いては消した返事に書けなかったこと

  • 2026.10.24
ハウコレ

スマホが短く鳴ったのは、段ボールをようやく片づけ終えた部屋でした。親友からのメッセージには、誕生日プレゼントが戻ってきたと書かれています。その宛先は、私がもう住んでいない、前の部屋でした。

言い出せなかった辞令

転勤の辞令が出たのは、引っ越しのわずか3週間前でした。1年前に親友が近くへ越してきてから、2駅の距離で会うのが当たり前になっていた私たち。「近くにいてくれて心強いよ」と言われるたびに、笑ってうなずいてきました。

だからこそ、離れることをどう切り出せばいいのか分からなかったのです。口にすれば、その日から本当に遠くへ行くことが決まってしまう気がしました。

そんなとき届いたのが、「仕事落ち着いたら、駅前のカフェ行こうね」。「うん、行こう」と返して、その日に会って話そうと決めました。引っ越したあとでも、電車で戻ってくればいい。そう言い聞かせて、何も伝えないまま街を出てしまいました。

書いては消した返事

「誕生日プレゼント送ったら戻ってきちゃった。住所、変わった?」

あの子は、前の部屋に誕生日の荷物を送ってくれていたのです。最も避けたかった形で、引っ越しを知らせることになりました。

返事を打っては消しました。転勤のこと、3週間しかなかったこと、カフェの日に話すつもりだったこと。どれを書いても言い訳に読める気がして、全部消していきます。結局送れたのは、短い返事だけでした。

「うん。引っ越したんだ」

送ってから、その素っ気なさに気づきました。あの子は今ごろ、これをどんな気持ちで読んでいるのだろう。

2人で決めた合図

スタンプの一覧をさかのぼり、傘をさしたクマを選びました。高校3年の冬、第一志望に落ちたあの子が、私に送ってきたものです。「話せるようになるまで待ってて」という意味で、2人で決めた合図。あのとき私はうなずくクマを1つだけ返し、あの子が自分から話しだすまでの2週間、何も聞かずに待ちました。

今度は、私が待ってもらう側です。責められても仕方がないと思いながら送信すると、少しして、うなずくクマが届きました。

そして...

「カフェ行こう。そこでちゃんと会って話させて」と送ってから、乗り換え案内で前の街の駅までの電車を調べました。片道2時間の経路を保存し、スマホのメモに話すことを書き出していきます。辞令のこと、3週間のこと、言えなかったこと。1行目は、何度書き直しても「ごめん」のままでした。

(20代女性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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