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2駅先の部屋から黙って引っ越していた親友→責める文を打ちかけた私に届いたのは、2人だけの合図のスタンプでした

  • 2026.10.24
ハウコレ

玄関で受け取った段ボールには、見覚えのある自分の字の伝票が貼られていました。親友の誕生日に合わせて送った、プレゼントの箱です。伝票の横には、お届け先に該当者がいないという印。宛先は、何度も書いてきたあの子の部屋の住所で間違いありませんでした。

戻ってきた誕生日プレゼント

親友とは高校からの付き合いです。1年前、転職でこの街に越してきてからは、電車で2駅の距離に住んでいました。「近くにいてくれて心強いよ」と何度も口にする私に、あの子はいつも笑ってうなずいてくれていたのです。

最後のやりとりは、私が送った「仕事落ち着いたら、駅前のカフェ行こうね」に、「うん、行こう」と返ってきたもの。繁忙期が明けたら、その約束を果たすつもりでした。

箱を床に置いたまま、メッセージを打ちます。

「誕生日プレゼント送ったら戻ってきちゃった。住所、変わった?」

既読はすぐにつきました。それなのに、返事が来ない。テーブルに伏せたスマホを何度も表に返しては、通知のない画面を確かめていました。

打ちかけた長い文面

しばらくして届いたのは、短い返事でした。

「うん。引っ越したんだ」

いつ、どこへ、なぜ。何も書かれていません。2駅先の部屋はもう空っぽで、それを宅配の伝票で知ったことになります。高校から10年以上一緒にいて、その程度の相手だったのか。そう思った途端、指が勝手に動いていました。

「なんで黙ってたの?私には言う必要なかったってこと?」

そこで止まらず、言われなかった理由を自分で並べはじめます。頼りすぎていたから。近くにいてほしいと言いすぎたから。打つほどに文面は長くなり、送信ボタンに親指をかけた、そのときでした。

傘をさしたクマ

画面に届いたのは、傘をさしたクマのスタンプでした。

高校3年の冬、第一志望に落ちた私が、あの子に送ったのと同じものです。合格発表の日、何を聞かれても答えられそうになくて、このスタンプだけを送りました。「話せるようになるまで待ってて」という意味の、2人で決めた合図。あの子はうなずくクマを1つ返しただけで、私が自分から話しだすまでの2週間、一度も理由を聞いてきませんでした。

打ちかけの文面を見下ろします。責める言葉ばかりで、待つ気はどこにもない。長い文面を全部消して、うなずくクマを送りました。

そして...

少しして、もう1通届きました。

「カフェ行こう。そこでちゃんと会って話させて」

戻ってきた箱は、テープも剥がさないまま、カフェに持っていく紙袋に入れました。あの子が何を言えずにいたのかは、まだ知りません。それでも、あのとき待ってもらった2週間の分くらいは、私も待っていようと思います。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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