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“ルーツなき街”で考える。ラッパー・荘子itと巡る『路上、お邪魔ですか?』展

  • 2026.10.26

現在、〈渋谷区立松濤美術館〉にて開催中の展覧会『路上、お邪魔ですか?』。今年8月、自身が生まれ育った東京の〝街〞の景色を歌った「東京コンプレックス」をはじめ、全8曲を収録したファーストソロアルバム『人生劇場』をリリースしたばかりの荘子itさんとともに展覧会を巡った。

photo: Shin Hamada / text: Ryoma Uchida

『路上、お邪魔ですか?』展を楽しむラッパー・荘子it
BRUTUS

“ルーツなき街”で考える、「路上」にまつわるエトセトラ


話を聞いた人:荘子it

そうしっと/ラッパー。ヒップホップグループ〈Dos Monos〉のトラックメーカー兼MC。映画音楽なども手がけるほか、哲学者・福尾匠とのポッドキャスト番組『シットとシッポ』も更新中。今夏には、ソロ名義での初のアルバム『人生劇場』をリリースした。


「“たいていの者は、シャレた店とテニスコートへ向かい、それが出来ない不器用な連中はどうしたかというと、路上にさまよい出て、その辺にころがるヘンテコなものを観察し始めました”という、当時の〈路上観察学会〉の言葉がいいですね。“オシャレ”に特化し均質化した街、人間がめちゃめちゃ頑張って作る“立派”なものの無意味さ、そのおかしみを“発見”し観察する。その視点の面白さを改めて感じました」

『路上、お邪魔ですか?』展を楽しむラッパー・荘子it
現代に焦点を当てた地下フロア。
無用の長物「トマソン」の栄えある第1号
無用の長物「トマソン」の栄えある第1号。赤瀬川原平、南伸宏(伸坊)、松田哲夫《四谷祥平館純粋階段》1972年、茅野市美術館蔵。
本展は〈路上観察学会〉結成40周年を契機に開催
本展は〈路上観察学会〉結成40周年を契機に開催。飯村昭彦《路上観察学会 発会式》1986年、茅野市美術館蔵。©飯村昭彦

「楽曲『東京コンプレックス』のMVは、渋谷で撮影されたものです。自分は東京がルーツで、一番遊びに来た街だけれど、街自体が好きっていう感覚はない。僕らは生まれた時から再開発にさらされていて、ある種ルーツを辿れないような場にいる。東京にいながらも、どこか疎外されているような、複雑な気持ちがあるんです。だからこそ、〈路上観察学会〉の面白がり方に共感する部分がある」

路上に溢れる“ルール”の象徴
路上に溢れる“ルール”の象徴。ダニエル・エヴェレット《Untitled(from Marker)》2024年、作家蔵。
新しい渋谷の都市計画のマスタープラン
新しい渋谷の都市計画のマスタープラン。GROUP《眠らない都市》2026年、作家蔵。
新宿の段ボールハウスを写した一作
新宿の段ボールハウスを写した一作。迫川尚子《お面をかぶっておどける新城さん。沖縄出身。右翼の街宣車だろうか。君が代が流れると頭をかかえてうずくまった。》1996年、個人蔵。

本展は〈金沢21世紀美術館〉からの巡回。展示方法の違いにも注目だ。

「諧謔(かいぎゃく)精神全開な〈路上観察学会〉にフィーチャーした会場2階。一方、地下フロアでは、路上の公共性をめぐる批評的な作品や、実際に起きている問題が扱われ、“良い街”とは何かを問う。その2つの軸には“路上”の捉え方の分裂がある。無意味を無意味のまま享受する態度と、社会に資するアートを実践すること。鑑賞者がその両方を往復することで、自分なりの答えを探すことができますよね。そもそも“美術館”の元は、世界中の珍品を展示する“ヴンダーカンマー(驚異の部屋)”にある。なんでも“言語化”できないと面白くない気がしちゃう昨今ですが、意味を言葉にしなくても体感できる。真っ当な意味での博物館的な感性が、この展示にあると思いました」


Information

『路上、お邪魔ですか?』

「路上は誰のものか?」をテーマに、都市に対する批評とユーモア精神溢れる路上芸術が、大都市・渋谷の地に集結。11月23日まで、渋谷区立松濤美術館で開催中。

住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
TEL:03-3465-9421
営:10時~18時(金~20時)
休:月曜(祝日の場合は開館)・11月4日
¥:一般 1,000円

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