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疑えば疑うほど引っ込みがつかなくなった。俺が彼女に謝れなかった、自分だけが知る理由

  • 2026.10.24
ハウコレ

彼女の説明を読むほど、俺の返信はとげを増していきました。同期から答えが届いたあとも、入力欄に打った言葉だけは、どうしても送れませんでした。

同期から届いた写真には、見覚えのある紺のコートが写っていました。ベージュのトートバッグを肩にかけ、駅の東口で信号を待つ後ろ姿は、どう見ても彼女でした。添えられていたのは、悪気のない明るい文面です。

同期が送ってきた一枚

「駅で彼女さん見かけたよ!男の人と歩いてたから声かけなかったけど」

同期は彼女の会社がある駅の近くに住んでいて、俺の誕生日の集まりで一度だけ彼女に会ったことがありました。彼女の隣には、黒いコートを着た男の後ろ姿も写っていました。2人の間には少し距離があって、並んで話しているだけにも見える写真です。

同僚だろうと考えることもできたのに、気づけばSNSを開いていました。大学のサークルの先輩で、彼女の元彼でもある人のアカウントを、卒業してからもフォローしたままにしていたのです。一番上の投稿は、彼女の会社がある駅のすぐ近くのカフェで撮られたものでした。

「今日、元彼に会ったでしょ」

「会ってないよ?どうしたの急に」

「だけ」が読めなかった

写真を送り、誰が撮ったのかという問いには答えずに、隣にいた男のことを問い詰めました。同期に見られていたとは、言いたくなかったのです。返ってきたのは、こんな説明です。

「会社の先輩だよ。駅まで一緒に歩いただけ」

その一文を見て思い出したのは、前の彼女と付き合っていた頃の自分でした。ほかの女性と会っていた日、俺は「仕事帰りに同僚と軽く寄っただけ」と送っていたのです。結局その嘘がばれて、関係は終わりました。

自分がそうだったから、「だけ」という言葉を素直に読めない。気づけば彼女の返事を、昔の自分の文面に重ねていました。

「ふーん。先輩ってことにしとけば済むと思ってる?」

「済むとかじゃなくて、本当に先輩なんだって」

「本当は元彼の方が好きなんじゃないの?」

引っ込みがつかなくなって

それを送ったあとで、同期にも連絡しました。

「隣の男の人って、どんな感じだった?」

「黒いコートの人。改札の前でお互い頭下げて別れてたよ。え、なんかまずかった?」

頭を下げ合って別れる相手なら、仕事の帰り道と考えるほうが自然でした。元彼の投稿も、同期の連絡よりずっと前に載せられたものです。

彼女はたぶん、本当のことを言っている。そう分かりかけた頃には、次のメッセージが届いていました。

「なんでそうなるの?先輩の部署も名前も言えるよ」

読んだまま、しばらく画面を見ていました。ここで謝れば、俺の勘違いだけが残ってしまう。疑えば疑うほど引っ込みがつかなくなって、打ったのはこんな一文でした。

「別に。疑われるようなことしなきゃいいだけじゃん」

そして...

「謝ってはくれないんだね」

既読をつけたまま、入力欄に「ごめん」と打ちました。送信ボタンの上で親指を浮かせて、また消しました。謝れば、なぜあそこまで疑ったのかも話すことになる。前の彼女にしたことを知られるのが、怖かったのです。

同期には「大丈夫」とだけ返して、彼女とのチャット画面を開いたまま、スマホを伏せました。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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