1. トップ
  2. エピソード
  3. 「最近どうしたの?なんか優しい」と聞かれた俺が、「お前は練習台」と返した本当のわけ

「最近どうしたの?なんか優しい」と聞かれた俺が、「お前は練習台」と返した本当のわけ

  • 2026.10.20
ハウコレ

彼女に送り続けた「ありがとう」付きのメッセージ。理由を聞かれた俺は、いちばん選んではいけない言葉を返してしまいました。

段ボールを開けると、野菜の隙間に母の字で「ちゃんと食べてる?」と書かれたメモが挟まっていました。実家から荷物が届くたび、俺は「届いた」とだけ返してきました。その母が、もうすぐ60歳を迎えるところでした。

「誕生日おめでとう」から先が打てない

誕生日のメッセージを作ろうとしても、「誕生日おめでとう」から先が続きませんでした。6年間作ってくれた弁当のこと、部活の迎えに車を出してくれたこと。言いたいことはあるのに、文にすると照れくさくて消してしまっていたのです。

考えてみれば、付き合って1年の彼女にも「了解」か「おつ」しか送ったことがありませんでした。そこで思いついたのが、先に彼女で練習する方法でした。

「雨なのに傘こっちに寄せて、駅まで送ってくれたよね。ありがとう」

打ちながら、これが練習のためだけの文ではないことは分かっていました。ずっと言えずにいたことも、練習という理由があれば送れたのです。

打っては消した、本当の返事

2週間ほど続けたころ、彼女から「最近どうしたの?なんか優しい」と届きました。

「ずっと言いたかった」と打っては消し、結局送ったのは「バレた?」と「お前は練習台」、それに親指を立てたスタンプでした。本当のことを書けば、母への誕生日メッセージのために練習していたことも、彼女に送った文が本気だったことも、まとめて打ち明けることになる。その照れくささに負けたのです。

「練習台って何?」と届いても、「そのうち話す」と送るのがやっと。次の日からはメッセージを「おつ」に戻し、彼女からの返信も「おつかれ」だけになりました。

母が先に送っていたお礼

それから3日後の母の誕生日、長いメッセージを送信。弁当のこと、迎えのこと、最後に「ありがとう」。追伸には「こういうこと書くの苦手だから、最近は彼女にありがとうって送って練習してた」と書き添えました。

母からの返事は2通で、「泣かせないでよ」と「彼女さんにもお礼送っといたよ」でした。どう送ったのか聞く前に、彼女から「お母さんから連絡きたよ」と届きました。

慌てて「え、マジか」、続けて「練習台って言い方、ごめん」と送りました。練習台と呼んでおいて、本番の相手を彼女に明かしたのは、結局母のほうでした。

そして...

次に届いたのは「私への本番は、いつ?」でした。

すぐに開いたものの、返事は何度も打ち直しました。練習台と呼んだ文は、全部本番のつもりだった。そう打っては、また消す。そのまま送る度胸は、まだありませんでした。

送れたのは「次に会う日、ちゃんと口で言う」だけで、スタンプは付けずにおきました。

送信してから、玄関に置いたままだった段ボールを畳み、野菜の隙間にあったメモを冷蔵庫の扉に貼りました。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ