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「お前の作った飯、まずい」と送ってきた彼→3日後、なぜか同じ甘い卵焼きの写真が届いた

  • 2026.10.20
ハウコレ

普段は名前で呼んでくれる彼から届いたのは、「お前」で始まる一行でした。短く返したきり、既読のまま3日が過ぎていきました。

会社の休憩室でお弁当のふたを開けると、卵焼きが2切れ並んでいました。前の日に彼の分とまとめて焼いた、いつもの甘い味です。1切れ目をかじったところで、机に置いたスマホが短く鳴りました。

卵焼きに返ってきた一行

彼とは付き合って1年半で、住まいは電車で4駅離れています。会うたびに、作ったおかずを保存容器に詰めて渡すのが、いつの間にか2人の習慣になっていました。

前の日も、改札で紙袋を渡して別れたあとに、メッセージを送っています。

「卵焼きと煮物、明日のお弁当にでもしてね」

その返事が、さっきの通知でした。

「お前の作った飯、まずい」

箸の先に残っていた卵焼きを、お弁当箱の隅に戻しました。この甘さは、実家の台所で母の横に立って覚えたものです。

普段の彼は、私を名前で呼びます。文面に並んだお前という呼び方が、しばらく目から離れませんでした。煮物のことなのか卵焼きのことなのか、画面を何度見返しても分かりません。

既読のまま過ぎた3日間

休憩が終わる前に、1度だけ返信を打ちました。

「そっか。もう作らないね」

既読はすぐにつきました。けれど、彼からの返事は届かないまま。

家に帰ると、冷蔵庫の卵のパックを奥へ押しやり、砂糖の袋は口を輪ゴムで留めて棚の上に上げました。次の日からのお弁当箱は、洗ったまま水切りかごに伏せてあります。

あの保存容器の中身は、今頃ゴミ箱に入っているのだろうか。そう考え始めてから、仕事中はスマホを裏返して置くようになりました。次の待ち合わせを尋ねる文面を打ちかけては、送らずに閉じる。その繰り返しで3日が過ぎたころ、ようやく彼の名前で通知が届きました。

写真の端にあった札

開くと、写真が1枚付いていました。

「今日の昼、これ頼んだ」

写っていたのは焼き魚の定食で、小鉢の横に黄色い卵焼きが並んでいます。写真の端に写った卓上の札には、甘い卵焼きと書かれていました。

私の卵焼きはまずくて、お店のものなら食べられる。そうとしか読めず、考えるより先に返していました。

「お店のなら食べられるんだね」

今度の返事は、間を置かずに届きました。

「違う。同じ味か確かめたかった」「まずいって言ったの、取り消させて」

何を確かめたかったのか、文面だけでは読み取れません。それでも、取り消すと言われて軽くなったのは味の話だけで、もう1つの引っかかりは残ったままでした。

「まずいより、お前って言われたのが嫌だった」

送ってから次の返事までは、少し長い間がありました。

「ごめん。もう言わない」

そして...

次に会う日、いつもの改札で彼と会いました。彼は紙袋を差し出して言いました。

「これ、ありがとう」

小さくうなずいて受け取ったものの、中はその場で開けませんでした。

家に帰って紙袋を開けると、保存容器は2つとも空で、ふたの溝まで洗ってありました。食べてから洗ったのか、捨ててから洗ったのか、容器を見ただけでは分かりません。洗い直した容器を棚に戻し、輪ゴムで留めた砂糖の袋を、その隣に下ろしました。

「同じ味か確かめたかった」と送ってきた彼は、いったい何を確かめたかったのでしょう。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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