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服に刻まれる、自分だけの履歴。〈MASU〉デザイナー・後藤愼平

  • 2026.10.13

服や小物にできた穴や傷を、直すか直さないか。どちらを選ぶかでモノの表情は変わる。自分らしくリペアして楽しむ道もあれば、あえて手を加えずに愛着を残す方法もまた然り。その選択に、〈MASU〉デザイナー・後藤愼平さんの美意識や価値観が浮かび上がる。

photo: Yoshio Kato / text: Minori Okajima

19世紀のアンティークベスト、〈リーバイス®〉606
BRUTUS

裂け目やすり切れをそのままに服が持つ自然な美しさを尊ぶ

後藤愼平さんが10年以上穿いている〈リーバイス®〉の「606」は、学生時代から現在まで、多くの時を共に過ごした。「地べたで作業しすぎて、膝やヒップ部分がこすれて破れちゃったんです」。経年変化や味を楽しむ姿勢はブランドの服作りにも通じている。

ベストは19世紀のアンティークもので、購入時からすでに布地が弱り、着用を重ねるごとに風合いが増している。「生地の裂け目やすり切れは、この服にとって勲章みたいなもの。自然に生まれた痕跡が美しいから、無理に手を加えるものじゃないと思います。この服は、来季のコレクションのインスピレーション源にもなっています」

19世紀のアンティークベスト、〈リーバイス®〉606
左/東京・京橋の〈Mindbenders&Classics〉で購入したベスト。右/大胆に裂けたヒップも、そのまま穿いている。
19世紀のアンティークベスト
19世紀のアンティークベスト。
〈リーバイス®〉606
〈リーバイス®〉の「606」。

profile

後藤愼平(〈MASU〉デザイナー)

ごとう・しんぺい/2018年に〈MASU〉のデザイナーに就任。ヴィンテージへの造詣の深さとノスタルジーを取り入れたデザインに定評がある。

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