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ヴィヴィアン・サッセンが信じる、写真の魔法。個展『Myriads』が開催中

  • 2026.10.9

デジタルイメージが指先でスクロールされ、一瞬で消費される現代。東京・原宿〈The Mass〉で開催中のヴィヴィアン・サッセンさんの個展『Myriads』は、私たちの感覚に強く訴えかけ、見る者を惹きつける魔力がある。

photo: Kazufumi Shimoyashiki / translation: Tae Rang Kim / text: BRUTUS

写真家のヴィヴィアン・サッセン
BRUTUS

世界的写真家の探求は、領域を広げて続いていく

ファインアートやファッション写真の分野で国際的に高い評価を受ける写真家、ヴィヴィアン・サッセンの個展『Myriads』が開催中。サッセンの30年に及ぶキャリアの原点から現在の探求までを体感できる多層的な展示となっている。日本での展示は2年ぶり。今回の来日では、東京での買い物を楽しめたようだ。

「たまたま見つけた白の提灯に一目惚れしてしまい、たくさん買ってしまいました!というのも来年から1年間タンザニアに滞在して、インテリアデザインに挑戦するので、日本の美学としてアフリカに持っていきたいですね」

写真がもたらす、尽きることのない可能性

サッセンの視覚言語は、幼少期を過ごしたケニアの強烈な直射日光と影のコントラストに深く根ざしている。そして多く見られるのが、影で顔が隠された匿名的な身体。

「顔を隠すことによって、特定の個人ではなく普遍的な人間性を捉えたいんです。見る人はその影に自分自身を重ね合わせ、深く感情を投影できるのではないでしょうか。身体もまた私の重要なテーマです。身体を持つとはどういうことか。世界には多くのノイズがありますが、身体を抽象化して彫刻のように撮ることで、その意味を探求したいのです」

東京・原宿〈The Mass〉で開催中『Myriads』で展示中のヴィヴィアン・サッセンの作品
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サッセンが信じるのは、写真が持つシュルレアリスム的な表現可能性。一方で、何でも生成できてしまうAIの台頭が、写真表現が持つ魔法を奪ってしまうと危惧する。

「写真には、構図やアングルによって対象に奇妙さを与える魔法のような一面がありますが、AIは多くのイメージを一般化し、シュルレアリスムという概念自体を薄めてしまう。また、画面越しに2秒でイメージを消費するのではなく、フィジカルな作品と対面し、じっくり考える。それはまるで良き友人のように、私たちに意味をもたらしてくれます。だからこそ今の私の探求は、プリントの上から直接ポスカなどでペイントを施したり、触覚的・物質的な写真に回帰しています」

大判プリントの質感や色彩、作品の並置が生む知覚。それらは画面越しでは決して味わえない。本展のタイトルの意味は「無数」。写真の“無数の可能性”を信じてサッセンが紡いだ視覚世界を、ぜひこの貴重な機会に体感してみてほしい。

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profile

Viviane Sassen / ヴィヴィアン・サッセン

1972年オランダ生まれ。写真家、アーティスト。幼少期をケニアで過ごす。鮮やかな色彩と影の表現で知られ、『i‒D』『Purple』等雑誌や、ルイ・ヴィトン、ディオール等の広告で活躍。MoMAやヨーロッパ写真美術館、ヴェネチア・ビエンナーレ、KYOTOGRAPHIEでの展示など現代美術でも躍進。代表的な写真集に『Flamboya』『Umbra』等。


Information

『Myriads』
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『Myriads』

初期の未公開アーカイブや継続作《Frau Holle》などを展示。2026年11月8日まで、The Massで開催中。

住所:東京都渋谷区神宮前5-11-1
営:12時~19時
休:月曜・火曜
¥:無料

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