1. トップ
  2. 住まい
  3. ろうそく火災の約半数は灯明 アロマは2割 東京消防庁5年

ろうそく火災の約半数は灯明 アロマは2割 東京消防庁5年

  • 2026.10.10

東京消防庁の「火災の実態」から2020〜2024年のろうそく火災184件を足し合わせると、使用目的は仏壇などの灯明が90件、アロマテラピーが37件。経過は燃える物と触れた3区分で103件、倒れた・落ちたが49件でした。NITEの記録と東京都の調査とあわせ、5つのNGにまとめています。

お彼岸やお盆に仏壇へ灯すろうそく。秋の夜長に、部屋で灯すアロマキャンドル。同じ炎でも、使う場所も、まわりに置かれている物も違います。
東京消防庁は毎年「火災の実態」で、ろうそくから出た火災を1年分ずつまとめています。weboo編集部は、2020年から2024年(令和2〜6年)の5年分を足し合わせました。放火と火遊びを除いた184件のうち、仏壇などの灯明が90件(48.9%)、アロマテラピーが37件(20.1%)。5年で10人が亡くなり、105人がけがをしています。
火が出た経過は、編集部で区分をまとめると、倒れたものより、ろうそくと燃える物が触れたものが多くありました。
この記事では、この5年分の数字に、製品評価技術基盤機構(NITE)の「NITE SAFE-Lite」にあるろうそく類の記録81件と、東京都が2024年に公表した調査を重ねて、避けたいNGを5つに絞っています。NITEの記録は古いものが中心で、発生日がわかる79件のうち59件が2007年以前、20件が2008〜2017年で、2018年以降の記録はありません。

5年で184件 灯明が90件、アロマテラピーが37件

東京消防庁の「ロウソク」の集計には、アロマテラピーや照明に使うろうそくと、宗教などのために用いる灯明、ちょうちん、灯ろう、走馬灯から出た火災が入ります。放火、放火の疑い、火遊びは除かれています。線香と蚊取線香はこの分類に入っていないため、仏壇の火でも線香から出た火災はこの件数に含まれません。数字は東京消防庁の管轄(稲城市と島しょ地域を除く東京都)のものです。
年ごとの件数は、令和2年が31件、令和3年が40件、令和4年が36件、令和5年が38件、令和6年が39件。亡くなった人は令和4年と令和5年がそれぞれ4人でした。令和8年版(概要版)の資料では、令和7年は40件でした。経過・使用目的の内訳がまだ公表されていないため、この記事の合計には入れていません。
使用目的は、5年すべてで灯明が最も多く、合計90件。アロマテラピーは37件で、照明22件、ムード照明10件と続きます。年によって円グラフの区分が違い、ちょうちんの区分があるのは2023年の図だけ、ムード照明の区分は2020年の図にありません。

倒れたより触れたが多い 経過の3区分で103件

東京消防庁は、火が出るまでの流れを「経過」として分類しています。5年分を足すと、最も多い区分は「火源が転倒する」(ろうそくが倒れる)の42件でした。ただ、「可燃物が接触する」「火源が接触する」「接炎する」の3つは、どれもろうそくの火や本体と燃える物が触れて火が出たときの区分です。東京消防庁も各年の解説で、それぞれ「ロウソクに可燃物が接触して」「ロウソクが可燃物に接触して」「ロウソクが可燃物に接炎して」出火したものと書いています。編集部でこの3つを足すと103件(56.0%)になり、「火源が転倒する」と「火源が落下する」を足した49件(26.6%)の2倍を超えます。
1年ごとに見ると最も多い区分は入れ替わり、令和5年は「火源が転倒する」が14件で最多でした。「可燃物が転倒する」(燃える物の側が倒れてくる)4件は、どちらにも足していません。

月ごとの件数も5年分を足しました。11月から3月までの5か月で96件(52.2%)、4月から10月までの7か月で88件です。1月は22件、10月は11件でした。月ごとの差の理由は、この統計には書かれていません。

NG1 炎の上や横に、燃える物を置いたまま灯す

棚の中段にキャンドルを置き、上の段にはかご。窓辺にはカーテン。仏壇には造花や敷物。炎のすぐそばに、燃える物がある置き方です。
東京消防庁の事例には、棚の中段で灯したアロマキャンドルの火が、上の段の藤かごに接炎して出火した火災があります。家族と談笑していた間のことでした。NITEの記録にも、風で揺れたカーテンが火に触れた記録、仏壇でろうそく立てのすぐ脇にあった造花に燃え移った記録、台風で停電したときに玄関の下駄箱に置いたろうそくの炎がドライフラワーに移り3名が亡くなった記録があります。クリスマス用のろうそく立てで、ろうそくが短くなったところで台座の飾りの人形に火が移った記録(2003年)もあります。この製品の説明書には「ローソクが半分くらいになると、フィギュア(人形)と炎が近くなりますので、フィギュアをはずしてご使用下さい。」との注意表示があり、事業者は社告を出して回収しました。

こうする:灯す前に、炎の上・横の物をどける(防炎品も)。
東京消防庁は事例の教訓で「ロウソクやアロマキャンドルなどの炎の近くに可燃物を置くと、着火する危険性があるため、炎の近くに可燃物を置かないよう心掛けましょう。」としています。東京都の調査も「燃えやすいものの近くや不安定な場所で使用しないようにしましょう。」とし、仏壇については「仏壇には位牌や花瓶など多くのものが置かれていますが、灯明の周囲には燃えやすいものを置かないようにしましょう。」と書いています。同じ調査の試験では、防炎加工のないカーテンは火がつくとすぐに燃え広がり、防炎加工のカーテンは炎が当たった部分が燃えたものの周りに広がりませんでした。調査は「また、防炎加工されている商品を使用することで、万が一、ろうそくの火が燃え移ってしまっても、燃え広がりを抑えることができます。」としています。
燃える物は家具だけではありません。同じ調査の試験では炎の5cm上でも200℃以上になり、調査は仏壇の奥にある物を取るときに服の袖やすそが炎に近づきすぎないよう気を付ける必要があるとしています。

NG2 倒れやすい燭台や、不安定な場所で灯す

細いろうそく立て、傾いた台、人が通るたびに揺れる棚。窓から入る風や、子どもやペットが触れることもあります。
東京消防庁の5年分では、「火源が転倒する」が42件、「火源が落下する」が7件ありました。NITEの81件のうち、通知か原因の文に仏壇・仏間・祭壇が出てくる記録は12件(いずれも1997〜2003年に起きた記録)で、そのうち7件はろうそくが倒れたと書かれています。仏壇のろうそくが燭台ごと倒れ、経机の上の布に燃え移った記録もあります。

こうする:重心が低く倒れにくい燭台で、安定した場所に。
東京都の調査は「重心が低く倒れにくい燭台に替える、不安定な場所で火を点けて使用しないなど、ろうそくが倒れない状態で使用しましょう。」とし、続けて「また、風や振動によってろうそくが倒れ、周囲のものに着火する場合もあるので、窓を開けっぱなしにしたり、子供やペットがろうそくに近づかないようにしましょう。」と書いています。同じ調査の試験では、倒れたろうそくの火が移ったとき、防炎の仏壇マットは燃え広がりませんでした。

NG3 火をつけたまま、眠る・出かける・別の用事を始める

掃除の合間、お風呂のあいだ、ちょっとした外出。ろうそくを灯したまま、別のことを始めてしまう場面です。
東京消防庁の事例には、アロマキャンドルに火をつけて別の作業をしているうちに、火をつけていたことを忘れてその場を離れ、手作りのキャンドルホルダーの蝋が溶けて飾りの枝に火がついた火災があります。木製の台に置いたアロマキャンドルを消し忘れ、台に敷いた布に火が触れた事例もあります。
NITEの81件では、火をつけたまま寝た、出かけた、その場を離れた、消し忘れた、放置したなどと書かれた記録が34件ありました(同じ事故をろうそくとキャンドルホルダーの2つの品名で記録した2件を含みます)。約19時間前に火をつけ、消すのを忘れて外出した記録や、浴室のキャビネットにじかに置いたろうそくを消し忘れた記録です。仏壇にろうそくを置いたまま朝食をとっていた記録と、布団の近くでろうそくに火をつけたままにしていた記録の2件は、その場を離れたかどうかが書かれていないため、この件数に入れていません。

こうする:その場を離れない。離れるときは火を消す。
東京都の調査は「点火したらその場を離れないようにしましょう。」とし、「また、使用後は、火が完全に消えていることを確認してからその場を離れましょう。」と書いています。東京消防庁も事例の教訓で「また、裸火を使用する際はその場から離れず、離れる場合は火を消しましょう。」としています。

NG4 燭台や受け皿を使わず、家具や物の上にじかに置く

缶やグラスに入ったキャンドルは、器があるぶん、そのまま家具に置いて灯してしまいがちです。手元の本や小物入れの上に、ろうそくを立ててしまうこともあります。
NITEの記録のうち、原因の文に「直接」「直に」置いた・立てた、または「受け皿を使用せず」と書かれた記録は8件。缶に詰めたアロマキャンドルをテーブルや床にじかに置き、燃え終わりに近づいて缶の底が熱くなり、置いた所を焦がした記録が2件あります。2件とも床などにじかに置いて使えるとされていた製品で、輸入した事業者は、その後の同じ種類の製品に耐熱皿を使う旨の表示を加えることとしました。本の上にじかに置いたまま寝た記録、プラスチックの筆入れの上に立てた記録、ガラスの灰皿にじかに置いたまま外出し、燃え尽きるときに灰皿が割れて床などに燃え移った記録もあります。

こうする:燃えにくく熱を伝えにくい燭台・受け皿の上で。
東京都は2002年のアロマテラピー用ろうそくのテストで、「家具等の上で直接ろうそくを燃やすと家具が変色したり焦げたりすることがあります。」とし、「ガラスや陶器等の不燃性で断熱性の良い燭台や受皿の上で使用しましょう。」と呼びかけていました。2024年の調査では、ネットで買ったアロマキャンドル4点すべてで、説明書などに使用上の注意の記載がありませんでした。調査は、取扱説明書やインターネットショッピングサイト上の注意事項を確かめてから使うよう呼びかけています。

NG5 火を消したあとの燭台やキャンドルに、子どもの手が届く

お参りが終わって火を消したら、すぐにその場を片付けたくなります。でも、消した直後の燭台や、器の中で溶けた蝋は、まだ熱いままです。
消費者庁には、医療機関からこんな事故情報が寄せられています。「保護者がろうそくの火を消した後、こどもが保護者の真似をして、ろうそくを手であおいだところ、溶けていた蝋(ろう)に触れてやけどした。」(1歳)
東京都の灯明の試験では、ろうそくを消して3分たっても燭台の上部は熱いままでした。

こうする:消したあとも、子どもの手が届かない位置に。
消費者庁はお盆の時期の呼びかけで「お墓や仏壇に供える線香やろうそくは、なるべくこどもの手が届かない位置に置く。」としています。この呼びかけは線香を含みますが、この記事の件数は東京消防庁・NITEともにろうそくの記録だけを数えています。東京都も2002年のテストで「また、消火後もしばらくは容器が熱くなっています。」と書いていました。

火が移ったとき 東京消防庁の目安は天井まで

東京消防庁の事例では、炎に気づいた人がコップの水で火を消し、そのあと119番に通報しています。これは周りの物に燃え移った火を消した例で、器の中で溶けたろうに火が回った炎とは場面が違います。東京消防庁の初期消火の案内は「火が天井まで達した時は避難を開始しましょう」としています。
一方、NITEの記録には、大きくなった炎を吹き消そうとして、溶けたろうが顔や手に飛び散った記録が3件あります(うち2件はやけど)。受け皿なしで近づけて並べた複数のキャンドルが一つの大きな炎になり、水をかけたところ火のついたろうが飛び散って周りに燃え移った記録も1件あります。炎が大きくなったときの消し方の手順は、この記事で確認した公的資料にはありませんでしたが、してはいけない動作は示されています。NITEは2000年10月の注意喚起(英語版で確認)で、アロマテラピー用の加熱用ろうそく(金属カップ入り)について、溶けたろうに火が回り大きな炎になることがあるとし、燃えている間は火が回っていなくてもろうが溶けているため、容器を揺らす、水滴を落とす、吹き消すといった動作は溶けたろうが飛び散り極めて危険だとしています。同じ資料の試験では、容器に水滴を落とすと溶けたろうが割れて飛び散りました。
もう一つ、東京都の調査が試したのが、水で洗った燭台です。アンケートの2,000人のうち329人が燭台を水で洗う・水拭きすると答え、試験では皿に水分が付いていると、炎が近づいたときに瞬間的に激しく燃えることがありました。調査は「燭台を水洗いした後は、十分に乾かしてから使用しましょう。」としています。

まとめ 炎の上・横・下と、消したあとの燭台

灯す前に見るのは、炎の上と横です。棚の上の段、カーテン、仏壇の造花や敷物が炎に近くないかを確かめます。次に炎の下。倒れにくい燭台か、キャンドルの器の下に燃えにくい受け皿があるかを見ます。
灯しているあいだはその場を離れず、離れるときは火を消します。消したあとも燭台や器はしばらく熱いので、子どもの手が届かない位置に置いておきます。
東京都の調査は、子どもや高齢者、ペットがいる家庭などでろうそくの火を使うことに抵抗がある場合は、電気ろうそくなどの代用品の使用も検討するよう呼びかけています。
停電のときの明かりの備えは、関連記事「台風シーズンの備蓄見直し 家族4人で水は42本」で扱っています。

※東京消防庁の5年分の合計・経過の足し算・月別の合計は、weboo編集部が令和3〜7年版の図表から足したものです。NITEの記録の件数は、2026年10月7日に取得した公開記録を編集部が数えたものです。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ