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ガス湯沸器とふろがま 換気扇で排気が逆流する機種に注意

  • 2026.10.10

台所の小型湯沸器は換気扇を回して使います。一方、排気筒の付いた湯沸器やふろがまでは、台所や浴室の換気扇で排気が逆流することがあります。2007年2月〜2020年12月に起きた一酸化炭素の記録69件を編集部で分類し、NITEと経済産業省の注意書きで裏付けの取れたNGを5つ挙げています。

冷え込む朝、台所の小さな湯沸器で食器を洗う。脱衣所の窓を閉めて、追いだきのお風呂に入る。ガスでお湯を沸かす道具は、寒い時期ほど使う時間が長くなります。
気をつけたいのが、燃え方が悪くなったときに出る一酸化炭素(CO)です。色もにおいもないため、気づかないうちに吸い込むおそれがあります。
製品事故の記録を集める独立行政法人の製品評価技術基盤機構(NITE)は、データベース「NITE SAFE-Lite」で記録を公開しています。weboo編集部はそこから、ガスのふろがま・給湯器・湯沸器の記録のうち、被害がCO中毒か、通知・原因の文に一酸化炭素の記載があるもので、2007年2月から2020年12月までに起きた69件を1件ずつ読みました。13件で人が亡くなっています。この条件で拾える記録に2021年以降に起きたものは無く、経済産業省は2025年・2026年にもガス事業法にもとづく報告として給湯器が関わる事故を発表しています。
読んでいくと、換気扇の使い方が機種によって逆になる点が目立ちました。台所の小型湯沸器は換気扇を回して使うもの。一方で、排気筒(煙突)の付いた湯沸器やふろがまでは、台所や浴室の換気扇を回したことで排気が逆流した、または妨げられたと書かれた記録が6件ありました(すべて2007〜2009年の記録)。NGに挙げた5つは、記録の場面のうち、公的機関の注意書きで裏付けが取れたものに限っています。冬の入浴そのものの注意(脱衣所の寒さや湯温)は、関連記事「冬のお風呂でやりがちなNG5つ」で扱っています。

区分の付いた60件 製品が原因とされた記録は0件

SAFE-Liteでは、品名が「ガスふろがま(都市ガス用、BF式、給湯機能付)」「開放式ガス瞬間湯沸器(LPガス用)」のように、燃料と排気の方式つきで書かれています。品名に「ガス」と、ふろがま・給湯・湯沸のどれかを含む記録は全期間で3,309件。そのうち発生日が2007年以降とわかる2,032件から、被害の種類が「CO中毒」のもの、または通知・原因の文に一酸化炭素やCO濃度が書かれたものを拾うと69件でした。数えたのは2026年10月7日にダウンロードした時点で公開済みの記録だけで、NITEに届かなかった事故や、ほかの制度で国に報告された事故は入りません。69件のうち37件は2007〜2009年に起きた記録で、最も新しいものは2020年12月です。
NITEの原因区分で分けると、施工・修理などに問題があったとされる区分が19件、誤使用や不注意の区分が18件、そのほか製品に起因しない区分が19件、原因不明が4件。区分の付いた60件に、製品が原因とされた区分は0件でした。区分が付いていない9件は結論の文を読むと、熱交換器の腐食について、メーカーが対象製品の無償点検・改修を行うとした記録2件のほか、原因の特定に至らなかった記録などです。調べたところ機器の燃え方に異常がなく、事故に関わっていない、または製品に起因しないとされた記録も6件ありました。

品名の方式で見ると、半密閉式が24件、屋外式が20件、開放式が11件、密閉式が6件、方式が書かれていない品名が8件です。通知か原因の文に浴室・入浴・シャワー・浴槽が出てくる記録は35件で、ほぼ半数でした。
次に、経過と原因の文に書かれていた場面を、この記事のNGごとに数えました。1件の記録に2つの場面が書かれていることもあるので、件数は重なります。5つのどれかに当てはまる記録は28件です。

換気扇は回す?止める? 機種で注意が逆になる

台所の小型湯沸器は、使うときに換気が欠かせない機器です。経済産業省のページは「コンロや小型湯沸器の使用中は、必ず換気扇を回すか、窓を開けて換気をしましょう。」としています。
これに対して、煙突(排気筒)の付いた湯沸器やふろがまでは、お風呂を沸かしている間の注意が逆になります。経済産業省は同じページの注意書きで、煙突の付いた湯沸器・風呂がまについて(ページの表記を要約)、お風呂を沸かしているときやシャワーを使っているときに「台所の換気扇などを使用すると、風呂がまの排気が浴室内などに逆流し、一酸化炭素中毒をおこす場合があります。」とし、「同時使用は避けてください。」と書いています。NITEの資料も、対象を「室内に設置されている半密閉式のガス湯沸器や排気筒付ふろがま」とし、風呂を沸かしているときは「浴室や他の部屋などの換気扇は使用しないでください。」としています。
呼び方は、経済産業省のページが「煙突のある」湯沸器・風呂がま、NITEの資料が「半密閉式」「排気筒付」と違い、NITEは室内に設置されているものに限って書いています。自宅の機器がどちらに当たるかは、取扱説明書や本体の表示で確かめ、わからなければガス事業者や販売店に尋ねてください。

出典 www.meti.go.jp

NG1|開放式の小型湯沸器を、換気しないまま使う

「洗い物の数分だけ」と、換気扇のスイッチを入れずに湯沸器をつける日もあるかもしれません。お風呂が使えない日に、台所の湯沸器のお湯を浴槽へ運ぶ家もあります。
品名が開放式または小型の湯沸器で、換気扇を使わなかった、換気がされていなかった、閉め切っていたと原因の文にある記録は7件。うち3件で人が亡くなっています。換気扇が油で目詰まりして使われておらず、約34年使った湯沸器にほこりとススがたまっていた記録。ふろがまが故障したため、湯沸器で沸かしたお湯を寸胴鍋にためて浴槽に移していて、換気扇も窓も閉じたままだった記録。換気設備のないコンテナの中に湯沸器を置き、扉を閉め切って使っていた記録もあります。なお、後付けの排気ファンの配線が正しくつながっておらず(NITEの区分は施工・修理などの問題)、ファンが動かないまま使われていた開放式の小型湯沸器の記録(2名死亡)は、使う人が換気しなかった記録とは分けて、この7件に数えていません。

こうする:換気扇を回すか窓を開け、浴槽・シャワーへの給湯に使わない。
NITEは2013年の注意喚起で、ガス湯沸器について「使用の際は必ず定期的に換気をしてください。換気が不十分だと、不完全燃焼により一酸化炭素が発生するおそれがあります。必ず換気扇を回すか、窓を開けてください。」としています。あわせて「小型湯沸器は、短時間の少量給湯用に設計されているため、浴槽やシャワー、洗濯機への給湯等、長時間の連続使用はしないでください。」とも書いています。

NG2|排気筒付きの湯沸器・ふろがまでお風呂を沸かす間に、換気扇を回す

シャワーの湯気を逃がす浴室の換気扇と、料理中に回す台所のレンジフード。どちらも、家族の入浴の時間と重なりやすい換気扇です。
換気扇を回したことで排気が逆流した、逆風止めから排気が引き戻された、排気が妨げられたと原因の文にある記録は6件でした。台所の換気扇が4件、浴室の換気扇が1件、どの部屋か書かれていない換気扇が1件です。先に入った家族が浴室の天井の換気扇を回して出たあと、後から入った家族2名が浴室内で倒れていた記録。塗装工事の養生で浴室の換気口が外からふさがれていたところに、隣の台所で換気扇を使い、浴室の中の気圧が下がって、排気筒の逆風止めから排気が引き戻されたと推定された記録もあります。この6件は、いずれも2007〜2009年に起きた記録です。
このほか屋外式の機器でも、浴室や台所の換気扇が動いている中で、パイプシャフトや地下の設置場所から排気が浴室や室内に入ったと推定された記録が3件あります(うち2件で死亡、最も新しいものは2020年12月)。公的資料の換気扇の注意は室内に置く機器についてのものなので、この3件はNGの件数に入れていません。

こうする:お風呂を沸かす・シャワーの間は、換気扇との同時使用を避ける。
上の節で引いたとおり、NITEは半密閉式のガス湯沸器や排気筒付ふろがまで風呂を沸かしているときは換気扇を使わないよう、経済産業省は台所の換気扇などとの同時使用を避けるよう呼びかけています。NITEの同じ資料には、ガスふろがまを使用中に台所の換気扇を回したため、排気ガスが浴室に逆流した例が載っています。

NG3|外壁工事のシートなどで、給排気口がふさがれたまま使う

外壁の塗り替え工事が始まると、家のまわりが足場とシートで覆われます。その間も、お風呂は毎日沸かすものです。
機器の給排気口などがシートや物で覆われた、ふさがれたと原因の文にある記録は5件。内訳は、塗装や外装の工事のシート・ビニールが3件、凍結防止の断熱材を戻し忘れて給気口をふさいだものが1件、外れた防熱フードが排気口の上に載っていたものが1件です。塗装の事業者が、ふろがまと部屋の換気口をまとめて養生シートで覆っていた記録では、3名が病院に運ばれています。1歳の子どもが入浴中に一酸化炭素中毒になった記録でも、給排気口が外壁塗装の養生シートでふさがれていました。
経済産業省は2025年2月にも、外壁工事のためビニールに入った網戸が給湯器の給排気口付近に立てかけられ、給排気口をふさいで一酸化炭素が発生したと推定される事故を発表しています(この事故はガス事業者からの報告で、上の69件には入っていません)。

こうする:給排気口がふさがれていないか確かめてから使う。
経済産業省は「ガス機器の給排気口はビニールシート等で塞がないようにしてください。」と呼びかけています。NITEも「建物外壁の塗装工事中は、ガス機器の給排気筒(煙突)、換気扇などの給排気設備が養生シート等でふさがれていないことを確認してからガス機器を使用してください。」としています。工事が始まる前に、給湯器や換気口の位置を工事の担当者と確かめておくと安心です。

NG4|屋外用の給湯器を、波板や小屋で囲う・屋内に置く

雨よけに給湯器のまわりを波板で覆う。物置やガレージを増築して、外にあった給湯器が建物の内側に入る。設置したあとで、まわりの環境が変わる例です。
屋外式の機器が、波板や小屋で囲われていた、または屋内に置かれていたと原因の文にある記録は6件。波板で囲ったものが2件、設置後に小屋が増設されていたものが1件、屋内(ガレージや浴室の中を含む)に置かれていたものが3件で、2件で人が亡くなっています。シャッターを閉じたままのガレージに置かれた給湯器の排気が、窓から浴室に入ったと推定された記録もあります。囲いや設置は、使っている人ではなく設置した人や増築した人が行った記録も含みます。一方、NITEの区分が施工・修理などの問題(D)で、屋外式がパイプシャフトや閉ざされたスペース、チャンバーの中に業者の工事で設置されていた記録4件は、使う人や持ち主の側で囲った・置いた記録とは事情が違うため、この6件に入れていません。

こうする:周りを囲わない・屋外用を屋内で使わない。
NITEは2013年の注意喚起で、給湯機やふろがまについて「給排気口等をふさいだり、周囲を囲ったりしないでください。」とし、「屋外設置用機器を屋内で使用すると、排気ガスに含まれる一酸化炭素により、一酸化炭素中毒になるおそれがあります。」と書いています。経済産業省の資料にも「屋外設置型のガス給湯機の周囲を波板やビニールシート等で囲ってはいけません。」とあります。増築やリフォームで給湯器のまわりが変わるときは、ガス事業者や販売店に相談してください。

NG5|立消えや警報などの異常があっても、そのまま使い続ける

お湯が途中で水になる、火が消える、警報器が鳴る。それでもスイッチを押し直せば、またお湯が出ることがあります。
安全装置の作動や不具合、警報などの異常が書かれ、そのあとも使われていた記録は10件ありました。内訳は、安全装置が働いて火が消えたりエラーが出たりしたのに点火やリセットを繰り返したものが3件、警報器が鳴るため取り外していた、または電源プラグが外されていたものが2件、立消えや赤い炎、お湯が出ない、うまく火がつかないといった不具合を知りながら使い続けたものが4件、使った人から体調不良の訴えがあったのに使われていたものが1件です。
不完全燃焼防止装置が働いて自動で火が消えていたのに、浴槽にお湯をためるため点火を繰り返した記録。約2か月前から排気口から白い煙が出て赤い炎になり、お湯が急に水になる不具合が出ていた記録もあります。

こうする:すぐに使用をやめ、ガス事業者や販売事業者に点検を依頼。
NITEは2013年の注意喚起で、「不快なにおいがする、炎があふれる、機器が異常に過熱している、ススが付着している、使用中に火が消えるといった不完全燃焼の現象がみられた場合は、一酸化炭素中毒になるおそれがありますので、すぐに使用を中止し、ガス事業者や販売事業者に連絡して、点検を受けてください。」としています。経済産業省の資料も「黒煙やススが発生しているときや、湯沸器上部周囲がススで黒く汚れているときは、不完全燃焼となっている状態のため高濃度の一酸化炭素が発生し危険ですから、直ちに使用を中止し、業者に点検を依頼しましょう。」と書いています。

頭痛はもっとも軽い症状 体の異変は使用を止める合図

一酸化炭素は目に見えないので、体の変化が手がかりになります。経済産業省は「一酸化炭素中毒のもっとも軽い症状は、前頭部に軽度の頭痛を感じることです。」としたうえで、2026年4月の発表では「ガス機器の使用中に体調不良を感じた場合は、直ちにガス機器の使用を停止してください。」と呼びかけています。2025年2月の発表では、同じような症状が出たときは換気の確認をするよう書いていました。
箕面市は「使用中に頭痛や吐き気など異常を感じたときは、使用をやめて新鮮な空気のある場所へ避難しましょう。」としています。そのうえで、機器の点検はガス事業者や販売店に頼みます。
経済産業省は、「ガス漏れ」と「不完全燃焼によって発生した一酸化炭素」を検知できるガス・CO警報器の設置もすすめています。記録には、警報器を外していた例が2件ありました。

長く使った機器と、69件の外で起きている事故

69件のうち、原因の文や使用期間の欄に10年以上の使用年数が書かれた記録は14件で、最も長いものは42年以上でした。不完全燃焼防止装置が付いていない機器だったと書かれた記録も3件あります。NITEは2013年の注意喚起で「平成元年から販売されているすべてのガス湯沸器にはすべて不完全燃焼防止装置がついています。」とし、安全性の向上した製品を使うことも事故の防止に有効だとしていました。
冒頭のとおり、この条件でSAFE-Liteから拾える記録に2021年以降に起きたものはありませんが、経済産業省は2025年2月と2026年4月に、給湯器が関わる一酸化炭素中毒事故をガス事業法にもとづく報告として発表しています。2026年4月の発表は、3月29日に東京都内の飲食店で8名が中毒になったもので、隣の店の給湯器の排気が開いていた窓から入ったと推定され、その給湯器の吸気部は油で目詰まりしていたとのことです。記録が古いことは、事故が無くなったことを意味しません。

まとめ 機種ごとの換気扇と、給排気口・異常のサイン

出典 www.nite.go.jp

換気扇の扱いは、機器の種類で分けて考えます。台所の小型湯沸器では換気扇を回すか窓を開け、浴槽やシャワーへの長い給湯には使いません。排気筒の付いた湯沸器やふろがまでは、お風呂を沸かす間とシャワーの間、台所や浴室の換気扇との同時使用を避けます。
どの機種にも共通するのが、給排気口のまわりです。外壁工事のシート、後から付けた囲い、凍結よけの覆いがかかっていないかを、工事や季節の変わり目に見ておくと、記録にあった場面の多くに当たります。
立消えや警報、頭痛などの異変があった日は、その機器をもう一度つけず、ガス事業者や販売店に点検を頼んでください。

※方式・NGごとの件数は、2026年10月7日にダウンロードした記録の文をweboo編集部が読んで付けたものです(抽出の条件は1つ目の見出しの節)。

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