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「エルメス」が描く“エアリー”なエレガンス 軽さがもたらす新たな自由【2027春夏コレクション】

  • 2026.10.9
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10月に入っても30度近い暑さに見舞われたパリ。「エルメス」の舞台となったギャルド・レピュブリケーヌの密閉された特設会場に入ると、じわりと汗がにじむ。それでもショーが始まると、そよ風を感じさせる軽やかで涼しげなワードローブが、その熱気を忘れさせてくれた。テーマに掲げるのは“空気の形(The Shape of Air)”。ショー後にアーティスティック ディレクター、ナデージュ・ヴァンヘはこのように振り返った。「空気が服の中をどう通り抜けるのか、空気が何かを運び、布をどうドレープさせるのか。私にとって重要だったのは、それとプラグマティズム(実用性)が交差することです。夏らしいワードローブに、“自由”というメタファーを重ねたかったのです」。

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薄く繊細な透かし編みのシルクのニットドレス。折り目の中に空気を取り込み、パラシュートのように膨らむジャケット。グラフィカルに体を彩るブラトップとショーツのセットアップ。白で統一された会場を、視覚的にも清涼感のあるホワイトやアイシーブルーをまとったモデルが行き交う光景は、どこか白昼夢のようだった。

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今季は、メゾンの核であるレザーも紙のような薄さまで削ぎ落とされ、驚くほど軽い。アビエーターの要素を取り入れた構築的なジャケットや、軽やかなテーラードコート、パイピングを施して通気性を高めたジレへと仕立てられた。時には装飾として、シアーなメッシュに細いレザーの帯をストライプ状に刺しゅう。遠目には布なのか、ドローイングなのかさえ曖昧になるほど繊細だ。

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裾をフリンジ状にカットしたレザーは、力強く進む足取りに合わせて踊るように揺れ、重力を感じさせないほどだった。使い込んだ馬具を思わせるパティーナを施したレザーがメゾンの記憶を伝える一方、極薄のレザーにはワックスを用いた伝統的な技法を応用し、防水性という現代的な機能も与えた。「昔からある技法を、現代が求める“軽さ”に応用しました。今、私たちはみんな、軽くて快適なアイテムを求めていると思うんです」とナデージュ。

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カラーパレットは幕開けのホワイトから、ベージュやテラコッタ、オリーブへ。やがてサンフラワーイエローやサンセットオレンジ、鮮烈なレッドが差し込み、白い空間を鮮やかに染め上げていく。

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“プリュム”や“サック・ド・ジュール”、“ガーデンパーティ”、スクエアシェイプの新作ハンドバッグまで、ウェアと呼応する色彩をまとい、朝靄から夕暮れまで刻々と表情を変える夏の空を映し出した。

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伝統という重みさえ軽やかに解き放ち、ナデージュは「エルメス」に新たな自由を吹き込んだ。その軽快な足取りで、メゾンは次なる章へと向かう。来年1月には、グレース・ウェールズ・ボナーによる初のメンズコレクションと、ナデージュが手掛けるメゾン初のオートクチュールが相次いでベールを脱ぐ。受け継いできたサヴォアフェールを礎に、「エルメス」がそれぞれの領域でどんな表現を開拓するのか。新たな局面を迎えるメゾンから、ますます目が離せない。

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