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「セリーヌ」が呼び覚ました、 ファッションが秘める″感情を揺さぶる力”【2027年サマーコレクション】

  • 2026.10.9
©CELINE

2026年10月3日(現地時間)に、マレ地区のフランス国家公文書館で発表された「セリーヌ」2027年サマーコレクションは、一着のリトル・ブラック・ドレスで幕を開けた。深めに開いたVネックと、あえてウエストラインを絞りすぎないシルエット。一見シンプルに見えるファーストルックは、クリエイティブ・ディレクターのマイケル・ライダーが語る「服にただ、その役割を果たさせる」というコレクション全体のテーマを象徴していた。

Celine
©CELINE

今回のラインナップは、シックなパリジャンからエキセントリックなスタイルを好む女性まで、あらゆる人の心に響く要素が詰まっている。ライダーはこの着想を「エモーショナル・ドレッシング(感情をまとうドレスアップ)」と表現。ショーノートの中で「必要なときに心に安らぎを与えてくれる感覚。あるいは、私たちが互いに与え合う情熱的なエネルギー」を表現したかったと明かしている。

Alessandro Lucioni
Alessandro Lucioni

多様なプロポーションと計算し尽くされたスタイリングにより、コレクションはひとつのムードにとどまらない軽やかな躍動感に満ちていた。パンツのバリエーションも実に豊かで、タイトなチノからバルーンシルエット、プリーツを寄せた柄もの、さらにはラグジュアリーなスエットパンツを思わせるプリント柄のガウチョパンツまで幅広く登場。ライダーが就任当初見せていたプレッピーなアプローチは鳴りをひそめ、よりレイヤードで都会的なスタイリングへと進化を遂げた。一方で、かすれたスカーフ調のプリントを施したバターイエローのシースドレスなど、メゾンの伝統へのリスペクトを感じさせるルックものぞかせる。

Alessandro Lucioni
Alessandro Lucioni

ライダーが手掛ける「セリーヌ」には折衷的なスピリットが宿るが、ランウェイのために作られたような唐突感は一切ない。仕立ての良いレザージャケットや、パワーショルダーが印象的なスーツジャケットといったベーシックアイテムを軸に、抱えるように持った超ビッグサイズのフラワーパッチワークバッグや、重ねづけしたロングビーズネックレスなどの個性的でアイコニックなアクセントを重ねている。

Alessandro Lucioni

また、今回はこれまで以上にイブニングウェアのプロポーションにもフォーカス。多様なリトル・ブラック・ドレスをはじめ、歩くたびに心地よい音を奏でるビーズのマイクロドレスなどが視線を集めた。けれど、これらドレスアップ感のあるピースも、ジャズシューズやトレンチコートと合わせることで、現代のセリーヌ・ウーマンのワードローブにすんなりと溶け込んでいく。

Alessandro Lucioni

かつてライダーが師事したフィービー・ファイロは、“女性の視線”に向けた服作りで一世を風靡(ふうび)した。知性的で控えめな官能性を持ちながら、日常のリアリティに寄り添う服だ。マイケル・ライダーもまた、自身の手法でそのバトンを受け継いでいる。「気負わず、飾らない」——その言葉通りに。

Alessandro Lucioni
Alessandro Lucioni
Hearst Owned
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