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「フェンディ」が覆す装いのルール。“見せる”ランジェリーで自由をまとう【2027春夏コレクション】

  • 2026.9.29
Courtesy of Fendi

今季の「フェンディ」は、アメリカの詩人E.E.カミングスが1925年に発表したこんな詩の一節から始まった。“I like my body when it is with your body(あなたと一緒にいる時の、自分の身体が好き)”。ショーの招待状にも記されたこの言葉を起点に、マリア・グラツィア・キウリが見つめたのは、身体と服、そして身体と身体の間に生まれる関係性だ。彼女が服を「感情に対して多孔質な第二の皮膚」と表現するように、コレクションを通して問いかけたのは、服で身体をどう飾るかということ以上に、私たちは自らの身体とどう向き合い、何をまとい、どう見せたいのかということだった。

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物語を語る上で重要な存在となったのが、イタリアを代表する歌手でありテレビスターのラファエラ・カッラ。70年代に活躍した彼女は、ゴールデンタイムのテレビ番組で大胆に肌を見せ、自らの身体やセクシュアリティを臆することなく表現した。彼女のステージ衣装という視覚的な要素だけではなく、自分がどうありたいか、どう見られたいかを自ら決める姿勢が、キウリを刺激したようだ。自由でエネルギッシュ、セクシーでありながらどこか親しみやすい。そんな彼女が体現した自立した女性像が、今季のコレクションを貫く一つの軸となった。

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会場セットにも、その着想は投影された。ランウェイの中央を占めたのは、イタリアの彫刻家ルチアーノ・ファブロによる“Cubo di specchi(ミラーキューブ)”から着想を得た巨大な鏡張りのボックス。モデルがその中を歩くたび、姿は鏡の中で幾重にも増殖し、その表面には向かいに座る観客の姿まで映り込む。ショーを眺めているはずの自分自身もまた、その光景の一部になっていく仕掛けだ。さらに、カッラとアドリアーノ・チェレンターノによる「Prisencolinensinainciusol」のパフォーマンスも、この鏡の演出のインスピレーションとなった。

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そして、コレクションの出発点となったのは、身体に最も近いところにあるアンダーウェア。レースで縁取られたブラやボクサーショーツ、スリップ、キャミソールといった、本来なら服の下に隠されるアイテムが堂々と表へと姿を現した。

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繊細なブラをテーラードベストからのぞかせたり、ボクサーショーツにロングコートを重ねたり、軽やかなスリップドレスに構築的なアイテムを合わせたり。“見せる”と“隠す”の境界を行き来しながら、アンダーウエアとアウターウエア、マスキュリンとフェミニンという既存の区分を軽やかに飛び越えていく。

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素材や色の組み合わせも自由だ。シルクとアニマルプリント、レースや刺しゅう、光沢のある素材とマットな質感。ブラックを軸にしながら、パウダリーなピンクやイエロー、グリーンなど柔らかな色彩が加わり、前シーズンよりも軽やかでプレイフルなムードが漂う。ドレッシングガウンは街へと連れ出され、流れるようなドレスにはパンキッシュなチョーカーが重ねられた。足元にはジュエリーのようにきらめくシューズ、手にはさまざまな表情の“バゲット”バッグが添えられた。

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鏡の中でモデルと観客の姿が重なり合ったように、今季の「フェンディ」では、相反すると思われてきたものが次々と交差していく。下着とアウター、男性性と女性性、見せることと隠すこと、強さともろさ。その境界を取り払った先に浮かび上がったのは、自分の身体をどう見せるかを自分自身で選ぶ自由だった。カッラがかつて身体と装いを通して示したその精神を、キウリは現代のワードローブへ。身体から始まったコレクションは、服をまとうこと、自分らしくあることの自由を鮮やかに映し出していた。

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※ここに掲載されているレザーアイテムは、ELLEのポリシーに基づいています。

Hearst Owned



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