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「あの財布、給料日の私より厚い」小学生の財布に並ぶ1万円札を見て、働く私が切なくなった瞬間

  • 2026.10.10

夕方の玄関に出てきた、留守番の男の子

10年ほど前、私は新聞の配達と集金の仕事をしていました。

担当していたのは、ほかの新聞より少し値段の高い新聞です。

集金先で支払いに困ることは、めったにありませんでした。

ある日の夕方、大きな一軒家のインターホンを押すと、返ってきたのは子どもの声でした。

少しして玄関の扉が開き、小学3年生か4年生くらいの男の子が顔を出しました。

「今、僕しかいないんです」

それを聞いて、私は今日は出直そうと思いました。子どもにお金の話をしても困らせるだけです。

「新聞の集金で来ました」

「いくらですか?」

男の子がまじめな顔で聞いてきます。

私は玄関の外で少しかがみ、目線を合わせました。

「月5000円の集金です。お家の人が帰ったら伝えてね」

そう言って立ち上がろうとすると、男の子は首を横に振りました。

「ううん、僕が払います。ちょっと待っててください」

「えっ、5000円だよ?大丈夫?」

私が聞き返したときには、男の子はもう家の奥へ走っていました。

子ども用の財布を開いて、思わず息をのんだ

ほどなく戻ってきた男の子の手には、マジックテープ式の子ども用の財布がありました。

べりべり、と音を立てて財布が開いた瞬間、私は思わず中を見てしまいました。

そこには、1万円札が何枚も重なっていたのです。

男の子は何でもないことのように、その横から5000円札を1枚取り出しました。

「はい、ちょうどです」

「…ありがとう。領収書、書くね」

私は少し戸惑いながらも5000円を受け取り、玄関先で領収書を書きました。

そのとき、集金かばんの横に入れてある自分の財布が頭に浮かびました。

その日の朝に見たとき、入っていたのは千円札2枚と小銭だけ。

集金かばんに入っているお金は、もちろん会社のものです。

領収書を渡してから、私は改めて頭を下げました。

「ありがとう。お家の人にもよろしくね」

「はーい」

門の外に止めていた自転車にまたがり、走り出してから、私は小さくつぶやきました。

「あの財布、給料日の私の財布より厚かったな…」

あの日の分厚い財布を思い出すたび、自分の財布の中身と比べて、なんともいえない気持ちになったものです。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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