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「今日のは自信作だからね」張り切って土鍋を運んだ母。だが、ふたを開けた瞬間に家族が笑った理由

  • 2026.10.10
「今日のは自信作だからね」張り切って土鍋を運んだ母。だが、ふたを開けた瞬間に家族が笑った理由

台所から聞こえた、母の得意げな声

数年前の冬、私がまだ実家で暮らしていたころの話です。

その日は朝から冷えこみ、夕方になると台所からだしの香りが漂ってきました。60代の母が、昼すぎからおでんを作っていたのです。

夜7時になると、食卓には私と父、それに20代の弟が座って母を待っていました。

いつもなら母が台所で器によそって運んでくるのですが、その日は少し様子が違います。

「今日のは自信作だからね。ふたは、みんなの前で開けるから」

父が笑いながら、「ずいぶんもったいぶるな」と言うと、母はすぐに返しました。

「まあ、見ててよ」

母は食卓に出す少し前、仕上げにはんぺんを加えていました。小さめだったため切らずにそのまま入れ、ふたをして温めていたそうです。ただ、ほかの準備をしているうちに、少し火を入れすぎてしまったようでした。

やがて母は、大きな土鍋を両手の鍋つかみで抱えて食卓へ運んできます。

「おでん、みんなでつつけるように鍋ごと出すね」

ふたを開けると、予想以上にふっくら

母は食卓の真ん中に土鍋を置くと、鍋つかみをしたままふたに手をかけました。

「じゃーん」

ふたを開けた瞬間、湯気の向こうに白いはんぺんが現れました。

入れたときよりもずいぶんふっくらと膨らみ、ほかのおでん種の上に重なるように浮かんでいます。

「え、こんなに膨らむの?」

私が思わず声を上げると、弟も鍋をのぞきこみました。

「さっきより、かなり大きくなってない?」

父も笑いながら、「ずいぶん立派になったな」と言います。

ところが、一番驚いていたのは母でした。

ふたを持ったまま、しばらくはんぺんを見つめています。

「入れたときは、もっと小さかったのに…」

さっきまで自信満々だった母が、本気で不思議そうな顔をしているのがおかしくて、私は吹き出してしまいました。弟も笑い出し、父まで肩を揺らしています。

「ちょっと、そんなに笑わなくてもいいでしょ」

母はそう言いながらも、最後には自分でもおかしくなったのか、一緒になって笑っていました。

膨らんだはんぺんは、家族4人で分けて食べました。見た目には驚きましたが、ふわふわで味はとてもおいしかったです。

それから実家では、おでんの日になると、誰かが決まって台所へ聞くようになりました。

「はんぺん、入れすぎてない?」

結婚して家を出た今も、自分でおでんを作るときには、はんぺんを入れてから少し気にするようになりました。そして、ふたを開けるたびに、あの日の母の驚いた顔を思い出してしまいます。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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