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「袋は買わなくていいのよ」山盛りのカゴ2つを前に自信満々の母。だが、エコバッグから出てきたものに赤面

  • 2026.10.9
「袋は買わなくていいのよ」山盛りのカゴ2つを前に自信満々の母。だが、エコバッグから出てきたものに赤面

山盛りのカゴを抱えて、休日のレジへ

休日の昼、40代の私は、70代の母に付き合ってスーパーへ出かけました。

母はまとめ買いが好きで、特売の札を見つけるたびに商品をカゴへ入れていきます。

「これも安いわね。多めに買っておきましょう」

レジへ向かうころには、2つのカゴがどちらも山盛りになっていました。

私が1つを持ち、母がもう1つを抱えて、混み合うレジの列に並びます。後ろにも次々とお客さんが続いていました。

すると母は、肩にかけていた布のエコバッグをぽんとたたきました。

口が広く、底にマチのあるお気に入りのバッグです。

「袋は買わなくていいのよ。これ、大きいから全部入るの」

「本当に?カゴ2つもあるよ」

「大丈夫よ。この前も入ったんだから」

やがて私たちの番になり、レジにいた若い女性の店員さんが声をかけました。

「次の方、どうぞ」

母は私のカゴも受け取り、2つ並べてレジ台へ置きました。

それから肩のエコバッグを外し、得意げに差し出します。

「カゴ2つ分、このエコバッグに詰めてください」

バッグを開いた店員さんの手が止まった

「かしこまりました」

店員さんはバッグを受け取り、口を大きく広げました。

そして中に手を入れた瞬間、ふっと動きが止まったのです。

ゆっくり引き抜かれた手に握られていたのは、黒い折りたたみ傘でした。

さらに出てきたのは、ふたの閉まったプラスチックの保存容器です。前の晩の夕飯の残りを入れ、父のお弁当に使ったものでした。

店員さんは傘と容器を手にしたまま、困ったように母を見ています。

母も一瞬きょとんとしていましたが、すぐに顔を赤くしました。

「あっ、やだ。それ、お父さんの鞄から出したのよ」

週に何日か勤めに出ている父が、前日に持ち帰ったものでした。

母の話では、父の鞄から傘と容器を出したところでやかんが鳴り、とりあえず手近にあったエコバッグへ入れ、そのまま忘れてしまったそうです。

後ろの列から、こらえきれないような笑い声が広がりました。

店員さんも少し口元をゆるめながら、会計を続けています。

「すみません。それ、こっちでもらいます」

私も笑いをこらえながら母の肩越しに手を伸ばし、傘と容器を受け取りました。

それから母がレジ前でするようになったこと

帰り道、買った物でふくらんだエコバッグを提げながら、母は自分から笑い出しました。

「お父さんの傘、スーパーでお披露目しちゃったわね」

さっきまで真っ赤になっていたのに、もう笑い話にしている母を見て、私もつられて笑ってしまいました。

それ以来、母はレジに並ぶ前に、必ずエコバッグの中をのぞくようになりました。

先週も列へ向かう手前で一度立ち止まり、中を確認してから私の顔を見ます。

「今日は、空っぽよ」

その得意げな顔を見るたび、私はあの日レジから出てきた黒い傘を思い出してしまいます。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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