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「これ、日付合ってる?」に「合ってるよ。間違えてない」とだけ返した俺→1日早い誕生日に込めたこと

  • 2026.10.6
ハウコレ

予約画面で日付を1日戻したのは、2か月前のことです。間違えたと思われても、去年の言葉を覚えていたと自分から言うよりは、楽だったのです。

送信ボタンを押す前に、「1日早いけど」の1文を消しました。彼女の誕生日が18日だと、俺は2年前から知っています。それでも今年は、17日に「おめでとう」を送ると決めていました。

去年の誕生日、彼女がこぼした一言

きっかけは去年です。当日、店で向かい合っていた彼女のスマホは、通知が止まりませんでした。料理が来るたびに画面を伏せ、俺が席を外すと返信を打っている。せっかく2人で来たのに、彼女の目は半分以上、画面に向いていました。帰り道、彼女は「当日って、返信だけで終わっちゃうんだよね。祝われるなら前の日がいい」と言いました。軽い調子だったので、俺も笑って聞き流したふりをしました。ふり、というのは、その言葉をメモアプリに書き留めていたからです。本音を言えば、俺の方が、誰にも邪魔されずに2人だけで彼女を祝いたかったのです。

2か月前に押した予約ボタン

店は、彼女が「いつか行きたい」と言っていたイタリアンでした。予約画面で日付を選ぶ時、18日を一度押してから、17日に戻しました。通知に追われていない彼女と、ゆっくり向かい合って過ごしたい。そう思って選んだ日でした。確認メールが届いた画面をその日のうちに転送しようとして、やめています。理由を説明するには、去年の言葉を覚えていたと言わなければならない。それを自分から言うのが、どうにも恥ずかしかったのです。17日に送った「誕生日おめでとう。今日、仕事終わったら駅で待ってて」にも、日付のことは一言も書きませんでした。「予約してあるから、店はこれ」と確認画面を転送したあと、しばらくして届いたのは「これ、日付合ってる?」。「合ってるよ。間違えてない」とだけ返します。本当は続きを打っていました。打っては消して、結局そのままにしました。返ってきた「わかった。行く」を、何度か読み返しています。

改札の前で、聞かれなかった理由

改札から出てきた彼女は、こちらを見つけると足を早めました。紙袋を差し出すと、「ありがとう」と受け取ってくれました。店までの道で、彼女は何度か口を開きかけては、信号の方を見ています。俺の方から言えばよかった。分かっていて、料理の話ばかり振ってしまいました。日付を間違えた人だと思われている方が、覚えていたと打ち明けるよりも、まだ楽だったのです。それでも席に着いてからの彼女は、一度もスマホを取り出しませんでした。俺が欲しかったのは、その時間でした。

そして...

18日、俺は「おめでとう」を送りませんでした。彼女のスマホが通知で埋まるのは、去年見ています。その山の中に、俺の言葉まで混ぜたくなかった。俺にとっての誕生日は17日で、もう祝い終わっている。おめでとうは、あの店でもう言ったつもりでした。代わりに、店で撮った2人の写真を1枚だけ送りました。既読が付いたのは、通知が落ち着いたころだったのだと思います。それ以上の返事は、その日のうちには来ませんでした。

(20代男性・販売職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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