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「化粧、濃くない?」と言った彼の前に、すっぴんで立ってみた私の話

  • 2026.10.2
ハウコレ

定食屋で「これで満足?」と聞いた私に、彼は箸を置いてから別の言葉を返しました。あの日のカフェでの一言とは違う、聞きたくなかった言葉でした。

玄関の鏡に映っていたのは、眉も引いていない、いつもよりみすぼらしく見える自分の顔でした。ドアの向こうで、迎えに来た彼がインターホンを鳴らしています。先週の彼の一言に、私はこの顔で答えるつもりでした。

「化粧、濃くない?」の一言

付き合って1年になる彼と、いつものカフェにいたときのことです。届いたラテに口をつける前に、彼が私の顔をじっと見て言いました。

「化粧、濃くない?」

「濃いのが好きなの」

そう返すと、彼は「そっか」とだけ言って、カップに視線を落としました。残りのラテを飲み干すまで、ストローの先ばかり見ていました。

私のメイクは、私のためのもの

帰ってから、洗面台の前で鏡を見ました。奥二重の目、薄い眉、頬の赤み。自分の顔を好きだと思えたことは、一度もありません。ポーチは年々重くなり、店のガラスに映るたびにまぶたの線を指で確かめる癖までついています。

仕上げた後の顔を濃いと言われるのは、努力ごと否定された気がしました。彼のためにしているわけじゃない。それなら、彼が望むらしい顔で出かけてやろうと決めました。

すっぴんで出てきた私を見て、彼は何も言わなかった

次の週末、ドアを開けた私の顔を、彼はほんの少しの間だけ見ていました。

「行こっか」

駅までの道で、彼が横目でこちらを見るのが2回。がっかりしたのだと思いました。

定食屋で向かい合ってから、私は箸袋を折りながら聞きました。

「これで満足?」

彼は箸を置きました。

「満足とかじゃないよ」

「俺、この顔のほうがずっと好きだよ」

「私のメイクは、私のためにしてるの」

自分の声が大きくなっていました。

「わかってる。でも、鏡の前にいるときの顔が、最近ずっとしんどそうだったから」

箸袋を置いて、彼の顔を見ました。

そして...

濃いと言った彼と、この顔が好きだと言った彼は、同じ人です。私の努力を軽く見たのか、それとも別の何かを見ていたのか。家に戻り、ポーチを開ける前に、鏡の中の顔をいつもより長く見ていた自分に気づいて、そのまま蛇口をひねりました。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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