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毎月同じ会場に通っていた私が、友人の番号が呼ばれた日に失ったもの

  • 2026.10.3
ハウコレ

読み上げられたのは、隣で聞き役だったはずの友人の番号でした。ロビーでスタッフに会釈された瞬間、今年ずっと守ってきた嘘が、友人の目の前でほどけました。

「モテる」で隠してきた毎月

20代の頃、飲み会で連絡先を聞かれるのは決まって私でした。34になった今年、2つ下の妹が先に式を挙げ、母は私に何も聞かなくなりました。誰にも言わずに婚活パーティーに通い始めたのは、それからです。最後に配られる用紙に自分の番号が書かれたことは、一度もありません。

カフェで友人から来月申し込んだと聞いた時、考えるより先に口が動いていました。

「私はモテるから婚活しない」

笑いながら言った自分のことが、一番よく分かっていました。10年つきあってきた友人に下から見られることだけは、受け入れられませんでした。

壁際で数えていたもの

受付で先に見つけたので、フリータイムの間は壁際のドリンクテーブルから離れないと決めました。近づかなければ、友人が私に気づかずに済む。そう言い聞かせながら、席を移るたびに目で追ってしまいます。

友人は男性と向かい合って、笑っていました。それを見た瞬間、ある気持ちが湧いてきました。あの席にいるはずだったのは私のほうだという、身勝手な感情です。誰にも話しかけられないまま、グラスの氷だけが小さくなっていきました。

呼ばれなかった番号

読み上げられた番号は、友人のものでした。私の番号は今回も呼ばれません。

ロビーの柱のそばでコートを腕にかけ、床を見ていたのは、顔を上げたら先に言い訳が出てきそうだったからです。友人が出てくるのと同時に、顔なじみのスタッフが私に会釈をしました。

「今日もありがとうございました。また来月ですね」

小さくうなずきました。友人がこちらを見ています。

「言えなかった」

友人は何も言わずに、先に回転扉を押して出ていきました。隠したかったのは通っていたことではなく、通っても選ばれない私のほうです。

そして...

翌日、下書きを何度も消したあと、一行だけ送りました。

「来月、隣に立ってていい?」

返ってきたのも一行でした。

「モテるんでしょ、がんばってね」

先月、自分が使った言葉がそのまま戻ってきました。画面を見たまま、次の文を打っています。私はモテない。それを最初に言うべき相手が誰だったのか、遅れて分かりました。

(30代女性・販売職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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