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牡蠣の収獲は1〜6月に7割超 2017年以降毎年

  • 2026.10.1

養殖かきの収獲量のうち1〜6月の分は、2017〜2025年の9年とも7割を超えていました。家庭の購入量は11〜3月に集中し、都市別では広島市が1位。2025年7〜12月の収獲は前年同期より約9,700t少なく、減った分の大半は広島・岡山・兵庫の3県でした。農林水産省・総務省の統計で数えました。

これから冬にかけて、牡蠣(かき)を買う家庭が増えていく時期です。農林水産省は、養殖のかきの収獲量を半年ごとに調べています。国の統計では、施設で海水を使って水産動植物を育て、収獲する事業を海面養殖業としていて、養殖でとれた量を「収獲量」、漁でとった量を「漁獲量」と分けて書きます。その数字と、総務省の家計調査の月別の購入量を並べると、海から揚がる時期と家庭で買う時期のそれぞれの山が見えてきます。
この記事で扱う内容です。
・収獲量の半年ごとの内訳(2017〜2025年)
・家庭で牡蠣を買う月と、よく買う都市
・2025年7〜12月の収獲量と地域
・1956年からの収獲量の移り変わり
・売り場の「生食用」「加熱用」の表示
割合や差の数字は、国の統計の値をもとに編集部で計算しています。

養殖かきの収獲は1〜6月に偏る 2017〜2025年の9年とも7割超

農林水産省の「漁業・養殖業生産統計」は、かき類の養殖の収獲量を、1〜6月と7〜12月の半年ごとに集計しています。重さは殻付きの重さです。各年の表から、その年の1〜6月と7〜12月の収獲量を書き出しました。
・2017年 1〜6月 128,820t・7〜12月 45,080t(1〜6月が74.1%)
・2018年 1〜6月 130,712t・7〜12月 45,985t(1〜6月が74.0%)
・2019年 1〜6月 122,420t・7〜12月 39,226t(1〜6月が75.7%)
・2020年 1〜6月 118,413t・7〜12月 40,605t(1〜6月が74.5%)
・2021年 1〜6月 118,930t・7〜12月 39,859t(1〜6月が74.9%)
・2022年 1〜6月 128,631t・7〜12月 36,959t(1〜6月が77.7%)
・2023年 1〜6月 115,089t・7〜12月 33,975t(1〜6月が77.2%)
・2024年 1〜6月 117,439t・7〜12月 30,709t(1〜6月が79.3%)
・2025年(概数) 1〜6月 113,400t・7〜12月 21,000t(1〜6月が84.4%)
9年とも、1年の収獲量のうち1〜6月の分が7割を超えています。最も低い2018年でも74.0%で、9年を合計すると76.6%です。
統計は半年単位のため、1〜3月と4〜6月のどちらに多いかまではわかりません。
※2025年の値は100t単位の概数です(確報は2027年2月の予定)。

出典 www.maff.go.jp

冬をまたぐ1シーズンで数える「養殖年」

同じ統計には、7月から翌年6月までを1つにまとめた「養殖年」の集計もあります。2024年7月〜2025年6月のシーズンは14万4,100t(概数)で、そのうち2025年1〜6月の分が78.7%でした。1シーズンで見ても、7〜12月より年が明けた1〜6月のほうが収獲量の多い形です。

家庭の購入は11〜3月に集中 3年分を合わせると84.0%

総務省の「家計調査」(二人以上の世帯)で、1世帯あたりの「かき(貝)」の購入量を月ごとに見ました。2023〜2025年の3年分を月ごとに合計した値です。
(10〜4月を抜粋。5〜9月は各月14〜26g)
・10月 34g
・11月 122g
・12月 252g(最多)
・1月 188g
・2月 185g
・3月 123g
・4月 35g
3年分の合計1,036gのうち、11〜3月の5か月が84.0%、4〜10月の7か月は16.0%でした。年ごとに見ると、11〜3月の割合は2023年88.8%・2024年84.1%・2025年77.9%です。
最も多い月は、2023年と2024年は12月、2025年は2月でした。12月に牡蠣を買った世帯の割合は、2023年16.8%・2024年17.1%・2025年13.1%です。
※家計調査の貝類の数量は、殻付き・むき身・ゆでたもの・蒸したものを含みます。殻付きの重さで数える収獲量とは物差しが違うため、量どうしは比べていません。値は二人以上の世帯の平均で、単身の世帯は入っていません。

都市別の購入量は広島市が1位 収獲量の多い4県の県庁所在市はすべて10位以内

総務省統計局は、県庁所在市と政令指定都市の52都市について、品目ごとの購入量の3年平均(今回は2023〜2025年)を順位にして公表しています。かき(貝)の1年の購入量の上位は次のとおりです。
・1位 広島市 1,051g
・2位 奈良市 732g
・3位 高松市 545g
・4位 津市 520g
・5位 札幌市 468g
・6位 岡山市 465g
・7位 堺市 458g
・8位 仙台市 442g
・9位 大津市 434g
・10位 神戸市 432g
・全国平均 347g
2024年の収獲量が多い4県(広島県・宮城県・岡山県・兵庫県)の県庁所在市は、広島市1位・岡山市6位・仙台市8位・神戸市10位と、いずれも上位10市に入っています。一方で、52位は福岡市(111g)でした。

出典 www.stat.go.jp

2025年7〜12月の収獲は21,000t 前年同期より約9,700t少ない

2025年7〜12月の収獲量は21,000t(概数)で、前年同期の30,709tより約9,700t少なく、2017年以降の9年で最も少ない量でした。主な道県の7〜12月の収獲量を、前年同期と並べます。
・広島県 13,579t → 6,700t
・宮城県 5,905t → 7,200t
・岡山県 2,942t → 600t
・兵庫県 1,450t → 400t
・岩手県 1,977t → 1,800t
・北海道 2,324t → 1,400t
広島県は前年同期の半分以下で、岡山県・兵庫県も減りました。広島・岡山・兵庫の3県の合計は17,971tから7,700tへ減り、3県以外の合計は12,738tから13,300tでした。3県の減少分(約10,300t)は、全国の減少分を上回っています。
水産庁は、2025年(令和7年)10月以降に瀬戸内海で発生している養殖カキの大量へい死について、状況を公表しています。各県からの聞き取りをまとめた資料(2026年7月6日時点)には「瀬戸内海の各県において、多いところで7~9割のへい死が発生している」とあり、平時のへい死の割合は一般に3〜5割とされています。広島県も、かきへい死被害に対する支援策の一覧を公表しています。ただし、収獲量の統計はへい死の影響を分けて集計しておらず、上の減少とへい死の関係はこの統計からはわかりません。また、7〜12月には、水産庁が発生の時期とする10月より前の7〜9月も含まれます。
※2025年の値は概数(100t単位)です。2025年1年(暦年)の収獲量は13万4,400tで、前年より約13,700t少なくなりました。

出典 www.maff.go.jp

収獲量の最多は1988年の27万858t 2024年は広島県が6割超

農林水産省の長期の統計(1956年から)で、全国のかき類の収獲量(殻付き)を10年ごとに拾いました。
・1960年 182,778t
・1970年 190,799t
・1980年 261,323t
・1988年 270,858t(1956年以降で最多)
・2000年 221,252t
・2010年 200,298t
・2020年 159,019t
・2024年 148,149t
・2025年(概数) 134,400t
2025年の13万4,400tは、統計のある1956年以降で1956年(114,386t)に次ぐ少なさです。水産庁の資料「カキ養殖をめぐる情勢について」(2025年11月)にも、「生産量は、1988年の27万トンをピークに減少傾向にあり」と書かれています。

2024年の収獲量148,149tのうち、広島県は94,290tで63.6%を占めます。続いて宮城県15,190t、岡山県14,671t、兵庫県7,348tでした。
※2011年(165,910t)は、東日本大震災の影響で岩手県・宮城県・福島県のデータの一部が失われ、その分を含まない数値です。

よくある質問

売り場の「生食用」と「加熱用」は何が違うのですか

食品表示基準では、生かきには「生食用であるかないかの別」を表示することになっていて、「生食用以外のかきについては、「加熱調理用」、「加熱加工用」、「加熱用」等加熱しなければならないことを明確に表示する」と定められています。生食用のものには、「採取された水域」も表示されます。
加熱して食べるときの温度と時間の目安は、ノロウイルスの記事で厚生労働省の資料をもとにまとめています(関連記事から)。

統計の「かき類」に岩がきは入っていますか

入っています。漁業・養殖業生産統計の分類の定義では、「かき類」は「まがき、いたぼがき、すみのえがき、いわがき」(いたぼがき科)とされています。この記事の収獲量は、これらを合わせた養殖の量です(この記事で使った統計表では、種類ごとには分かれていません)。

まとめ 収獲は1〜6月、家庭の購入は11〜3月が中心

牡蠣の季節を、収獲と購入の統計でおさらいします。
・養殖かきの収獲量は、2017〜2025年の9年とも1〜6月の分が7割超(9年の合計で76.6%)
・家庭の購入量は11〜3月に集中(2023〜2025年の合計で84.0%)
・都市別では広島市が1,051gで1位。収獲の多い4県の県庁所在市はすべて上位10市
・2025年7〜12月の収獲は21,000t(概数)。減った分の多くは広島・岡山・兵庫の3県
・収獲量の最多は1988年。2025年は1956年に次ぐ少なさ
これから年明けにかけて、売り場で産地や「生食用」「加熱用」の表示を見比べるときの目安にしてください。

※数字の出どころ:収獲量=農林水産省「漁業・養殖業生産統計」(2017〜2024年は確報、2025年は「令和7年漁業・養殖業生産統計(概数値)」)と同統計の長期累年/購入量=総務省「家計調査」(二人以上の世帯)と都市別ランキング。割合・差・順位の読み取りは編集部によるものです(2026年10月1日時点)。

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