1. トップ
  2. エピソード
  3. 「私はモテるから婚活しない」と言った友人が、会場で私を見た理由

「私はモテるから婚活しない」と言った友人が、会場で私を見た理由

  • 2026.10.2
ハウコレ

ドリンクテーブルの前に、見覚えのある横顔がありました。胸元には、私と同じ番号札。名前を呼びかけようとして、先月のカフェで見た笑顔が先に浮かんできました。

先月のカフェで返ってきた一言

学生時代からの友人と、月に1度会う関係が10年続いています。同期の結婚報告が続き、実家に帰るたびに母から同じ質問をされる。33になった今年、初めて婚活パーティーに申し込みました。

その日、注文したものが揃ったところで、来月のパーティーに申し込んだと伝えました。友人はストローで氷を回しながら、笑って言いました。

「私はモテるから婚活しない」

20代の頃、飲み会で連絡先を聞かれるのは決まって友人のほうでした。隣で笑ってやり過ごしてきた自分を、また同じ席に座らせられた気がします。

壁際から飛んでくる視線

会場はホテルの宴会場で、番号順に席を回って自己紹介をする形式でした。フリータイムに入ってすぐ、壁際にいるその人に気づいたのです。

目が合うと、友人は手元のグラスに視線を落としました。それでも席を移るたびに、同じ方向から目が向けられているのが分かります。誰かと話している様子はなく、グラスは減っていません。

私が同じ職種だという男性と仕事の話で盛り上がっている間も、視線の気配は消えませんでした。先月の笑顔を思い出すたび、見せつけたい気持ちが、確かにありました。

呼ばれた番号と、呼ばれなかった番号

カップリングの発表で読み上げられたのは、私と、あの男性の番号でした。友人の番号は呼ばれませんでした。

連絡先を交換してロビーに出ると、柱のそばに友人が立っていました。コートを腕にかけ、床に目を落としています。声をかける前に、片づけに出てきたスタッフが友人に会釈をしました。

「今日もありがとうございました。また来月ですね」

友人は小さくうなずいて、私を見ました。今年に入ってから毎月この会場に通っていたのだと、そのやりとりだけで分かります。

「言えなかった」

返す代わりに、先に回転扉を押しました。振り返らずに済んだのは、鞄の中に新しい連絡先が入っていたからです。

そして...

翌日、友人からメッセージが届きました。

「来月、隣に立ってていい?」

返信は一行にしました。

「モテるんでしょ、がんばってね」

既読がついたまま、返事はありません。10年間隣で聞き役をしてきた私が、初めて先に席を立った日になりました。

(30代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ