1. トップ
  2. エピソード
  3. 告白を冗談で取り消した俺が、三日間悩んだ末にもう一度伝えたこと

告白を冗談で取り消した俺が、三日間悩んだ末にもう一度伝えたこと

  • 2026.10.2
ハウコレ

好きだと伝えてから取り消すまで、俺は十秒もかけませんでした。

それから三日間、メッセージは一通も送れませんでした。送る代わりに、彼女が帰るロビーで待つことにしました。

後半を飲み込んだ告白

飲み会の帰り、同期の彼女と駅まで歩く道で言うと決めていました。店で誰かが「今日誰か告白しろよ」と騒いでいたのは、俺には関係のない話でした。「好きなんだよね、入社したときから」まで用意していたのに、口から出たのは前半だけでした。

「好きなんだよね」

彼女が足を止めて振り返りました。その顔を見て、返事が出てこないのだとわかりました。困らせたくて言ったわけではありません。だから先に笑いました。

「ごめん、今のはノリで告白しただけ。忘れて」

「うん。わかった」

店での話を思い出させたかもしれないと気づいたのは、改札で別れたあとでした。ホームで電車を二本見送りました。

メッセージを送れなかった三日間

次の出勤日、「おはよ」と普段どおりに声をかけ、休憩は別の同期と外に出ました。駅でのことは誰にも話していません。話せば、本当に笑い話になってしまうからです。

帰るたびに、彼女の名前の通知だけを探していました。「昨日のことなんだけど」と打っては消し、「実は」まで打って、また消しました。忘れてと言ったのは俺です。それを文字で覆すのは、もう一度逃げるのと同じだと思いました。

二日目は、彼女が同期の女子と笑っているのを見て、あの話をされているのではないかと勝手に落ち込みました。三日目、送れないメッセージを全部消して、代わりに帰りのロビーで待つと決めました。

三日目のロビー

自販機で買った缶は、手が空いていると落ち着かなかっただけです。帰り支度を終えた彼女が、ロビーで俺を見て歩く速さを落としました。

「三日前の、忘れなくていい」

「罰ゲームじゃなかったの」

きつい声でした。そう受け取られる言い方をしたのは俺です。今度は目をそらさないと決めていました。

「罰ゲームは関係ない。あれ、本気だった」

彼女は自販機の方へ目を逃がしてから、鞄の持ち手を握り直しました。

「じゃあ、なんで冗談にしたの」

「困った顔してたから、逃げ道作ったつもりだった。でも三日、後悔してた」

「返事はいつでもいい。ただ、なかったことにはしないでほしい」

そして...

「わかった。なかったことには、しない」

返事はそれだけでした。俺は缶を自販機の横の箱に入れて、駅まで隣を歩きました。

三日前に十秒で取り消したものを、三日かけて元に戻しただけです。遠回りでしたが、笑いながら言った告白より、今の方がずっとましだと思っています。

(20代男性・営業職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ