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伝統を継承しながら、より自由に。ディオールの「バー」ジャケットが描く現代の女性像

  • 2026.9.28
Hearst Owned

「シルエットによって、人の印象が変わる。そして、その服を着た本人の気分や態度(アティチュード)まで変わる」。そう語るのは、パーソナルイメージディレクターの植原ほのさん。連載【自分らしく輝くための着こなしレッスン】では、日々の着こなしをブラッシュアップするためのテクニックを学んでいきます。

今回は、DIOR(ディオール)を象徴する「バー」ジャケットに注目。女性らしいフォルムと、女性を称えるクリスチャン・ディオールの精神を受け継ぎながら、現代にどのような解釈がもたらされているのでしょうか。ジョナサン・アンダーソンが提示する「バー」ジャケットの新たな姿を、植原さんが提案するファッション哲学「オクタゴン」を用いて読み解いていきます。

女性の美しさを描き出す、ディオールのアイコン「バー」ジャケットとは?

1947年、クリスチャン・ディオールは初のコレクションを発表。戦後の女性たちに新たなエレガンスを提示した「ニュールック」は、当時のモード界に大きなセンセーションを巻き起こしました。

その「ニュールック」を象徴する存在が、「バー」ジャケットです。ウエストを絞り、腰へとなだらかに広がる立体的なフォルムによって、「8」ラインや「X」ラインと呼ばれる美しいシルエットを形成。身体の曲線を際立たせる構築的な仕立てによって、ディオールが描くエレガンスを体現しました。

その後、メゾンを率いてきた歴代のクリエイティブ ディレクターたちは、「バー」ジャケットをそれぞれの視点から再解釈し、時代に合わせてアップデート。女性を称えるクリスチャン・ディオールのエスプリは、現在まで脈々と受け継がれています。

2026年春夏 コレクションから新クリエイティブ ディレクターとして就任したジョナサン・アンダーソンも、その伝統を受け継ぐひとり。ジョナサンならではの感性で再解釈された「バー」ジャケットは、デビューコレクションから最新のコレクションにもシルエットが引き継がれています。

ジョナサン・アンダーソンが再解釈する、現代の「バー」ジャケット

Adrien Dirand

ジョナサンによる2026-2027年秋冬 コレクションは、ルーブル美術館に隣接するチュイルリー公園に設けられた“庭園”で発表されました。着想源となったのは、公園という場所で過ごす人々が見せる“パフォーマンス性”。風景の一部としてそこに身を置きながら、同時に誰かから見られることを意識し、ある種の役を演じているのではないか。そんなジョナサンならではの視点が、コレクションへと落とし込まれています。

そこで描かれたのは、完璧なシルエットを見せるために静止する女性ではなく、自然の中を歩き、自由に過ごす女性たち。服から構築性を削ぎ落とし、より軽やかな佇まいへと変化させています。

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リアルな感覚をモードへと昇華してきたジョナサンらしく、現代を生きる女性の姿に重ねるようにムードを再定義。「バー」ジャケットから連想されるフォーマルで厳格なエレガンスに“動き”が加わり、クリスチャン・ディオールへの敬意を保ちながら、「バー」ジャケットをひとつの女性像から解放しています。そうして、より多くの女性の日常やさまざまなシーンに開かれた、自由で軽やかな存在へと導いているのです。

歴史的なアイコンでありながら、現代を生きる女性が自分らしく着こなせるワードローブへ。今回は、植原式「ファッション哲学(オクタゴン)」の「Silhouette」「Fabric」「Attitude」という3つの視点から、ジョナサンが提示した「バー」ジャケットの新たな可能性を探ります。

【Silhouette】伝統的なフォルムに宿る、新たな動き

(c)dior / Hearst Owned

クリスチャン・ディオールが生み出したオリジナルの「バー」ジャケット。その構築的なシルエットを想起させる一着に、ワイドでリラックスしたパンツを合わせ、ノンシャランなムードを生み出したスタイリングです。

端正なテーラリングなど、「バー」ジャケットが受け継いできたコードを随所に感じさせながらも、ジョナサンらしい再解釈が表れているのがペプラム。ウエストから身体に沿ってヒップを造形するのではなく、身体から大胆に離れ、まるで花びらが下に向かって開いていくようなフォルムへとアップデートされています。

【Fabric】柔らかな素材がもたらす、幻想的な表情

(c)dior / Hearst Owned

ホワイトの繊細なレース柄のジャケットに細身のパンツを合わせることで、縦に流れるようなフェミニニティを表現したスタイリング。伝統的なテーラリングを少しずつ解放し、「バー」ジャケットに軽やかな表情をもたらしています。

流れるようなレースの模様と柔らかな素材が、幻想的でロマンティックなムードを演出。一方で、ボトムにはすっきりとしたパンツを合わせることで、甘さだけに傾かない、現代を生きるリアルな女性像へとつなげています。「バー」ジャケットが持つ構築性をベースにしながら、より自由な表情へと広げたスタイルです。

【Attitude】全身のバランスが変える、着る人の佇まい

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ウエストの操作によって、着る人の「キャラクター」まで変化させているのがこのスタイリング。ウエストの位置を高く設定し、胸の下に近づけることで、伝統的な砂時計型のプロポーションをより短くコンパクトに。そこにミニスカートや素足を合わせることで、「バー」ジャケットから連想される成熟した女性像を、より若々しくプレイフルに、ときにガーリーなものへと導いています。

ジャケットの裾とボトムのディテールを呼応させることで、上半身の柔らかなボリュームと下半身のボリュームが響き合います。ジャケットのバリエーションを増やすのではなく、ジャケットとボトムの組み合わせによって全身のバランスを変え、着る人の印象や佇まいまで変化させる新しいシルエットのシステムをつくり上げています。

テーラードを超えた、「バー」ジャケットの新たな解釈

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さらにジョナサンは、「バー」ジャケットという概念そのものを、「テーラードジャケット」という枠から解き放つようなアプローチも見せています。

今回のコレクションでは、クロップド丈のニットカーディガンにボリュームのあるレーススカートや、スポーティな細身のパンツを組み合わせたスタイリングも登場。テーラリングの要素を削ぎ落としながらも、コンパクトな上半身とそこから広がるボリュームなど、「バー」ジャケットを思わせるジオメトリーが残されています。そのシルエットをひとつの概念として捉え直し、必ずしもジャケットである必要はないと語りかけるような、新たな解釈が提示されています。

伝統に敬意を払いながら、現代を生きる女性のリアルなライフスタイルに寄り添う、新たな解釈を「バー」ジャケットに吹き込んだジョナサン。そこで鍵となるのが、トップスとボトムスの組み合わせから生まれる全身のバランスです。

時代とともに解釈の幅を広げ、より自由なワードローブへと進化する「バー」ジャケット。その着こなしから、自分らしいスタイルを見つけてみてはいかがでしょうか。

スタイルを決定づける8つの要素 「Fashion Octagon」 とは?

まず、植原さんが提案する“ファッション哲学”では、オシャレを完成させるために必要な要素は8つに分類。それが「Fashion Octagon(ファッション オクタゴン)」という方程式です。

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  1. Silhouette(シルエット):全体のシェイプバランス
  2. Color(カラー):カラーチョイスのテクニック
  3. Layer(レイヤー):重ね着や重ね付けなどのテクニック
  4. Fabric(ファブリック):生地選びや生地合わせの効果
  5. Attitude(アティテュード):その人自身が放つムード
  6. Accessory(アクセサリー):靴やバッグ、ジュエリーなど小物使い
  7. Contrast(コントラスト):メリハリをつけるテクニック
  8. Exposure(エクスポージャー):肌見せなど露出加減の効果

問い合わせ先
クリスチャン ディオール
TEL/0120-02-1947
URL/www.dior.com/ja_jp/fashion

TEXT:NANA SUZUKI

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