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フランス・パリで目覚ましい活躍を続ける日本人建築家たち

  • 2026.9.27
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※2018年初出『リシェス』No.26に掲載されたアーカイブ記事を再編集して公開します。

日本文化に対して、繊細で深い理解を示すフランスの人々。彼らが注目しているのが日本の建築です。木を多用する日本の伝統建築と、明治以来、ヨーロッパから学んだ多彩な技術を融合させ、独自の美しさへと進化させてきました。パリで花開く日本人建築家たちと、その作品を紹介します。

大胆なデザインでパリを魅了する日本人建築家たち

(C) Michel Denance

建築における日本とフランスの関わりは戦前にパリに渡り、ル・コルビュジエのもとに弟子入りした前川國男や坂倉準三によって、より密接なものになったといえます。彼らはそれまでの装飾の多い建築に代わって、シンプルで機能的な建築を打ち出したル・コルビュジエから多くのものを学びました。

その後、パリには丹下健三や黒川紀章が日本人として初めて恒久的な建物を設計します。近年では日本人建築家の人気はますます上昇し、若手からベテランまで、ここに紹介したような多彩な顔ぶれによる建築を見ることができます。パリ以外にも「ルーヴル=ランス」(SANAA)や「ポンピドゥー・メッス」(坂 茂)など、個性的なビッグ・プロジェクトが多くの人々を魅了しています。

これまでにもフランスでは19世紀のジャポニスムなど、日本文化に大きな関心を寄せてきました。21世紀になって特に日本の建築家に注目が集まるようになったのは、その大胆なデザインが理由のひとつでしょう。大きくカーブした壁が特徴のSANAAの集合住宅は、これまでの直線や円による幾何学に留まらない、しなやかな曲線でできています。ヨーロッパの伝統的な石の建築とは対照的な軽やかさや透明さも魅力です。SANAAの「サマリテーヌ」のように波打つようなガラスで外壁を覆ったり、隈 研吾の「1 Hotel」のように細かく割った木を使うといった、素材の独特な扱いも高く評価されています。

続いては、3人の建築家たちによるプロジェクトをご紹介します。フランスでは作者の個性をリスペクトしながらも自国の長い歴史と伝統によって、この国でしかなし得ない美と哲学を生み出してきました。田根 剛さんが指摘した、歴史と現代のものとの間に生まれる緊張感が表れています。

【坂 茂】セーヌ川に浮かぶ船のような音楽ホール「ラ・セーヌ・ミュジカル」

帆のように見えるのは太陽光パネル。太陽の向きに合わせて移動します。 Bruno de Hogues/Gamma-Rapho via Getty Images

2017年にセーヌ川の中州、セガン島に誕生した「ラ・セーヌ・ミュジカル」は坂 茂さんの設計。紙管という、一見弱そうな素材を建築に使うことで注目される建築家です。紙管と布による避難所の間仕切りなど、災害支援活動でも知られています。

「ラ・セーヌ・ミュジカル」は大小のホールと音楽学校などがある大規模な音楽複合施設。日の光を浴びて輝くドームを載せた建物は、セーヌ川に浮かぶ帆船のよう。市民が自由に散策できる屋上庭園や、演奏風景などを映し出す巨大な液晶スクリーンを外の広場に設置するなど、開かれた施設として親しまれています。

【隈 研吾】細やかな木の表情で人々を引きつける「1 Hotel」&「アルベール・カーン美術館」

(c) Filippo Bolognese 2024

建設中の、「1 Hotel」と「Tree House」の2つのホテルが入る施設。細い木が温かい表情です。

(C) Michel Denance

2022年にリニューアルオープンした、ブローニュの森の南にある「アルベール・カーン美術館」。100年前に世界を旅して写真や映像を残した、フランスの実業家の美術館です。アルミと木のスクリーンが光を和らげます。

(C) Michel Denance

【SANAA】透明感と浮遊感ある柔らかい建築「ラ・サマリテーヌ」&パリ16区の公営集合住宅

(c) SANAA

2021年にリニューアルした老舗百貨店「ラ・サマリテーヌ」。歴史建物の保存改修と現代の新築部分が共存します。新築部分はカーブしたガラスで覆われ、パリの街並を映し出します。

(c) SANAA

2018年末に完成した、パリ16区の公営集合住宅。柔らかい曲線の外壁でできた建物。部屋ごとに窓から見える景色が少しずつ変わっていきます。

初出:リシェスNo.26 2018年11月28日発売

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