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大人になればちゃんとできると思っていた…そんな著者が30代になって見つけた、自分を肯定しながら人生を楽しむ方法【書評】

  • 2026.9.21

【漫画】本編を読む

『30代になった私は今日もなんとかやっている。』(しっとり/オーバーラップ)は、「大人になったら、もっとちゃんとできると思っていた」という理想と現実のギャップに悩みながらも、自分なりの人生の楽しみ方を見つけていく日々を描いたコミックエッセイである。

著者・しっとり氏は、子どもの頃から「この世の中にうまく溶け込めていない」という感覚を抱えていた。大人になればもっとちゃんとできるようになると思っていたものの、現実はそう簡単ではなく、むしろ年齢を重ねるにつれて「ポンコツさに磨きがかかって」しまったという。社会人になってからは同期や先輩の名前を覚えるのが苦手だし、注意力散漫で、朝も起きられない。それでも、普通の会社員として擬態を続ける日々を過ごしていたことが描かれる。

しかし本作が面白いのは、そんな自分を「直さなければいけない」と追い込んでいく物語ではないところだ。若い頃はどうしても、世間が思い描く「ちゃんとした大人」の型に自分を当てはめようとしてしまう。仕事も人間関係もそつなくこなし、周囲とうまく付き合い、年齢相応に振る舞う。しかし、それができない自分を責め続けていると、いつの間にか自分自身が何を好きで、どう生きたいのかさえわからなくなってしまう。

30代になったしっとり氏が気づいていくのは、ただ自分がダメだったのではなく、これまで自分自身のことをよく知らなかったのかもしれない、ということだった。自分の得意なことや苦手なことはもちろん、自分なりの人生の楽しみ方が年齢を重ねてわかってきたことで、これまでネガティブに思っていたことを別の角度から見ることができるようになる。

誰もが何歳になっても失敗するし、思い描いていた「立派な大人」にはなれていないかもしれない。それでも、しっとり氏のように自分のことを少しずつでも理解していくことができれば、「こんな自分でも案外悪くない」と思え、前向きな気持ちになれるだろう。

文=小柳テム

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