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仕事をしていない新入社員を探したら給湯室で料理をしていた!? 手作りごはんを通して距離を縮めていく、上司と部下の不思議な関係【書評】

  • 2026.9.21

【漫画】本編を読む

『シオミくんの給湯室ごはん』(洋々パニ/秋田書店)は、会社の給湯室で料理をする変わった新入社員と、彼を見守る上司が、料理を通して少しずつ距離を縮めていくグルメ漫画。忙しい仕事の合間に作られる温かい料理と、正反対な性格のふたりが繰り広げるやり取りに、心もお腹も満たされる作品だ。

営業部で働く佐東のもとに、ある日「新入社員が仕事をしていない」という報告が入る。その新入社員とは、デザイン部に配属された塩実だ。様子を見に行った佐東が目にしたのは、仕事をサボっている姿ではなく、給湯室で黙々と料理を作っている姿だった。実は塩実は、休憩時間に料理をしないと仕事がはかどらないというかなり変わった人物だった。こうして、給湯室を舞台にしたふたりの不思議な交流が始まっていく。

本作の見どころはやはり、オフィスの給湯室という設備的に限られた場所から、おいしそうな料理が次々と生まれることだ。仕事の合間に手際よく料理を作り、出来上がったものを一緒に食べる。たったそれだけの時間なのに、仕事中の張り詰めていた気持ちが緩み、自然と会話が生まれていく。忙しい時ほど簡単に済ませがちな会社での昼食を「ちゃんと食べる」ことが、自分自身をいたわる大切な時間であることを気づかせてくれる。

もうひとつの見どころが、塩実と佐東のコミュニケーションだ。最初はただの上司と部下だったふたりだが、料理を囲むことで相手の意外な一面を知り、いつしか肩書きを超えた関係が生まれていくところにも温かさを感じる。2026年8月17日発売の第3巻では、このやり取りが会社の外でも繰り広げられることに。楽しみにしていた年末の帰省が思わぬ事情でできなくなり落ち込む塩実に、佐東が「うちの実家に来ない?」と声をかけるのだ。家族を巻き込んだ休暇でふたりの関係がまたどのように変わっていくのかにも注目したい。

どれほど忙しい日でも、おいしいものを食べれば元気になれるだろう。そして誰かと一緒に食卓を囲めば、互いに思わぬ発見があることも。もちろん仕事は第一ながら、休憩時間を取ることの大切さを再認識させてくれるグルメ漫画だ。

文=ソルティ・タムラ

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