1. トップ
  2. エピソード
  3. 「宿代3万円も、うちが出してるのよ」親戚の前で胸を張る義母。隣で黙っていた夫が箸を置いて告げた一言

「宿代3万円も、うちが出してるのよ」親戚の前で胸を張る義母。隣で黙っていた夫が箸を置いて告げた一言

  • 2026.10.11

三回忌の席で、義母が話し始めたこと

義父の三回忌に出席するため、私と夫は前日に新幹線と特急を乗り継ぎ、半日かけて夫の実家の近くまで向かいました。

泊まる宿は自分たちで予約し、代金も自分たちで支払っています。

遠方からの移動は大変でしたが、義母が玄関で「遠いところ、よく来てくれたね」と迎えてくれたことがうれしく、それだけで十分でした。

翌日、法要が終わり、親戚たちと座敷で食事をしていたときのことです。

私の隣には夫、向かいには義母と親戚のおばさんたちが座っていました。

義母は昔から、親戚の前では面倒見のいい母親でいたいように見えることがありました。

「遠くから来てもらうと、お金もかかるでしょう」

親戚のおばさんがそう言うと、義母は待っていたかのように背すじを伸ばしました。

「宿代3万円も、うちが出してるのよ」

「まあ、大変ね」

おばさんたちは感心したようにうなずいています。

私は思わず義母の顔を見ました。

えっ、どういうこと?

宿を予約したのも、受付でお金を払ったのも私たちです。

昨夜受け取った領収書だって、まだ財布に入っています。

義母に宿の名前を話した覚えすらありません。

ところが、義母の話はそれだけでは終わりませんでした。

「交通費も出してあげてるの」

そう言って笑う義母に、親戚たちはまた感心した様子です。

私は隣の夫をちらりと見ました。しかし、夫は困ったように苦笑いをするだけ。

ここで違うと言えば、せっかくの法要の席が気まずくなるかもしれません。

私は何も言えず、ひざの上でぎゅっと手を握っていました。

黙っていた夫が、箸を置いた瞬間

すると、夫が私のほうを見ました。

握りしめた手に気づいたのか、夫は箸をそろえて置き、向かいの義母に声をかけました。

「母さん、ちょっと待って。宿は僕たちで予約して払ったよ。出してもらってないのに、そう言われると困るよ」

義母の表情が固まりました。

「えっ…」

「妻だって、何も言えなくなるだろ」

夫の声は穏やかでしたが、座卓を囲む親戚たちにも聞こえていました。

「あら、そうだったの?自分たちで払ったのね」

おばさんが驚いたように私を見ました。

「遠いのに、いつも大変ねえ」

私は小さくうなずきました。

義母は持っていた湯のみを置き、しばらくうつむいていました。そして、ひざの上のハンカチを折り直しながら、ぽつりと言いました。

「…ごめんなさいね」

「いえ。今年も来られて、よかったです」

それ以上、義母を責める気持ちはありませんでした。ただ、夫がきちんと事実を話してくれたことに、ほっとしました。

帰りぎわ、玄関で靴を履いていると、義母が小さな包みを私に差し出しました。

「少ないけど、お車代。いつも遠いところから、ありがとうね」

帰りの新幹線で、私はその包みをひざにのせていました。

隣に座る夫が、申し訳なさそうに口を開きました。

「さっき、すぐに言えなくてごめん」

私は首を横に振りました。

あの場で言い返せなかった私にとって、夫がきちんと訂正してくれたことが、何よりもうれしかったのです。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ