1. トップ
  2. カルチャー・教養
  3. 男性は「チョコの香り」で脚の筋トレのこなせる回数が回数が増えた — ダークが最強

男性は「チョコの香り」で脚の筋トレのこなせる回数が回数が増えた — ダークが最強

  • 2026.9.18
男性は「チョコの香り」で脚の筋トレのこなせる回数が回数が増えた -- ダークが最強
男性は「チョコの香り」で脚の筋トレのこなせる回数が回数が増えた -- ダークが最強 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

「今日は脚の日」と決めた朝ほど、ジムへ向かう足取りは重くなるものです。

マラヤ大学の研究チームが、チョコレートの香りと筋トレの関係を調べました。

筋トレ習慣のある若い男性23人が、香りをかいでから脚を伸ばす運動を限界まで繰り返す実験です。

においのない水と比べると、カカオの多いダークチョコの香りでは、こなせた合計の回数が18回増えました。

それなのに運動のきつさの感じ方が、はっきり上がってはいませんでした。

ミルクチョコの香りでも回数は増えましたが、伸びはダークより小さいものでした。

手がかりは、運動の前に感じていた空腹感の変化。

研究内容の詳細は2026年7月9日に『Frontiers in Physiology』にて発表されました

目次

  • ダークチョコの「香り」だけで、脚の回数が18回増えた
  • なぜ「香り」だけで、体はもう少し動けたのか

ダークチョコの「香り」だけで、脚の回数が18回増えた

ダークチョコの「香り」だけで、脚の回数が18回増えた
ダークチョコの「香り」だけで、脚の回数が18回増えた / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

参加したのは、筋トレを何年も続けている健康な若い男性23人です。

実験の日は、ひと晩なにも食べずに朝の実験室へやって来る。

用意した香りは、カカオの多いダークチョコとミルクチョコ、それににおいのない水。

チョコの香りのもとは、溶かしたチョコレートを入れた瓶です。

参加者は瓶に鼻を近づけ、決まったリズムでゆっくり息を吸って香りをかぎます。

どの瓶がどの香りかは、本人にも回数を数える係にも知らされていません。

そのあと、レッグエクステンションという、いすに座って脚を伸ばす運動を行います。

すねでおもりを押し上げるように脚を伸ばし、動けなくなるまで繰り返す。

セットの合間にも香りをかぎ直し、また限界まで脚を伸ばす。

運動の前後には、空腹感や香りの心地よさ、セットごとのきつさも点数で答えてもらいました。

同じ人が日を変えて、香りの種類ぶんこの実験を受ける。

その結果、においのない水と比べて、ダークチョコの香りでは合計の回数が18回増えました。

ミルクチョコの香りでも回数は増えましたが、伸びはダークほどではありません。

一方で、セットごとにたずねた「どれくらいきついか」は、香りによってはっきり上がってはいませんでした。

つまり、きつさがはっきり上がらないまま、こなせる量が増えていたのです。

ダークチョコの香りで、合計の回数は18回増えた
ダークチョコの香りで、合計の回数は18回増えた / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

違いは、運動の前に答えてもらった空腹感にも表れていました。

ダークチョコの香りをかいだあとは、水やミルクチョコのときより空腹感が下がり、満腹感が上がっていました。

一方のミルクチョコの香りでは、空腹感にはっきりした変化は見られませんでした。

そのかわり、参加者はミルクチョコの香りを、ダークや水よりも心地よいと答えています。

ただし、確かめたのは筋トレに慣れた男性だけで、女性や初心者は含まれていません。

研究チーム自身も、これは探索的な(手始めの)研究だと言っています。

それにしても、香りをかいだだけで、なぜ体はもう少し動けるようになるのでしょうか。

なぜ「香り」だけで、体はもう少し動けたのか

なぜ「香り」だけで、体はもう少し動けたのか
なぜ「香り」だけで、体はもう少し動けたのか / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

研究チームは、同じチョコでもダークとミルクでは効き方の道すじが違う、と考えています。

ダークは食欲の道、ミルクは心地よさの道、という見方です。

まずダークの道では、食べていないのに感じ方だけが空腹から満腹へ動いた可能性がある、と研究チームは見ています。

廊下に流れてくる、給食のカレーの匂い。食べる前から、おなかが鳴り出す。

研究チームは、匂いと食事を小さいころから何度も一緒に経験するうちに、匂いが合図になると考えています。

合図を受けた脳と体は、食べたあとに起きることを先回りして準備する、という見方です。

研究チームの考え: 匂いが「食べたあと」を先回りさせる
研究チームの考え: 匂いが「食べたあと」を先回りさせる / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

研究を率いたナハルディン氏は、ダークチョコの香りをこう説明します。

「ダークチョコの香りは、濃くて苦い、満腹になる食べ物の合図として学習され、体を先回りの満腹状態にしてしまうのです」

ミルクチョコの甘い香りのほうは、ごほうびの合図として働き、心地よさが量を押し上げた、という見方です。

この研究で言えるのは、筋トレに慣れた若い男性が、朝の空腹の状態で脚の運動をしたときの話です。

女性や運動の初心者、ほかの種目や食後の運動で同じことが起きるかは、まだ確かめられていません。

香りが体に効く道すじも研究チームの解釈であって、仕組みそのものを確かめた実験ではありません。

それでも、香りだけで回数が増え、きつさがはっきり上がらなかったという結果は、本人も測る側もどの香りか知らない形で得られたものです。

【これまでの研究】

運動の前にとる朝食が、心理的な効果を通じて筋トレの成績を上げるのかもしれない、という報告は以前にもあります。

ラフバラ大学とマラヤ大学の研究チームは以前に、筋トレに慣れた男性を集めて、朝食の効き目を調べました。

参加者は、水だけ、エネルギーのほぼない偽物の朝食、炭水化物入りの朝食のどれかをとります。

どちらの朝食にも「エネルギーが入っている」と伝えたうえで、しばらくしてからスクワットを限界まで行いました。

すると、偽物の朝食でも炭水化物入りと同じように空腹が抑えられ、スクワットの回数は水だけより増えたと報告されています。

ベンチプレスでは差が出ておらず、研究チームは心理的な効果によるものではないかとしつつ、空腹の関わりも否定できないとしています(関連研究)。

研究チームは、チョコの香りを、何も食べずに空腹のまま筋トレをする人を支える手段の候補と見ています。

脚の日の朝は、チョコを食べる前に、まず鼻で味わうのがよさそうです。

参考文献

Smelling chocolate helped men complete more reps without feeling more tired (ScienceDaily)
https://www.sciencedaily.com/releases/2026/09/260914102445.htm

Viscous placebo and carbohydrate breakfasts similarly decrease appetite and increase resistance exercise performance compared with a control breakfast in trained males (British Journal of Nutrition)
https://doi.org/10.1017/s0007114520001002

元論文

Chocolate odor enhances resistance exercise performance through appetite suppression in the fasted state: an exploratory study
https://doi.org/10.3389/fphys.2026.1834757

ライター

山下 浩介: むずかしい研究を、なるべく分かりやすく伝えたい。専門の言葉はふだんの言葉に置きかえて、絵や図を1枚はさむ。それで「わかった」「楽しかった」と言ってもらえたら嬉しいです。 好きなのは、通学路や台所や日常の中にある科学。眠っているあいだに記憶が整理される話や、虫の鳴き方に意味がある話のように、読み終わったあとに誰かへ話したくなる研究を探しています。

編集者

ナゾロジー 編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ