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舌打ちのあと、床を2度踏み鳴らした男性。「さっきからずっと待ってるんだけど」とキレられた店員に私がかけた一言

  • 2026.9.16

前に立っていた人が、床を鳴らした

夕方、買い物の帰りに小さな店へ寄った。

飲み物を1本と、夕飯の足しになりそうなものをかごに入れて、会計の列に並んだ。

私の前にいたのは、上着を腕にかけた中年の男性だった。カウンターに立ったときから、その人の声だけが店内で浮いていた。

すぐうしろに立っていた私には、男性からうっすらと酒のにおいがしているのが分かった。

「お待たせしてしまって、申し訳ありません」

若い店員が頭を下げると、男性は眉を寄せた。

「いや、さっきからずっと待ってるんだけど」

「申し訳ありません。もう少々お待ちいただけますか」

「さっきからそればっかりじゃないか」

何が発端なのかは、後ろで聞いていた私には最後まで分からなかった。

ただ、店員が謝るたびに、男性の声だけが少しずつ強くなっていった。

「本当に申し訳ありません」

「いつまで待たせるんだよ」

そう言った直後、男性は大きく舌打ちをした。

そして、苛立ちをぶつけるように床を一度、二度と強く踏み鳴らした。

棚の前にいた客が思わず振り向く。私もかごを持ったまま動けなかった。

店員は一瞬言葉に詰まり、それでも小さく頭を下げた。

「……すみません」

男性は返事をせず、カウンターのほうを見たままだった。

止まった列は、そのあいだにも入口の近くまで伸びていた。

私のうしろの学生は持っていたかごを床に置き、その後ろの女性は腕時計に目を落としていた。

誰かが何か言うのではないかと思ったが、結局、声を上げる人はいなかった。

となりのレジが開いて、列が動いた

しばらくすると、奥から別の店員が出てきた。となりのレジのランプをつけると、こちらの列に向かって声をかけた。

「お待たせしました。こちらでもお会計できます。次にお待ちのお客様、どうぞ」

男性はまだ元のレジにいたため、その次に並んでいた私がとなりのレジへ移った。

「こちらでお願いします」

「はい、ありがとうございます」

私が移ると、うしろにいた学生と、その後ろの女性も続いた。

止まっていた列がようやく動き始め、店内にも少しずついつもの空気が戻っていった。

さっきまで聞こえていた床を踏む音も、もうしなかった。

会計を待ちながら横を見ると、男性は元のレジで財布から札を出していた。

若い店員が受け取り、会計を済ませる。男性は袋を受け取ると、何も言わないまま出口へ歩いていった。

自動ドアが閉まったあと、店員が小さく息を吐くのが見えた。

やがて私の会計も終わった。

「ありがとうございました」

「ありがとうございます」

買ったものを持って出口へ向かうと、ちょうど元のレジの前を通った。

さっき男性を対応していた若い店員が、こちらを見てもう一度頭を下げた。

「お待たせして、すみませんでした」

私は思わず首を横に振った。

「いえ、大丈夫です。お疲れさまです」

店員は少し驚いたように顔を上げ、それから小さく笑った。

「ありがとうございます」

ほんの数分前まで張りつめていたレジ前には、いつもの会計の音が戻っていた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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