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『5秒で完全犯罪を生成する方法』重岡大毅&近藤亮太監督が感じた熱量を分かち合うことの重要性「こういうやり取りをできるのが人間のおもしろさ」

  • 2026.9.9

WEST.の重岡大毅が主演を務め、『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(24)の近藤亮太監督がメガホンをとった『5秒で完全犯罪を生成する方法』が9月11日(金)より公開を迎える。このたびMOVIE WALKER PRESSでは、重岡と近藤監督のツーショットインタビューを敢行。初タッグの印象から撮影現場、ワールドプレミアの場となったプチョン国際映画祭でのエピソードなど、コンビネーション抜群の2人のやり取りを余すところなくお届けしよう。

【写真を見る】“本能”で演じるという重岡大毅の俳優としての魅力を語る、『5秒で完全犯罪を生成する方法』の近藤亮太監督。

東野圭吾原作の「マスカレード・ホテル」シリーズなどで知られる脚本家の岡田道尚が原案、脚本、プロデュースを務めた本作。意図せず殺人を犯した妹の幸来(原菜乃華)を守るため、生成AIを駆使して事件を隠蔽しようと思いついたフリーライターの初海航(重岡)。無事に警察の事情聴取をクリアした矢先、AIが指示した内容が世間を騒がせる連続殺人の手口と同じであったことを知ってしまう。思いも寄らない事態の真相を探るうち、航はトップ女優の七希(田中みな実)にたどり着き…。

「重岡くんを撮っていて楽しいというか、演出のしがいがありました」(近藤監督)

――まずは撮影現場を振り返って、いかがでしたか?

重岡「とてもやりやすくて、楽しい現場でした!事前にいろいろと準備をして、初海航という役について自分なりに考えながら臨んだんです。でも自分の関わった事件のニュースが連日報道され、明日捕まってしまうかもしれないという緊張感はなかなかイメージがしにくくて、自分で納得できるところが見つけられずにいたんです。そしたら近藤監督から『重岡さん、人ってのは適応するもの。普通のテンションで全然大丈夫です』と言ってもらえて、『たしかに!』と。その言葉をもらえただけで、すごく楽になりました」

ある目的をもって女優の七希に近づく航 [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3
ある目的をもって女優の七希に近づく航 [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3

近藤「最初にお会いした時の印象は、前々から他の作品で観ていた通り、イメージしていたままの重岡くんだったんです。実際にお芝居を見てみると、すごく丁寧に準備したうえで、めちゃくちゃ自由に演技をしている。その準備の土台があるから、脚本と違うニュアンスの演技であっても航として違和感がない。さすが重岡大毅だなと(笑)。登場人物を演出するうえでは、設定にしろテンション感にしろ、あまり決めつけすぎないでやろうと思っていました。航は妹想いなんですけど、自分の人生をちゃんと生きているし、家族は大切だと思っていても鬱陶しいと思うことだってある。そういうすべての人間が持っている厚みやリアリティを持たせられるように意識しました」

兄妹に警察の捜査の手が迫る! [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3
兄妹に警察の捜査の手が迫る! [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3

重岡「それは僕も意識してましたね。こういう人だから、とかではなく、まず一回自分が考えたものを思い切ってやってみることを大事にしていて。それであかんかったら監督はきっと言ってくれると思ってて」

近藤「『ダメだったら言ってください!』って現場の頻出ワードでしたね(笑)」

重岡「提案してもらったうえでの柔軟さが大切なんです!僕はいつもそういう感じでやらせてもらっています」

近藤「でも柔軟すぎるのか、一つ前のテイクと全然違うことをやったり、カットが繋がらないようなびっくりする動きをしてくることもあって…」

重岡「すいません!!!!」

近藤「それはもう『編集でがんばるので大丈夫です!』って言っていましたね(笑)。でも納得できる違いというか、航として起こるべくして起こるものばかりだったので、撮っていて楽しいというか、演出のしがいがありました」

重岡「ほんでも自分ではなにが違ったのか、正直わかってないんですよ。他の作品でも監督や共演者から言われたことがあるんですけど、僕としては同じことをやってるつもりですからね。良いように言えば“本能”みたいな感じですけど、わかりやすく言えば“できない”だけなんです」

近藤「でも主演俳優だからそれでもいいと思っていて。これがアンサンブルとかサブキャストで、カットのたびに違うことやる人ばっかり集まってたら、おもしろいかもしれないけど、どこかで『もう勘弁してください』ってなると思うし」

重岡「共演者の人に『どうしたらいいですかね?』って相談したら、『主演だからいいんじゃない?』って言われたことある!(笑)」

近藤「結局は誰を基準にして演出のプランを立てるかの話だと思うんです。今回は原(菜乃華)さんが何回やってもまったくブレない人だったので、すごく相性が良かった。重岡くんがどれだけ伸び伸びやってても、原さんは絶対に合わせてくれるので、重岡くんを基準にしておけば間違いがない。すごく勉強になりました」

航の指示に従い犯行を隠す幸来だが… [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3
航の指示に従い犯行を隠す幸来だが… [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3

重岡「どうやったら原さんみたいに同じことできるようになるんですかね?」

近藤「え…?意識するんじゃない?(笑) あとみんなモニターをしっかり見て、映りとか再現しようとしているはず」

重岡「なるほど。見てるはずなんだけどなあ、なんとなく逆に意識しちゃってるのかも…。次の目標にしてみますわ」

「AIには無駄だと思われてしまうようなものを輝かせて、意味を見出すことが僕らの仕事」(重岡)

韓国の映画祭に参加し、ファンの熱量の高さに感激したという重岡大毅 撮影/河内彩
韓国の映画祭に参加し、ファンの熱量の高さに感激したという重岡大毅 撮影/河内彩

――近藤監督は「第2回日本ホラー映画大賞」で大賞を受賞し、その受賞作を長編化した『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』で商業監督デビュー。以後も、『〇〇式』(25)などホラー作品を中心に作品を撮られてきましたが、今回はサスペンスに挑戦され、規模感も格段に大きくなっている。

近藤「もともと自分はホラーだけをやりたいというわけでもなかったので、ジャンルが違うことへの不安はほとんどなかったんです。とはいえ、いきなりこの規模の作品をやるとなると、はたしてコントロールができるのかなという思いもありました。でも『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』以降でずっと組んできたスタッフと組めるなら、とプロデューサーの皆さんに強く希望を出しました。なので、その点では大きな違いはなかったんです。

撮影現場で話し合う近藤監督と重岡 [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3
撮影現場で話し合う近藤監督と重岡 [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3

もうひとつ変わらなかったことといえば、どれだけ日数があってもやっぱり足りないということです(笑)。それでも撮影日数がこれまでより倍以上も増えたので、振り返ってみればゆとりがあったのかなと。なにかがあった時に、もう一度やってみましょうとかフレキシブルに対応ができたし、大勢いるスタッフの皆さんがしっかりと準備を進めてくれていたので、ある意味僕は現場に行って演出するだけというぐらい、安心感がありましたね」

――それで完成した本作は、7月に行われたプチョン国際ファンタスティック映画祭で世界に向けてお披露目されました。

重岡「ずっと映画祭に行ってみたかったので、連れて行ってもらえてほんまによかったなと。ティーチインには本当に緊張しました」

近藤「空港もレッドカーペットも重岡くんのファンが大勢いて。プチョンはジャンル映画に特化した映画祭なので、皆さんすごく真剣に作品を観てくれていました。なので、ティーチインでは質問をいっぱいいただけたんです」

韓国のプチョン国際ファンタスティック映画祭に参加! [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3
韓国のプチョン国際ファンタスティック映画祭に参加! [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3

重岡「そういう機会があること自体知らなくて。前のめりで映画を理解する姿勢がおもしろいとか、芯食った話を訊かれるかもと聞かされたので、ちょっとビクビクしてました(笑)。でも僕は韓国語がわからないですけど、情熱的に作品と向き合ってくれているのがすごく伝わってきて、『ああ、映画ができて海外の人に観てもらえたんやな』としみじみ思いましたね。その興奮のまんまで乗った帰りの飛行機の中は、ずっと監督に話しかけてました(笑)」

――作品のテーマは生成AI。お2人も普段から使われているとお聞きしましたが、その脅威のようなものを感じることはありますか?

重岡「僕は使ってますけど、『朝ごはん、なにがええかな?』とかそういうしょうもないことにしか使ってないですね(笑)」

近藤「僕の場合、役には立ちますけど、あまり脅威を感じてはいないというのが正直なところですね。まだAIは、ある方向に向かって言葉を構築しているだけなので、人間の思いとか情念のようなものは作れない。それに場の空気を読み取ったり直接コミュニケーションを取ったりするようなことはできないので、演出の領域では恐れるに足らない印象です」

次第に追い詰められていく航 [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3
次第に追い詰められていく航 [c]2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3

重岡「たしかに、それは僕も同じかもしれない。AIには無駄だと思われて省かれてしまうようなものを輝かせて、ファンの方に届けるのが僕らの仕事という捉え方もできます。そういえば、プチョンでもブラッド・ピットとトム・クルーズが戦う映像ありましたよね」

近藤「オープニングで流れてたやつですね」

重岡「『これAIっすか?』『これもAIっすか?』ってずっと訊いてたら、監督がピシッと『AIじゃない時に言いますね』って」

【写真を見る】“本能”で演じるという重岡大毅の俳優としての魅力を語る、『5秒で完全犯罪を生成する方法』の近藤亮太監督。 撮影/河内彩
【写真を見る】“本能”で演じるという重岡大毅の俳優としての魅力を語る、『5秒で完全犯罪を生成する方法』の近藤亮太監督。 撮影/河内彩

近藤「全部AIだったから、AIじゃない時に言ったほうが早いと思って(笑)」

重岡「こういうやり取りをできるのが人間のおもしろいところなんですよね」

取材・文/久保田 和馬

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