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人間の尊厳ある働き方を問う。ブルネロ・クチネリの人生と哲学に迫るドキュメンタリーが公開。

  • 2026.9.7

イタリアのラグジュアリーブランド、ブルネロ クチネリの創業者であるブルネロ・クチネリの人生に迫るドキュメンタリー『ブルネロ 静かなる先見者』の公開が決定した。『ニュー・シネマ・パラダイス』で知られるアカデミー賞®受賞監督ジュゼッペ・トルナトーレが監督を手掛けた。証言・アーカイブ映像・再現ドラマを織り交ぜた重層的な構成で、仕事や美、文化、そして人間の尊厳をめぐるテーマに焦点を当てながら、彼が歩んできた人生と哲学を描いていく。

©BRUNELLO CUCINELLI SPA AND MASI FILM 2025

少年時代に父が工場で尊厳を踏みにじられるような扱いを受ける姿を見たブルネロ・クチネリは、「人間の尊厳ある働き方」を求め、1978年に小さなニット工房を創業。伝統的にニュートラルな色合いが主流だったカシミヤに鮮やかな色彩を取り入れるという革新的なアプローチを導入し、ブルネロ クチネリを世界有数のラグジュアリーブランドへと成長させた。成功ののち、ブランドの拡大よりも、人間の尊厳の美を祝福することを選んだ彼は、中世の村ソロメオの再生に挑む。荒れ果てていた建物を丁寧に修復し、劇場や図書館建設をはじめ、葡萄畑やオリーブ畑を含めた公園を造園。文化とクラフツマンシップ、自然、そして働く人々の営みが調和する村へと育て上げていった。こうした取り組みにより、ソロメオは文化・環境・経済再生のモデルとして国際的にも注目されるようになる。

本作では、クチネリの実践してきた「人間主義的資本主義」と「人間の尊厳を守る働き方」を通して、企業が社会に果たし得る役割についての新たな視点を提示。単なるファッションドキュメンタリーにとどまらず、より人間性を大切にする働き方や生き方について観客に思索を促す作品となっている。

クチネリの歩みを単なる成功譚ではなく、“美と尊厳を守るために働く”という人間的理想の追求として浮かび上がらせる本作。物語の終盤で登場する「夢は、勇気をもって育てるとき、人の運命を導く真の力となる」というクチネリ自身の言葉が、これから挑戦や選択と向き合う人の心にそっと勇気を与えてくれるかもしれない。

text: Yuki Kimijima

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