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【月刊新作映画レビュー】『ルックバック』ほか9月はコレ観なきゃマンスリー

  • 2026.9.5

9月11日(金)公開『ルックバック』

劇場アニメ化作品が日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した藤本タツキの青春漫画を是枝監督が実写映画化。漫画に魅せられた対照的な2人の13年間の軌跡を描く。漫画の腕に絶対的自信を持つ藤野と、彼女が嫉妬するほどの画力を秘めながら、無邪気に藤野に憧れを抱く京本。漫画を描きたい、上手くなりたい。小学生二人の共通の夢はいつしか、リアルな現実になり、やがて離れ離れに。圧倒的な初々しさの子ども時代の藤野と京本には本作で俳優デビューを果たした七瀬ふうりと子役として活躍する岡田六花をそれぞれ起用。一方、成長した二人を演じるのはNetflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」以来の是枝組となる出口夏希と時田彩珠。原作の主要舞台となっている藤本の出身地・秋田県にかほ市でロケされ、美しい四季の風景とともに藤野と京本の世界が見事に立体化する。

監督・脚本・編集/是枝裕和
キャスト/出口夏希、蒔田彩珠、七瀬ふうり、岡田六花、野呂佳代、池田良、佐々木みゆ、山田真歩、宮藤官九郎、菅田将暉ほか

9月11日(金)公開『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』

終戦が来ても戦争の苦しみは終わらないことを『野火』(2014)で見せた塚本晋也監督が兵士という加害者の立場から見た戦争の恐ろしい現実と拭いきれない痛みを再び描写。貧しさから18歳で入隊し、ベトナム戦争で殺戮を繰り広げた対価に、帰国後もトラウマに苦しむ元海兵隊の帰還兵、アレン・ネルソン。23歳でホームレスとなった彼を精神科医は根気強く、カウンセリングし続ける。アレン・ネルソン役にはブロードウェイ俳優、ロドニー・ヒックス。精神科医ニール・ダニエルズに名優、ジェフリー・ラッシュ。枯葉剤による多発性骨髄腫のために61歳で逝去するまで、精力的に講演活動を続け、日本だけで1200回以上の講演を行い、憲法9条の大切さを訴え続けたアレン・ネルソン氏。その根底にあるのは貧困からの出兵、戦地での地獄のような体験、そして帰国後の孤立だった。どんな人にも起こりうるからこそ、戦争の惨さを塚本監督は今回も容赦無く、曝け出す。

監督・脚本・撮影・編集/塚本晋也
キャスト/ロドニー・ヒックス、ジェフリー・ラッシュ、マーク・マーフィー、リリー・フランキー、タチアナ・アリほか

9月18日(金)公開『ワンオペレーション』

メアリー・ブロンスタイン監督、17年ぶりとなる長編二作目は自らの実体験をもとに構想されたワンオペ育児の恐怖。A24が製作し、壮絶なダークコメディ兼スリラーに仕上がっている。謎の病を抱える幼い娘の世話に追われるセラピストのリンダ。夫は不在がちだが、出張先から高圧的な態度で頻繁に電話をかけてくる。そんな折、自宅アパートの天井が突如、崩落。仕方なく、娘とともに海辺の格安モーテルへ移り住むものの、普段から睡眠不足の彼女に劣悪の環境が追い討ちをかける。笑えないワンオペ育児の実態とまるで不寛容な社会と人々。主演のローズ・バーンの終始、死んだ目の表情が衝撃的。ベルリン国際映画祭銀熊賞、ゴールデン・グローブ賞女優賞を受賞、米アカデミー賞主演女優賞にノミネート。

監督・脚本/メアリー・ブロンスタイン
キャスト/ローズ・バーン、コナン・オブライエン、エイサップ・ロッキー、ダニエル・マクドナルドほか

9月25日(金)公開『我々は宇宙人』

YOASOBI「優しい彗星」のMVなどを手がけた29歳の新鋭・門脇監督による初の長編アニメーション。緻密で力強い表現が印象的な独特な世界観は独学でアニメを学んだ監督が3年の歳月をかけて、完成させたもの。カンヌ国際映画祭の監督週間でワールドプレミア上映、アヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門にも選出。内気で「普通」の青年・翼と人気者で「特別」な存在の暁太郎。あっという間に親友になった二人だが、ある事件を機に暁太郎はクラスで浮いた存在となり、翼の心も離れていく。男子版「ルックバック」を思わせる、30年に渡る不思議な友情。普通に生きてゆく翼を坂東龍汰、少年のまま取り残される暁太郎を岡山天音という演技派二人が声を担当。切なく残酷な幼い頃の記憶を激しく呼び起こす。音楽は藤井風や米津玄師らの楽曲プロデュースで知られるYaffle。

企画・脚本・監督・絵コンテ・編集・キャラクターデザイン・作画監督・美術監督/門脇康平
声のキャスト/坂東龍汰、岡山天音、山崎天、松井ケムリ、槙木悠人、中込佑玖、鈴木咲、末永陽ほか

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